第4話 木原進【Walker】3
サポート2を務めるAkariの武器は音を使い攻撃と支援を行うアンプ型圧縮空気発散装置『フロッグビート』。
四連バースト射撃を行う衝撃波の通常攻撃。
スキル一、衝撃波で敵を吹き飛ばす『バーンアウト』。
スキル二、壁面を足場として利用できる『バーティカル』。
スキル三、味方に移動バフと回復バフを切り替えて与える『エンジェルビート』。
一見飛び抜けて強そうなスキル構成に見えるが、武器そのものの火力とレートが低いため一対一性能が低い。
味方が戦いやすいようにバフを起点に動き回る、わかりやすいサポートの見本のような存在だ。
『タンク死んだ! サポートが甘えて前出て来てるから叩きに行こう』
アカリのコールに合わせて、ウォーカーはリボルバーの照準を敵に向ける。
二発、三発と攻撃を加えると敵のサポート1の体力を七割削るがあと一撃が足りず、撤退を許してしまいそうになる。
『ナイス! そのまま前出よう取り切ろう!』
その時、アカリの『エンジェルビート』スキルが移動バフへと切り替わった。
ゲームで操作するキャラに通常移動速度の差は無く、ただ追いかけ回しても距離を詰める事は出来ない。
だが移動速度のバフが加わることで追い詰める選択肢が生まれた。
(曲がり角に入った敵との距離はおそらく三〇メートル、俺の三〇メートルの命中率は六二パーセント。敵タンクの
『エンジェルビート』のバフに合わせてウォーカーは前線を押し上げる。
自陣に帰ろうと背中を見せるサポート1をキルすると、少し遅れてリスポーンしたタンクが『突撃』を敢行してきた。
だが、チームの全員が撤退を始めていく中、一人だけ敵に突撃してくるタンクはただの的同然だった。
『馬鹿がよお。さっきのゲームと一緒じゃねえか』
しまった。と言いたげな動きで自陣に戻ろうとする敵タンクだったが、逃げ帰ろうとするタンクの体を衝撃波が再度吹き飛ばす。
今度は環境キルではない。
前線を上げていたウォーカー達のチームのど真ん中に着地させられたそれの末路は、アマゾン川に投げ込まれた牛にたかるピラニアのようだった。
『タンクタンクタンク!』
アカリのコールで全員の視線が集まる。
巨大な盾があろうが、前方しか守ることはできない。
HPが多かろうが、数字には限りがある。
瞬時に屠られた。
『ナイスチーム! みんな強いぞ! めっちゃ良い当たり合いだった!』
ウォーカーは瞬時に理解した。
このサポートはただ者ではないと。
Sup2:
とんでもなくToxicだった。
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