第3話

 目を覚ますと塩谷しおや 海人かいとは病院のベットに寝転がっていた。

周りには白衣をまとった医師や看護師たちが忙しく動いている。

彼の体は細長い管で縛られ、様々なモニターが心拍や血圧を監視していた。どうやら結構ヤバい状態だったらしい。

記憶きおく断片だんぺんが頭をよぎり、事故の光景がぼんやりと脳裏のうりに浮かんだ。

 ある日、学校に向かうために車の助手席に乗っていた海人かいとは父と楽しげな会話をしていた。その時、突然前から車が突っ込んで来た。

幸い父は当たりどころ良くかすり傷で済んだ。

しかし、真正面から衝撃を受けた海人かいとは頭から血を流し、意識不明となった、という様子だ

「お、目が覚めたんですね。大丈夫ですか?」看護師が優しく声をかけると同時に、医師が海人かいとのベッドに近づいてきた。

「事故で相当な衝撃を受けたみたいですね。奇跡的に生還できたのはあなたの幸運です」と医師が説明する。

「でも、その代わりに...」海人かいとは医師の言葉を待った。

「頭部に大きな損傷がありました。手術は成功しましたが、完全な回復には時間がかかるかもしれません。

そして、一部の記憶きおくが失われた可能性もあります」と医師は慎重しんちょうに語った。

海人かいとは深く息をついた。一体何が起こったのか、そして今後どうすればいいのかが彼の心を占めていた。

数日後、海人かいとは病院を出ることができた。

しかし、外の世界は以前とは違ってえた。

色々なことが複雑にからみ合っているように感じられた。

そして、彼の記憶きおくの中で浮かび上がってくる謎めいた出来事たちが、彼を引っ張っていった。

 病院を出てすぐ、海人かいとは何かがヤバいモノをた。

そちらも海人かいとに気づいた様で化け物みたいな何かがヤバい叫び声を上げて襲ってきた。

「ゔぁ゙ばばばな゙な゙がぁ゙ぁ゙〜あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙〜」

「何なんだ!!俺は美味しくないぞ!!」

海人は死に物狂ものぐるいで化け物から逃げている。

ある程度すると、物音がぷつりと止んだ。

それと同時に物凄ものすご断末魔だんまつまが聞こえてくる。

恐る恐る振り返ると巨大な白狐しろぎつねが化け物だったモノをっている。

われた化け物は灰となり空に散っていった。

「全く、ヒトを襲うとはケシカランあやかしなのね」

白狐しろぎつねは可愛いロリっ変化へんげしてつぶやいていた...

「...は?」

海人は唖然あぜんとしている…そうなるに決まっている。

普通、この世のモノとは思えないモノに襲われて、よく分からないきつねが幼い幼女になったら誰だってそうなるはずだ。

「悪かったなニンゲン!!ミーがオマエにきずを付けてしまった。謝ろう。」

「何を言っているんだ?」

「...覚えていなかったのならそれでよい、忘れた方がいい出来事だって沢山あるのよ!!ミーは謝れたからそれでよいのね!!それと、こんな事が続くと思うから、気をつけるのだ!!」

気をつけろと言われても、何をすれば良いのか分からないこの頃である。

「そんな事いきなり言われても困るよ!!僕はこれからどうすれば良いんだ?」

白狐しろぎつねは、考えている...

「困ったら神社に逃げろ!!ミー達の様な神が助けてくれるであろう!!」

考えた結果がこれだ、自分では何も出来ない、そんな事を遠回しに伝えているのであろう。

すると、後ろの方で物音がした。

海人かいとがそちらを向くと何もいない...視線を戻してみると其処そこには白狐しろぎつねは居なくなっていた...

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