Coming soon...?

 どうも、昨日のラーメンが忘れられない。なぜだろうか。


 彼女の顔が忘れられない、あのニコニコして、あのクスクスしていた顔を、だ。思い出せば出すほど、脳に浮かび上がってくる。おかしい、こんなはずはない。


 とりあえず、知恵袋を覗くことにした。どうせ似たようなこと、書いている人がいるだろう。そういう希望的観測をもとに、ネットという深い場所に潜り込んでみる。マウスホイールをくるくるし、下へ下へとページをめくっていく。世の中も便利になったな、とジジ臭いことを言いつつも、話を探す。


「……お、あった。」


 やっぱり山のようにあるんだろう、イマドキの高校生はこういうところで相談するのか。なんて感心をしつつ、自分もこういうのを使えばよいのだと学習した。これからはこういうのもここで聞いてみようと思った。


「男子高校生です。電車の中で、一瞬マスクを外した女の人のことが忘れられないです。これはもしかして恋なんですかね?」


 ベストアンサー

 「恋じゃないですか。よくある話ですね。頑張ってー。」


 ……だと。

 「いやいや、さすがに恋ではないだろう。」そう疑ってしまう自分。恋なんて言う大それたものではない、僕はそこまでおりこうさんではないので、そういう経験はしないでいるものだと思っている。そういう感覚から、疑い始めたんだろう。


 こういう時は、帰納法を用いて一般的な事実を証明できれば本当ということだ。つまり、同じような事象が起きれば恋であると証明できるわけだ。この証明を否定すれば、僕の顔を忘れられない問題は恋ではないということが証明されるわけだ。


 さっき見つけたものは偶然の産物だと信じ、ネットの海をさまようこと5時間。



 


 「恋じゃない……って書いてない……」


 負けてしまった。素直に恋だと認めるしかないわけ、だ。

 おかしい。絶対におかしい。これは恋だなんて、そんなもののハズはない。だけど、知恵袋の「顔を忘れられない」は恋のサインですよって、そういうものなのか……。


 僕は恋をしたことがない。だからこそ、恋をする男女は崇高な人間たちで、人としてできている。まさに聖人といったところだろうか。僕はそんな風に思っていた。僕自身もいつか恋をするってわかってはいた。が、それはもう少しわかりやすく来るものだと思っていた……が、どうやらアニメに見すぎだったようだ。


 皆は知っているだろうか。「ラブストーリーは突然に・小田和正」を。その歌詞の中に、「あの日あの時あの場所で君に会えなかったら 僕らはいつまでも見知らぬ二人のまま」という歌詞がある。まさに、その歌詞が僕たちの状況とぴったりなのである。「あの日、あの夕方、あのラーメン屋で彼女と会えなかったら、僕らはいつまでも赤の他人同士だった」のである。きっと、僕は「恋そのもの」を知らなくて、そもそもどういうものなのか、そしてそれらとどう向き合っていけばいいのか側勝っていなかったのだと思う。だから、最初はあんなにも「恋ではないと否定をしていた」し、それと反対に恋であるというのが世の中の多くの意見であった。


 だから、僕は今日この日、納得した。


 「――僕は彼女に、恋をしたんだ。と」




 なんてことを当時考えていた、若い時の自分を思い出すとなぜか止まらなくなる。懐かしい成分を取り続けたいのか、なかなか思い出回想上映会が終わらない。きっと、それだけ過去に未練があるのだろうか。


 「未練があるのだろうか」と言えば、彼女とはあれから一切連絡をとれていない。

 あの時は別に連絡先を交換しようだとか、彼女のことをこれから思い出すこともないだろうと思っていた。だから、そんなことはしなかった。今自分がこんな気持ちで、こんなことを考えているだなんて、当時の自分は想像もしていなかっただろう。僕も、今の自分自身を考えて驚きたいくらいだ。

 今、こういう心理状況だからなのか、今短冊に書いたら願いが叶うようなモノ、それがあるのなら僕は間違いなく「彼女に会いたい」というだろう。僕は彼女に恋をし、そして会いたいと思っている。けどかなわない、だって彼女の名前も、学校も、何も知らない。親しい人間でもないのだから。たった1回、ラーメン屋で会ったきりなのであるのだから。


 彼女に会って、「好き」と伝えたい。彼女にもう一度会い、彼女に惚れたい。もっと、どっぷり。

 あの時、見れなかった彼女の心、顔、手、足、すべてを。繊細な彼女を、光り輝く彼女を。もっとこの目で見てみたかった。


 もう二度と来ないこのチャンス、逃してしまったのは大きい。これはもしかして、人生のツケなのではないのか。きっとこれまでの行いを鑑みて神様が、このチャンスを消した。それだけなのではないか。そう、妄想チックかつ責任逃れのような男らしくないことを考えている。

 

 何度でも、声が枯れても、僕は叫ぶ。

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