Come again...

 「もう二度と来ない、この青春」


 いくら来てほしいと願っても、いくらのお金を積もうとも、もう来ない「青春」という成長途中の一端。僕も、もちろんこの感情を持っている。戻れるものなら、戻りたい。

 今、僕が見ているものすべて。きっと世の中の縮図なんだろうなと思うが、あまりにもドロドロし、面白くない。社会に面白くあってほしいというワガママなのではない。単調で、かつ新しくもならない、そんなところにどこかつまらなさを感じていた。きっと、このつまらない社会をどう生き抜くか、それがこの社会人として生きる上での最重要課題なのではないのかなと考えている。

 あの頃はまさに青春の最中であった。きっとみんなあの頃は野心にあふれ、チャレンジャー精神があっただろう。それは、若いという盾があり、若さという無限に近い体力があったからであろう。今となっては、下手をすれば仕事はクビが飛び、1日のフルタイム勤務でへとへと。毎日をいやしてくれるのは、深夜帯のアニメ番組なのであった。「世の中、こんなもんなのか」なんて思うこともあるが、きっとこれが大人のあるべき姿なのだろう。大人は、粛々と毎日を過ごし、日々義務を果たす。よいか悪いかだなんて、そんなくだらないことは議論しない。きっと、そうあるべきなんだろう。


 思えばあの頃、好きな子がいたな。社会人になってから、女性を目で追うことはやめ、かわいいアニメキャラを目で追うようになってしまった。僕は、どんどん女性から離れ、奥行きのないセカイ二次元世界に取り込まれていった。きっと、女性がもともと苦手で、「青春効果」なるものが発動し、あの頃はそんな風に思っていなかったのだろう。僕が論じる、「青春効果」それは、青春をしているとき、主に中高生の年代だろう。そのころは、何も恥じらいがなく、自分自身をフレックスに変えることができ、エンジョイすることができるようになる効果だと思っている。きっとあの時は、そんな感じでハイになっていたのかもしれない。別に、悪くは思わないけど。

 二度と来ない青春、そしてそのシチュエーションの中で生まれる数多の恋。自分がかかわっているかいないかだなんてどうでもいい。ただ、その時間軸でいろいろな恋が生まれ、失われ、壊れていくことがあったというその事実に、僕はどこか悲しくなった。そして、あの時の自分を思い出し、何か懐かしい情景が浮かんできた。

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