ヒットアンドアウェイ!



 俺は早速昨日考えた作戦を行動に移すことにした。とは言っても俺自身はゴブリン達を移動させるだけだけど。


 ――――――――――――――――――――



 昨日。


 俺はもう少ししたら来るであろう村人たちに対しての対策を考えていた。

とは言ってもこっちにはファウストというイレギュラーが存在しているためほぼほぼ負けることはないとは思うが万が一のためだ。

 それに負けないとは言ってもゴブリンたちの数が減るのはこっちの損失になるからなるべく避けたいとこだ。


 どうしようかと悩んでいた俺は一人では無理だと思ったためファウストとヘラを呼んだ。


「近々来るであろう村人たちに対してどうやったら被害を抑えられるか俺だけじゃ考えられなかったから何かいい案がないか考えて欲しいんだ。」


「ボクはそういうの考えるのは苦手だけどカイトさんの役に立ちたいし考えるよ。」


「そうだな。俺自身は負けないだろうが他のゴブリンは違うだろうからな。俺としても同族が死ぬのは気分のいいものじゃねえからな。」


 二人とも考えてくれるようだ。ありがたい。


 …

 ……

 ………


 しばらく頭を悩ませているとヘラが


「カイトさんてゴブリン達を瞬間移動させてますよね?それを上手く使うことは出来ないんですか?」


 という疑問を俺に聞いてきた。


「それなんだが確かに戦闘中であろうと移動自体はできる。ただそれは俺とヘラとファウストだけなんだ。細かく言うと、


 今このダンジョンには一階層と簡単に言うと制御室という2つの区域に別れているんだ。

 そしてその区域の分かれ目がゴブリンたちの生活区とそれ以降で別れていて戦闘中だと区域内での移動は出来ないようになってるんだ。

 そしてこの制御室への立ち入りはファウスト以外は許可していないから移動させることが出来ないというわけだ。」


 ダンジョンの仕組みは正直まだよくわかってないが、出来ることが多いぶん、決まり事も多いみたいだ。


「なら、ほかのゴブリンたちもボク達のところに入れることは出来ないの?」


「それはできるけど…ヘラは味方とはいえゴブリンがここまで来てもいいの?」


「もちろん構わないよ!今のボクはこのダンジョンの一員なんだからゴブリンたちだって仲間だ。それを拒むなんてするはずが無いよ!」


 ヘラ。なんていい子なんだ。

 俺はヘラがゴブリンたちが近くにいるのが嫌かなと思い分けていたがヘラがそう言うならゴブリン達をこっちの枠組みに入れることにするか。


「わかった。ならこうしよう。

 ゴブリンたちは極力二匹一組として動き、なるべく通常のゴブリンとアーチャーorメイジが組めるようにして、少しちょっかいをかけたらすぐに逃げる。そうして配置機能を上手く使いつつ最初の広場で迎え撃つ。

 これなら敵を疲弊させられるしこっちのゴブリンの危険も少ない。

 どうかな?」


「ボクはそれでいいと思うよ!ボクは仲間に傷付いて欲しくないしね!」


「俺も構わねぇぜ。」


「よし、ならそれで行こう。」


 作戦の大枠が決まり、次は細かいことを決めていくことになった。


「ならゴブリン達の指揮はファウストにお願いしたい。俺も多少の指揮はできるけどゴブリンたちに詳しいのはファウストだから俺よりも上手くできるだろうしね。」


「おっしゃ任せろ。俺がやるからには誰も死なせねぇぜ。」


「頼もしいな!」


「そして万が一なんかあった時のためにボス部屋にヘラが待機してて欲しい。ないとは思うけど広場を突破されたら大変だからね。」


「わかったよ。ボクはそれで構わないよ。」


「ありがとう。それじゃ作戦も決まった事だし今日は寝ようか。」


 ――――――――――――――――――――


 こうして俺は攻めてきた村人たちに対して対抗することにした。


 村人達を観察しているとヘラが


「あの一番前にいるのはボクの父親です。まさか来るなんて。」


 といった。


 それを聞き俺はあることを思いついた。


 それは一旦置いておくとして、当初の作戦通りに、少しちょっかいをかけすぐに離脱させまた広場へと移動させるということを繰り返して行った結果、その作戦はドンピシャでハマったようで広場へとたどり着く頃には村人たちは持ってきたポーションも使い尽くし、傷跡も見えるぐらいには疲弊していた。


 そのまま広場に突撃してくるかと思ったが、少し休憩しているようなので今のうちに俺はファウストに考えたことを伝えることにした。


「あの村人たちは生け捕りにして欲しい。そして可能だったらあの1番前にいるやつに対してはあまり攻撃をせずにいてもらいたい。

 前者はここで倒してもおそらくまた人は来るだろうからここで生け捕りにして交渉材料として扱った方が取れる選択肢が増えると思うからだ。

 後者はそいつがヘラの父親らしいということでいいことを思いついたから今は怪我をさせないようにして欲しいということなんだ。無理そうだったらいいんだけど。」


「もちろん出来るに決まってらぁ。それにヘラが辛い思いをした原因ってなら俺も協力するに決まってるだろ。任せとけ!」


「ありがとう。だけどくれぐれもいのちだいじにでよろしく。」


「任せな」


 ということを伝えた。


 その後、村人たちが攻めてきて、返り討ちにし、結果今は村人たちは郎に捕われることになったわけだ。


 何とか作戦が上手くいってほんとに良かった。


 DPも


「【祝】初めてのレイド!

 おめでとうございます!初めての複数人攻略を防ぐことが出来ました!5000DPを支給すると同時に捕虜機能が解放されました。」


 ということでまた溜まった。


 捕虜機能はすぐ使うことになるだろうからここでしっかりと覚えておかないとな。


 ――――――――――――――――――――


 読んでいただきありがとうございます!


 現在のダンジョンは

 入口→細長い迷路→広場→細長い一本道→一応ボス部屋→扉→ゴブリンたちの広場扉→牢屋→扉→生活スペースとなっています。ゴブリン広場以降は区分けが別となっいる感じです。


 あと2、3話ほどで一章が終わる予定なので最後までどうかお付き合い下さい!


 最後に、星一でも評価をしてくれるとモチベに繋がるのでどうかお願いします!

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