村人たち



 (ここが新しく出来たというダンジョンか。

 ここまで来てもダイの痕跡は見つからなかったということはどこか別のところに行ったか……もしくはもう中で…。

 だがダイはこの村でも強いのだからできたばかりのダンジョンなどに遅れをとるはずがないないんだがな。

 やはりあの女を行かせたのが間違いだったのか。


 村長に頭を下げるなんて屈辱だが今はダイを失うのがいちばんマズイ。

 とにかくこのダンジョンを早く終わらせなければな。)


 ダンジョンへと到達した一行は夜も遅いということで周辺で野宿をし翌日にダンジョンを攻略するという形になった。


 ダイの父親は今回一緒に来ている奴らが全員村長派閥のために一人端っこで野宿をしている。

 こいつにとっては何よりの屈辱だろう。しかし、ダイさえ戻ってくればまた村長になる手段は残っていると考えてるため、今回のダンジョンでもどうにかして手柄をあげるために今は一生懸命に策を練っている。


 ――――――――――――――――――――



 翌日になり、村人一行はダンジョンへと、父親を先頭に入っていった。


 いくらダンジョンとはいえできたばかりのダンジョンであるのはわかっているからか、村人たちはそれほど緊張もせずに進んでいく。


 少し進んでいくと何処からかヒュンッと矢が飛んできて村人の一人に刺さった。


「痛ってー!」


 と刺さった村人が叫び、村人たちが一斉に矢が飛んできた方向を見ると2匹のゴブリンがいた。


 片方は弓矢を構えているゴブリンアーチャーであり、もう片方は普通のゴブリンのようだ。


 魔物の数が二匹と自分たちよりも少なく、やっと魔物を見つけたということで村人たちは一目散にゴブリンの元へとかけて行った。

 しかしゴブリンたちは矢や石などを投げつけてはくるもののこっちへと向かってくることはなく、ひたすらに村人達から逃げている。


「おいゴブリン!逃げるなんて卑怯だぞ!」


「正々堂々戦えや!」


 などと文句を言っているが、ゴブリンは聞いていないかのようにひたすら逃げ、角を曲がった。

 村人たちもすぐに曲がったがゴブリンたちの姿が消えていたのだ。


「え?なんで居なくなったんだ。」


「俺たちとの距離はそこまで離れてなかったんだから見失うなんてことは無いはずだぞ。」


「まぁ落ち着け。ここで体力を使う訳には行かないしさっきの攻撃でかすったやつだっているんだ。ゆっくり行こう。ここはできたばかりとはいえダンジョンなんだ。ボスがいるんだからこんなところで体力を使う必要は無いだろ。」


「それそうだな。少し休んでからまた動くか。」


 と急に消えたことに疑問を覚えつつも今後のことを考え深追いはせずに体力を温存しながら進むことにしたようだ。




 しかし、その後も一行は迷路の途中でゴブリンメイジやアーチャーなどにちょっかいを出され続け迷路のゴールへとたどり着く頃には致命傷とまでは行かないものの擦り傷や切り傷などがついている村人が大半となった。


「なんなんだよあのゴブリン共は。ゴブリンなんて普通は一目散にこっちへと来るだろ。」


「あんなゴブリン見た事ねぇよ。しかもなんで毎回見失うんだ?」

 

 入る時は楽しそうであった村人たちの顔も迷路を終える頃には疲れきった顔となっていた。

 とはいえたどり着いたのは事実なため、疲れ切っていた村人たちの顔も少しではあるが生気が宿って来た。


 少しの休憩の後、村人たちは開けた場所へと入っていった。


 中には無数のゴブリン達と、それよりも一回り大きいゴブリンがいた。そこには先程見たゴブリンもいた。


「おまえは!さっきのやつじゃねぇか!」


「さっきは意味のわからん動きをしやがって。今度は逃がさんぞ!」


 と、散々やられてきた村人たちに再び闘志?が宿ったようだ。


 そうして少しの間互いに見合っていたが痺れを切らした村人の1人がゴブリン目掛けて走っていったことで戦いが始まった。


 ガキンッ――


 ヒュンッ――


 村人たちはギリギリとはいえ何とか持ちこたえていた。


 村人は10人ほどなのに対してゴブリンは倍以上いる。しかしやはり体格差というのはあるようで半分の人数ではあるが何とか戦えているというわけのようだ。

 まだあの一際でかいゴブリンが動いてないというのも頑張れている要因の一つなのだろう。


 少しすると村人の1人が


「さっきはよくもやってくれたな!俺の足を傷つけやがって。だがもう捕らえたぞ。さっきのお礼はきっちりとしなくちゃな。」


 先程矢を受けた村人がゴブリンアーチャーを捕まえたようだ。そしてトドメをさそうとしたその時先程まで全く動く気配のなかったゴブリンが突如として村人へ襲いかかった。


 村人はギリギリのところで死は免れたが腕を1本失うという致命傷を受けた。


「痛えよ!……ウウッ」


 村人の幾人かはは慌てて致命傷をおった村人を介抱しに向かった。ただ、その行動をとるということは今まで何とか戦えていた盤面を崩すということとなる。

 もちろんそこからはただでさえきつくなった状況に加え異常な程強いゴブリンも加わり瞬く間に村人たちは制圧され、同じく戦っているように見せていたダイの父親も拘束されたのだった。





 制圧された村人たちは牢へと入れられたがダイの父親だけは別の牢へと入れられた。


 しばらくすと奥の方にある扉がゆっくりと開き、誰かがそこから出てきたのだ。


 ――――――――――――――――――――


 戦闘系とかでは無いので戦闘描写はあまり描きません。というより描けません…。


 更新が遅れてすみません。少し身内が入院することになりそちらの方に集中していたため更新するのを忘れていました。


 明日からはまた投稿していくのでよろしくお願いします🙇‍♀️

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