前世ニートでも人類の危機が迫る現代ファンタジー世界では怠けないと思うんだが
@noskilldenoyoung
第1話 手違いじゃなく意図的に転生した
「いや、よくないでしょう?」
「いや、やってみよう。これは何も価値のある記憶をもっていない。だから記憶を持ったまま転生しても転生先で技術レベルに影響を与えるようなことは何もできないよ」
「意味がないなら他と同じく忘却処理はしてもいいのでは? 怠けるために言っているわけではないですよね?」
「違う違う。次の転生先があそこだから転生処理も含めて記憶を消さずに送ったらどういう影響が出るかを見たいだけだよ。他にも何体か送ってみて結果を見てみたいね……一応言っておくけど怠けるためでも深い意味があっていったわけでもないただの思い付きでしかないよ?」
「本当ですか? あなたがそういうことを言うときは大抵面倒なことになった覚えしかないんですけど?」
「まあまあ、そういうのもいつものことだろう? お願い!」
「はぁ……なんでお願いと言われたらいつも折れちゃうんだろうなぁ」
「そういうところ好きだよ」
「黙ってください」
そんなやり取りを聞いた気がした。
体が周りの空間に溶けていく気がする。
意識が溶けていく気がする。
感覚がなくなっていくような気がする。
多分生まれ変わる。今の自分は終わりだろうという予感があった。
……でも記憶を持っていくとか言っていた気がするな。
疑問が湧いたがそれでも自分の意識が、身体が溶けていくような、あたりに混ざるような感覚がして。
その後自分が団子を丸めるような感じで固められて再構成されていく気がした。
ひか、り?
団子みたいに固められた自分がなぜか感じる光のほうへ送り出された気がした。
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