第4節 女王に従う転生者
4ー1
第4節 女王に従う転生者
PM 11:45 テレビ塔前【草薙美羽視点】
各々が激戦を繰り広げている中、私は自身の従者である『
セシリアさんとラスティアさんはそれぞれ標的との戦いを終わらせ、随時リリィの元に向かっているのだ。
その様子を見るように『
「お姉様。偵察のほど完了いたしました」
「ご苦労様。それで、状況はどう?」
「無事に両者とも戦闘を完了したそうです。後はお姉さまだけかと」
「そうね。では、いきましょうか」
エイルの報告を聞き、私は西1丁目広場に向かう。その間に、他の子達も合流し敵がいるテレビ塔に到着する。
すると、大振りの黄金にか輝く剣と重武装と言っても良いほどの鎧を纏った戦士が、後ろ向き仁王立ちをしていた。
「何者だ?」
「何者? そうね、あなた達を止める戦士と言っておくわ」
「その胆力。女の身にして、実に良いものだ」
後ろ向きで私と会話をしていると、その戦士は振り向き出す。
「ほう? 小娘、いつぞやの者か?」
「覚えてもらえて光栄だわ。ここが戦場でなければ、ゆっくり話が出来たわね」
「ふん。戦場こそが、我ら戦士の居場所。戦い以外に求めるものはなし」
大柄の戦士は、黄金の剣を持ち、それを私に向ける。すると、『
「お姉様には近づけさせないわ!」
「待ちなさい! エイル、一体何を?」
「お姉様、こいつは危険です! ここは、我らに――――――――」
エイルが、私を庇おうとするが、戦士はエイル達を薙ぎ倒す。背後をとったヒルドが、槍を突き抜けるが、戦士は簡単に反撃を行った。
「クッ……。なんて、パワーなの?」
「みんな! 大丈夫!?」
「申し訳、ありません……。少し、下がります……」
スルーズが申し訳なく私に言うと、『
見るからに、強力な力を感じる。それはまさしく、歴戦の勇士と言って良いだろう。
「笑止。この程度では、某を止められん」
「その実力、あなた、かなりの実力者みたいね。あの子達を一振りで薙ぎ倒すとは、驚いたわ」
「だが、貴様は違うな。あの者らとは、断然違う何かを持っておるな」
私は封印布で覆われた魔具を手に持ち、彼と対峙する。
「石の剣か。だが、それでは相手にならん」
「どうかしら? そういってるのも、今のうちよ」
私は、彼の目の前で魔具を解放する。
「『焼き尽くせ レーヴァテイン』!!」
封印布で覆われた魔具は解き放たれ、紫の刀身を纏った剣が解放される。彼はそれを見て、私に対し臨戦体制に入る。
「『レーヴァテイン』だと? 彼のスルトが持っていたとされる、世界を業火に包み込む程の炎を宿す魔剣か」
「ご名答。だが、この剣はスルトが持っていたものとは違うわ。
世界を業火に包み込む程の炎を、人類が持つ最強にして最悪の兵器、『核』を持って再現した魔具。それが私の魔具『核剣 レーヴァテイン』よ。
さて、あなたには耐え切れるかしら?」
「面白い! 戦いとはこうあるべきだ!!」
彼は、私の魔具を見て、戦士としての誉を感じ取っている。どうやら、ケルトの戦士は戦いによって、看過されるみたいだ。
「我が名は『フェルディア』!! 勇敢なる『コノートの戦士』にして、影の女王『スカサハ』の弟子である!!
小娘、貴様のような戦士と巡り会えたこと、『女王』に免じ、感謝しよう!!」
「名乗り上げね。それが戦士としての礼儀とあらば、私もしなきゃ無礼ね。
私の名は草薙美羽。
「実に良い名だ。では始めようぞ。『
大柄の戦士こと、フェルディアは私に向かって攻撃する。それは見た私は、レーヴァテインを構え、フェルディアの剣撃を防ぐ。
一撃一撃を受け切るが、転生者とはいえ、大英雄クー・フーリンと対等に渡り合えた実力者だ。
並の魔術師とは、一振りの攻撃は非常に重く感じるのだ。
「さすが、クー・フーリンと対等に渡り合えた実力は、伊達じゃないわね!」
「貴様こそ、我が攻撃に怯みもせずにいるとは、『魔女』を除けば、現世では最強か?」
「好きで最強を名乗るつもりはないわ。でも、あの人に遠く及ばないのは事実ね。あの人が本気を出せば、ただでは済まないわ」
フェルディアと私の剣のぶつかり合いは激しさを増していく。棘の付いた盾で、レーヴァテインの攻撃を防ぎ、それによって出来た隙を、黄金の剣で追撃する。
だが、私は咄嗟に避けることで、それを受けずに済んでいる。
そうしている内に、私はレーヴァテインの柄を回す。バイクのアクセルを起こすよう、柄を回すと、レーヴァテインの色が緑色に変色する。それと同時に、レーヴァテインは剣から斧に変形した。
「姿が変わった? それが貴様の魔具か?」
「この状態だと、レーヴァテインは斧に変形するわ。この状態は、どの形態よりも破壊力を誇る。たとえそれが、岩で出来た盾だとしてもね」
私は、斧になったレーヴァテインを振りかざす。すると、フェルディアはその攻撃を盾で防いだ。
「『γ・ブレイク』!!」
核を放出し、フェルディアに向けて振るう。フェルディアは、盾を持ってそれを防ぐが、盾はレーヴァテインの威力に耐えきれず、破壊される。
「我が盾を粉砕をするとは! なんという武勇よ」
「この威力を持っても、あなたをまだ倒せれないとはね。だが、まだこれからよ!」
私は、レーヴァテインをリロードし、レーヴァテインは元の剣の姿に戻る。フェルディアは、黄金の剣を両手で持ち、自身の両手にルーン魔術を付与する。
「ルーン魔術? スカサハ時込の奴かしら?」
「いかにも。我が盾を破壊したこと、褒めて遣わす。だが、戦いはまだ終わってはいないぞ!」
「そうね。私も、久々に骨のある相手で楽しいわ! これで終わりな訳がないでしょう!?」
フェルディアと私は、激しく剣をぶつけ合う。その威力は、誰もいないテレビ塔広場に突風を吹かせていた。
両者の剣は交え合い、消耗戦へともつれて行く。
こうして、この決闘は、第2ラウンドへと続くのだった。
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