第5話 モノクロの写真


 その家に着いた 誰かが 草を刈っているのか?草はそう伸びきってなく玄関が わかる。 


玄関は、広い窓口で両開きの半分下が摺ガラスに なっている。宮本巡査長は その玄関を開けてみた。


案外軽く開ける事が出来た。中は、鍛冶屋の道具や機械でいっぱいだった。


よくは分からないが 火を使う 釜戸の様なもの。その周りには、すすで黒ずんでいる、大きなハンマーの様なトンカチ。 作りかけの釜の様な物が数個、ひっかけたまま。


右の方の戸を開けると廊下でいくつか部屋がある様だ。2つ目の部屋には 崩れかけた学習机があった。


宮本巡査長は、その学習机の引き出しを開けてみていた。鍵のついた引き出しを開けた時宮本巡査長の目が鋭くなった。


モノクロの写真だ そこには 60位の男の人が 可愛らしい、赤ちゃんを抱っこしてる写真だった。


私は なにか 嫌な予感がした。他には これといった物は 見つからなかった。


宮本巡査長が

「この写真さっきのスケさんに みてもらおう スケさんなら これが誰なのか 分かるはず」私達は スケさんの所に 急いだ。


スケさんは まだ畑で作業していた。

「あんたら わかったね 家は?」 

宮本「スケさん これを見てほしいんですが」と さっきの写真を出した。


スケ「あーこりゃー 健さんと 確か 孫じゃわ えれーめんこい子でなー。かーちゃん似じゃったんじゃろう」


宮本「名前 名前は なんといいましたか?」

スケ「孫ね?かーちゃんの方ね?」

宮本「できれば 両方」 

スケ「何ちゅうたかー? えっちゃん 違うなー りっちゃん あー、ちーちゃん呼んじょったなー」

宮本「どっちが ですか?」

スケ「孫の方よ」

宮本「ちーちゃん とは ちえこですか?」

スケ「ちょいと 待ちない 内ん奴 呼んでくるかい 内奴の方が そこら辺は 詳しいかい」


私は あーここらの なんでも 知ってるのは スケさんの奥さんの方かーと 心の中で クスッと 笑った。


スケさんは、家の中から 奥さんを連れてきながら 私達が誰で、何が知りたい辺をゴソゴソ話しながら来た。


奥さんは 昼ご飯を作ってたらしく おたまを、持ったまま 腕を引っ張られながら 草履もちゃんと履けてない状態だった。

 

宮本「奥さん 忙しい所 申し訳ないです おたまから 美味しそうな匂いが します」

奥さんは 少し照れた感じで おたまを後に隠して かっぽぎを整えた。


奥さん「あらー 化粧も、しとらんで みっともない すいましぇんねー なんだか 東京から来た お偉いさんとか ご苦労さんで」 宮本巡査長は この奥さんには いい男に 見えたらしい。


宮本「さっそくですが この写真の この子の事を聞きたいのですが」

奥さん「あーこりゃー 鍛冶屋の健さんと 孫のちーちゃんやねー 確か ちなつじゃった 森 ちなつ」 


さっき宮本巡査長の口から出た「ちえこ」って誰?宮本巡査長の昔の彼女とか 私は 「ちえこ」違ったじゃん と宮本巡査長を 見て 右唇を引き揚げた。宮本巡査長は 気まずそうな顔した。


宮本「知ってる事 どんな事でも いいので 教えて下さい」 

奥さん「ちーちゃんは えれー可愛いしてねー健さんが 一緒懸命育てよったよ 不便ゆうて」

宮本「不便とは?」

奥さん「あー そん健さんの 息子は 名前が (登)いうちゃけど 登は 健さんとは 違って 遊び人で ちっとばかし 見た目が いい言うて オナゴを とっかえ ひっかえ 酒も好きで えれー飲みよったわ ほんで 東京行って 一発、でけーことやったる言うて 東京行ったんは いいけど 全然通用せんで 帰ってきよった ただ そん時に えれー綺麗な女の人 連れて帰ってきて それが ちーちゃんの母親よ🤱」


話ししてる内に スケさんが、立ち話もなんじゃからと みかん箱を 4個持ってきてくれ その箱をひっくり返し 皆座った。


宮本「そのー女の人の名前は?」

奥さん「さっきから なんじゃったか 考えよるけど 思い出せんとよねー お父さん なんじゃったかね?」 

スケ「俺もわすれた」

奥さん「なんせ その女の人は ちーちゃんが 生まれて どんくらいかなー離乳食始まったぐらいには 東京に逃げるように 出て行ったわ 登の怠け癖に 愛想尽かしたのか こん田舎が合わんかったんか わからんけど、あんまり近所の人とも付き合いがなかったねー」


すずは「だから 不便と」

奥さん「いんにゃ それだけじゃなして 登は くしふる峯祭の日に 川に溺れてねー。ほら そこん川よ」私達の目の前の川だ。 


奥さん「それも ちーちゃんの目の前で」宮本巡査長と私は 顔を見合わせた。


宮本「登は 死んだんですか?又 なんで 娘の目の前で?」

奥さん「あれはー 目の前いうか 酒ん飲みすぎで、足滑らせて溺れたらしが、溺れた所は見てのうて 死んでる所を見つけて ちーちゃんが、皆を呼びに来たんじゃった。確か」

宮本「そうだったんですか?」

すずは「可哀想に まだ小さかったんでしょ?」

奥さん「いくつじゃったかなーまだ小学校は 行ってなかったなー。ちーちゃんはな 健さんが それは それは 大事に大事に 育てよった。綺麗な子でなー愛敬もよく 高校卒業した年に なんかのオーデションに 受かったとかで 東京に 行ったわ。健さんは 寂しそうやったなー でも そのうち女優さんになってテレビに 出るから 言うて楽しみに しっとたよ」


宮本「その後 その ちなつさんは どうなったか ご存知ですか?」

奥さん「知らんとよねー 前々聞かんづくじゃった」 

宮本「その ちなつさんの 特徴とか 他に覚えている事は ないですか?なんでもいいです」少し間があって 

奥さんが「ちーちゃんの事じゃないけど…」「なんでもいいですよ 教えて下さい」宮本巡査長は 奥さんを見つめた 

「そのー大した事じゃーないちゃけど ちーちゃんのかーちゃんの左やったかなー耳たぶに 並んで3つのホクロが 確か あった。珍しいなーと 思ったのを今思い出したとよ」


宮本「そうですか で 名前は?」

奥さん「ダメだわ 思い出せない」 

その後私達は 少し世間話をし お礼を行って スケさん家を あとにした。


すずは「ねーどう思います 登と言う人の死 と赤いハイヒール👠の女性の死?」

宮本「うーん まだ 捜査の途中だから なんともー しかし 何かは あるな」

私は、「何かってなーに〜」と心で 思った。

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