第2話 木こりの男 2
魔女の家の夜は静かだった。
風の音も揺れる木々や動物の声もしない。
何も無い闇のようだった。
夜が明け、朝になると木こりの男は魔女に願いを伝えた。
「魔女様、もし願いを叶えて頂けるというのであれば、なんでも切れる頑丈なオノを作って頂けませんか? どんな大木であってもすぐに切ることの出来るオノが欲しいです。そうすれば私はもっと仕事を上手くやっていけるでしょう」
木こりの男は仕事に熱心な男だった。
もう一〇年も仕事をこなしていた分、木を切ることに楽しみを覚えていた。
「それが君の望みなんだね」
木こりの男は頷いて、魔法のオノを受け取った。
見た目はただのオノだが、扱いやすさがあるのに重みが確かにある。
これでまた好きな仕事を頑張れるだろうと木こりの男は喜んだ。
「ありがとうございます。魔女様」
そう言うと、木こりの男は魔女の家を後にした。
振り返って見ると、魔女の家があった場所はただの木々の集まりだけがあった。
まるで淫魔に化かされたような気分だったが、手には行きになかったはずの魔法のオノがある。
「試しに何か切ってみるか」
木こりの男は手近にあった木に向けて、オノを振り込んだ。
スコーン、スコーンと四度叩くと、木こりの男と同じくらいの胴回りの木はたちまち崩れ落ちていった。
「これはすごい。まさしく魔法のオノだ」
今まで何度も振るわなければ、切れなかった大木も、これならどうとでもなるだろうと思った。
「急いで家族に教えなくては、これで仕事はもっと上手くなるだろう」
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