初めての眷属!
こうして俺はこいつを殺した。
前世含めて初めての殺しだったが不思議と不快感はない。恐らくこいつ自身がカスみたいなやつだったのと、俺自身がダンジョンマスターという人が死ぬことを前提とした仕組みの一つになったことで精神が変わったのではないかと思う。
だが、不快感がないのは俺だけなので彼女はとても気持ち悪そうにしており、牢屋の中で横になっている。
いくら嫌いで殺したい相手だったとしてもこういう状態になるというのはきっと彼女が優しい心の持ち主なのだからだろう。
とにかくしばらくはそっとしておいてあげよう。
彼女を牢屋に残して自分の部屋に戻った俺は、すぐにオプションを開いてみた。するとウィンドウに
「【祝】初めての人殺し!
おめでとうございます!初めてダンジョンに入ってきた侵入者を殺害しました。それを記念して5000DPをプレゼント致します。」
いや、ダンジョン的にはおめでたいことなのは分かる。だけど俺の心情的にはなぁ。
スキル?に何を言っても無駄だとは思うから文句は言わないけどさ。
「そしてダンジョンレベルが2に上がりました。
それにより新たに眷属の項目が解放されました。
【眷属】
眷属はダンジョンマスターに敵意を持たず忠誠を誓ったもの、またはダンジョンに逆らい、ダンジョンの庇護下にあるものによって心が折られたものに対して使うことが出来る。
前者は縛りが少なく、『マスターに危害を加えない』『ダンジョンに不利益を与えられない』の2つを守っている限り縛りはなく好きなように行動することが出来る。これを親眷属と言う。
後者は上記の内容にプラスして、『ダンジョンマスター及び親眷属の命令を拒否することが出来ない』が追加される。これを外眷属と言う。
眷属にすることでマスターは眷属の能力の一部を使うことが可能となり、眷属側にとっては自身の力が上昇する。また、眷属はマスターが死んでしまった場合は強制的に死んでしまう。
以上が眷属の簡単な概要です。
眷属にするにはDPを5000使用しなくてはいけないので慎重に行うことをおすすめします。」
ほほう。ダンジョンレベルが2になったことはとても嬉しいがそれよりも眷属か。
これは非常にありがたい。もちろん戦力アップになるのも嬉しいがそれよりも話し相手が出来るというのはとても嬉しい。眷属にすれば俺自身も強化できるし相手も強くなれる。まさにwin-winの関係というわけだ。
ただ問題なのは後者はともかく前者で結べる人とかいるのかって話だ。
見た感じ後者はどう考えても奴隷だろうし、そんな扱いのやつと楽しく話せるとは思えない。
…
……
………
…………
そういえば彼女はどうだろうか。
彼女は戻る場所がなさそうなことを言っていたし、特段こちらに敵意を持っていないだろう。あとは忠誠だが、少なくともあいつを殺したことで多少なりとも音は感じてくれてる気がする。
というか彼女の悲しそうな顔を見てしまった俺は彼女をこのままにしては置けないと思っている。
話し相手になって欲しいのは事実だが彼女には少しでも楽しく生きて欲しいと思った。少なくとも彼女がいた村よりはこっちの方が楽しく過ごせる。はずだ。
だから、彼女が受け入れるかどうかはともかくとして1度彼女に聞いてみることにした。
とは言ってもさすがにすぐに聞きに行くのはデリカシーがないから彼女が落ち着くまで別のことをしようと思う。
それは、ダンジョンレベルが2になったことであるものが開放されたのだ。
それは宝箱システムだ。
実はこのダンジョン。宝箱がなかったのだ。ダンジョンと言えば宝箱だと言うのにそれがないんじゃ始まらないだろと俺はずっと思っていた。だからさっきのお知らせの時にこのことが書いてあってちょっと嬉しかったのだ。
だが、宝箱が開放されたとは言っても中に入れられるものは小さい魔石か農園で取れるであろう食べ物くらいだけだけど。
でも、宝箱さえあれば多少はマシになると思う。なので俺はさっそく魔石を宝箱に入れてあの広場の真ん中に配置することにした。
ちなみにこの魔石は俺の部屋で作られている。原理は何一つ分からないがなんか部屋の隅から生えてきてるのだ。まるでキノコみたいに。
さて、やることもやったということで少ししたら彼女の元へ行くことにしよう。
しばらくして彼女の元へ戻ると彼女はだいぶ落ち着いてきたようだった。
「ありがとう。ボクのわがままを許してくれて。」
「いや。君の話を聞いたらまともな人なら誰でも俺のようにすると思うよ。」
「そうだと嬉しいな。……ボクも最後にやりたいことが出来たし……後悔はまだあるけど戻ったところでさらに辛いことが待っているだけだからさ。好きにしてくれていいよ。」
やっぱり彼女はもう戻る気もないみたいだし、死んでもいいと思ってるみたいだ。なら先程考えてたとことを伝えても良さそうだな。
「……もし君がいいのであれば俺の眷属になって欲しいんだ。もちろん変なことはしないし君の好きなようにしてくれていい。ただ、俺は君のその真っ直ぐな心がここで無くなるのを見るのが嫌なんだ。あとは……話し相手になって欲しいという気持ちもあるけど…」
受けてくれるといいなと思いつつ俺は彼女に伝えた。
「……ボクはそう言って貰えるのは嬉しい。だけどボクみたいな人じゃ貴方の役に立てるか分からないよ。強くもないし知識もない。
確か眷属にするのはすごい大変だと聞いた事があるんだ。
だからボクみたいな人に使うのはもったいないよ。」
え?眷属にするのが大変ってどういうことなのだろうか。
いや、今はそんなのはどうでもいいか。とにかく彼女を眷属にしたいからな。
「そんなことは心配しなくていいよ。それに俺は君を眷属にしたいんだ。それは変わらないよ。だからどうか眷属になってくれないか?」
どうだ?
「………………わかったよ。貴方がいいと言うならボクは文句ないよ。」
よっっっしゃァー!
「良かった。なら、さっそく眷属になって欲しい。
そうだ。君の名前をまだ聞いてなかった。眷属になるんだから教えて欲しいな。俺の名前は………カイトだ。」
「ボクの名前はヘラ。姓はないよ。」
「わかった。ヘラ…ね。じゃあ俺の左手の甲に軽い口付けをしてくれないか。そうすれば眷属になる……はずだ。」
そうすると俺は左手の甲を出しながら脳内で眷属の設定を行った。
……いや。左手の甲に軽い口付けをするってのは俺の趣味という訳じゃなくてちゃんと必要な行為なんだから勘違いするなよ!
するとヘラは跪いて俺の手の甲にキスをしながら
「ボクはダンジョンマスターであるカイトに永遠の忠誠を誓います。」
と言った。
儀式が終わるとヘラの右手の甲に何やら紋章が出来た。どうやら眷属にはああいう感じで紋章ができるようだ。
こうしてヘラは俺の眷属となったのだった。
――――――――――――――――――――
これにてダンジョンの初仕事?が無事終わりましたね。
もちろんあの村をタダで済ますわけは無いので残りの話も楽しみにしてくれるとありがたいです。
まだまだ文章力もなく拙い話ではありますがここまで読んで頂きありがとうございます。
良ければ星1でも評価をしていただけるとモチベにつながりますのでお願い致しますm(_ _)m
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