幕間1【少女と英雄】

昔のことだった。

 私が幼い頃、国によって施設に入れられた。孤独の日々は、幼い私には耐えられないものだった。

 この日々は続き、気がつけば数年経っていた。孤独が私を蝕むのだ。こうして、私の心は無になる。無になるのなら、それを受け入れよう。

 そう思っていた。私の中に、別な自分わたしがいる。そう気づいたのは、同じく幼い頃だった。


『何籠ってるのよ? そんなに嫌なら、私によこしなさいよ』


「あなたは?」


『私? 今はあんたと言ってもいいわ。まぁ私が何者なのかってのはなしよ』


「つまり、あなたは私の別人格?」


『俗にいうと、そうなるわ。あんたが嫌というなら、私が変わってあげる!!』


 自分かのじょがそういうと、私はこの空間に取り残された。でも、もう良いのだ。私はこうしてる方がいい。いっそ、自分かのじょにこの身を渡してもいい。そう思った矢先だった。自分かのじょが帰ってきた。


『あんたが嫌がってたやつ、懲らしめてやったわ。全く、たかが人一人殺したくらいでギャーギャー騒ぎすぎだっての』


「え?」


 自分かのじょの言っている事に、嫌な予感がする。自分かのじょに諭されるように起きる。すると、私は縛られていたのだった。

 科学者たちは、私の体を見て何かをいう。当然のことに混乱しているせいか、何が何だか分からなかった。

 どうやら、自分かのじょは本当に人を殺したらしい。でも、自分かのじょは人殺しを平然に感じていた。


『ほら言ったでしょう? あんたがどう思うかは知らないけど、私が生きていた時代じゃ、当たり前のことよ。

 まぁ、たかが殺しをしたくらいで、こうなるんじゃ、平和なことよね』


「あなたは、一体!?」


『だから、今はなしだって言ってるでしょう? それに、時期にたどり着くわよ。この時代の人間は、そんな事簡単にできるんでしょ?』


 そう言い残し、自分かのじょはいなくなった。いや、閉じこもったというべきか。

 それから、私は自由時間を使い、自分かのじょについて調べた。調べていくうちに、衝撃が走る。

 彼女こそ、伝説の大英雄『クー・フーリン』だった。でも、何故かの大英雄が私の中にいるのだろうか?


『どうやら、あんたは私の遠い子孫みたいね。私の知らないことで、私の血肉が受け継がれた訳か』


「私が、大英雄『クー・フーリン』の子孫!?」


『そういうことね。んで、私はあんたの人格として、転生したようね』


 私は、クー・フーリンの遠い子孫だったみたいだ。私には自覚は無かったみたいだけど、どうやら長い年月を経て、私の人格として現世に転生したみたいだ。

 だけど、それを受け入れないといけない。私は、自分の生きる道がそれしか無い。その為には、あの時代について、調べながらいけない。

 幼い私は、現代の力を使って、アルスター神話について調べるのだった。

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