第2話

 ある日の朝、少し賑やかな声に誘われてみなと 凛香りんかは目を覚ました。私はベットに横たわっている。

しかし何故なぜだろう、私のてのひらおおう様に毛布もうふではない何か、猫の毛の様な丸いモノが乗っている。よくると小さい白狐しろぎつねの様で可愛い。

「ナンダオマエ、ミーガミエルノカ?」

眠そうにカタコトの日本語で話し掛けてくる...

「キツネがしゃべった!!」

「ええぃ五月蝿うるさい!!ミーはおネムなのだ!!そない叫ぶでない!!頭に響くわ!!」

「いや、キツネがしゃべったら誰でも驚くでしょ」

きつねキツネと言うな!!ミーは白玉稲荷しらたまいなり...稲荷いなりだ!!」

「一緒じゃん」

「何だって!!神に向かって...おいやめろ、触るな!!」

そう言いながらも喜んでいる。

キツネを触ったのは初めてで、柔らかく肌触りが良い...ついつい触ってしまう。

「そういえば、何で私の部屋に居るの?」

「何だ?気づいていなかったのか?ミーはずっとお前の側に居ったぞ!!」

何を言っているんだろうこのキツネは...そういえば、この前から何度かモヤをている。

「それじゃあ今までのモヤって君だったの!!」

「恐らくそうだろう、凛香りんかと目が合っていたからな。ミーだけではないぞ!!おい火伏ひぶせ!!出て来い!!」

「何じゃ、ようやく気づけるようになったか」

今度は赤いきつね何処どこかかの空間から現れた。

尻尾しっぽは燃えている様で熱くはない、模様の様だ。

「次は何?また1匹キツネが増えたけど」

「お前がワシを呼び出したんじゃろうが!!」

呼び出すとか言っているが私にはそんな呼び出した記憶きおくはない。「何を言ってるのかさっぱり...」

「最近、神社に行っただろう?ミーたちはそこの守り神だったのじゃが...ある日ミーたちやらかしてしもうて封印ふういんされてたのだよ」「しかし、お主の持っている特別な力で解放してくれたのだよ」

「神社?...行ったっけ?それより、やらかしたって何したのよ?」

封印ふういんされるまでだからさぞかし悪い事をしたんだろう。私にも被害がくるかもしれないから、物事ものごと次第しだいでは追い出すことも考える必要がある。

「それは...助けたのじゃ」

「助けた?」

「そうじゃ、ある日な、男二人が自転車で急いでたんじゃ。

だけど、踏切ふみきりが降りてない事に気づいてなかったんじゃ。

それでも電車は迫っていて、このままじゃ死んでしまう所だったのじゃ」

「それで、何したのよ」

助けると言ってもそれをどうやって止めたんだろう?こいつじゃ電車も止めれそうにないけど

「ぶつけたのだ...」

「何を?」

「気を引かせる為に車同士をぶつけたのね...それで、他に手段があったって言われて...有ってはいけない事故を起こした事って理由で封印ふういんされたってことなのだよ」

何だろう、良い奴なのか馬鹿なのか分からなくなってきた。

「で、これからどうするのよ。神社から追い出されたんでしょ?」

「それは勿論もちろん凛香りんかの家でお世話してもらうのだ!!」

「何を言っているのよ、この馬鹿狐ばかぎつね!!キツネって飼ったらいけないのよ!!それに餌だってなに食べるか分からないし...」

「安心したまえ!!ミーたちは一応神なのだぞ餌はいらん。稲荷いなりの姿はヒトにはえん。それに人にも変化へんげ出来るのだ!!」

そう言うと白玉しらたまは白肌の可愛いロリに変化へんげをした。だが、少しの違和感いわかんがある、人間にはあるはずの無い尻尾しっぽやケモミミが付いている...

「可愛いけど...ダメダメ!!耳と尻尾しっぽが出てるよ」

それを言われ、気づいてハッとした白玉しらたまはもう一度変化へんげをした。

そういえばもう1匹が見当たらない。

どうやらまた異空間に隠れている様だ…

急に目眩めまいがしてきた...

「キツネに関わるのはロクな事が無いな」

そう言い残すと凛香りんかはふらりと横たわった。

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