【一章完結!】クラスのギャルに『わたしのママになって!』と言われてVTuberのデザインを始めたら、いつの間にか俺も一緒にVTuberになって人気が爆発した件。
幕間2 Alter'd雑談リレー配信 昼神ユキヤ
幕間2 Alter'd雑談リレー配信 昼神ユキヤ
Alter’d、他メンバーが絶対聞かない雑談リレー。
トップバッターの暁原カガリに続いた二番手は、作曲担当の昼神ユキヤ。
オープニングトークや説明を終えたのちの、彼の第一声は。
「それでえっと……僕に質問とか知りたいこととかある?」
奇しくも、若干自信なさそうな質問という点では暁原カガリと同じタイプの言葉だった。
『あるに決まってんだろ!』『興味ありまくりですとも』
『質問届きまくってるの見てないの!?』
「いやもちろん全部目は通したしありがたいことにたくさん届いてくれてるよ!? だからこそその、疑問で。……実のところ基本僕って声で採用されたリアクション要因的なものだと思ってたから」
恐らくはこれまで、他メンバーと比べると配信に出る回数が若干少なかったことによる純粋な疑念なのだろう。けれどそれにはリスナーが次々に答える。
『おいおいそいつは聞き捨てならないな』
『ほたるが聞いてなくてよかったな、聞いてたら怒られてたぞ今の』
『声以外にも興味津々なんですけど??』
『頑張り屋だし』『なんだかんだではっちゃけ適性あるし面白いよな』
『曲もめちゃくちゃたくさん提供してるじゃん』
「それは、その……どうもありがとう」
『はいかわいい』『かわいい』『あざてぇ……』
『これはほたるやあおい先輩に突っかかられるのも納得のあざとさ』
『ここまであざといと逆に男じゃなかったら許されないレベル』
『ユキヤくんかわいいねユキヤくん』『うちこない?』
「だからこの流れ毎度毎度なんなの!? 未だに僕わかんないんだけど!!」
と、『昼神ユキヤは一旦誉め殺しにして捌けるキャパを超えたらかわいいを連呼する』という謎の様式美によって多少緊張もほぐれ、そこからはテンポ良く質問に答えていった。
「『格好良い男を目指すなら一人称を変えてみても良いのでは?』ね。これ、僕の考えは逆で──本当に格好良いやつはどんな一人称だろうが格好良いと思ってて。形から入るのも重要だけど、上辺しかこだわらず自分を変に曲げるのも違うと思う。だから僕は『僕』のまま、格好良さを突き詰めるつもり」
『急にイケメン回答するね???』『これが可愛いと格好良いの反復横跳び』
『本当に格好良い奴は一人称に関係なく格好良い……僕ちんもそう思うお』
『おいどんも同意でごわすごわす』『朕は国家なり』
「もちろん限度はあるし一人称以外も引っ張られてんだよ。僕と薩摩とフランスに謝れ」
そんなネタコメントも捌きつつ、
「『その可愛い声は生まれた時からですか、揶揄われたりとかしなかったですか? 心配です』。生まれた時からってのも変だけど……一応変声期らしきものはあったよ? 変わった結果この声になったってだけで。それと揶揄われるのは……まぁこれもあったけど大丈夫、少なくとも過剰に言われた分はやり返してたから。心配ありがと」
『神の変声期ってことか』『神様ありがとうございます』
『そしてエピソードが強ぇ……』『可愛い声と見た目に似合わぬ強気なのいいぞ』
『牙を見せるのは大事よね』『牙を持ってるタイプのポメラニアン』
『さらっとお礼で締めれるのもイケメンよ』
彼らしい回答で視聴者にユキヤという存在を見せもしつつ。
そうしていよいよ、本命であるAlter’d結成編のお話へ。
「と言っても……多分大筋はカガリから聞いてた通り。ほたるがカガリを誘って、そこからカガリがあおい先輩に師事して、その翌日に二人が僕のとこに来て。そんで……」
『分からされたと』『分からされたのね』『分からされたんだよね』『即落ち二コマ』
「オーケー大体カガリが何強調してたか読めた、やつは後でしばく! ……まぁ、そこでほたるの歌聞いて作りたいと思ったのは事実。でも……実はそこからすぐに仲良くなったかって言われるとそうでもなくて」
『みたいね』『それはしゃーない』
『特にAlter‘dのみんなは揃いも揃って我が強いし、相性もあるしね』
「そうなんだよね。僕も最初は塩対応して……にも拘らずその後も二人揃ってがっつり話しかけてきてね! もちろん本当に不快じゃないラインは守ってたし、ちゃんと敬意もあるのは伝わってたけど……それでも流石に思ったよ──陽キャで僕を挟むな、と」
『草』『それは草』『確かにあの二人に挟まれるのは日陰の住人にはね……』
『ほたるは言わずもがな陽の権化だし』
『カガリも普段は陰寄りだけど、配信やほたるといると若干ほたる化するらしいね』
『やはりあの母娘はてぇてぇ……』
「そのてぇてぇ本人がいないとこでも侵食してくんの、逆にすごいね!?」
最早これもチャンネル名物と言って良いのかもしれない。驚きつつユキヤが続ける。
「しばらくはそんな感じで、すぐに仲良くなったわけじゃない。各々の抱えた問題もあったし、むしろお互いに知り合ったことでそれが浮き彫りになったりもしたし……恥ずかしい話だけど、多分馴染むのに一番時間がかかったのは僕だと思う」
『そこ詳しく聞きたい!』『Alter’dができていく過程を無限に知りたいんじゃ』
『今仲良しなのはよく知ってるけど、その分だけそこまでが気になるというか』
『無理にとはもちろん言えないけど、推しのことはなんでも知りたいものなのよ』
その言葉に、驚く。
だが同時に、ここまで自分たちを──当然ユキヤも含めて受け入れてくれているということで、詳細に話す覚悟が彼の中でも決まって。
「うん、分かった。それじゃあその後……カガリのことを少しだけ認めたところから話そっか。──聞いてくれる?」
そう問いかけたユキヤの言葉に、視聴者はもちろん──
『当然清澄するので今の「聞いてくれる?」をもう一回お願いします』
『今の聞いてくれるボイスが可愛すぎて話に集中できないかもごめん』
『聞いてくれるボイスを販売しろユキヤ』
「よーしアンタら全員そこに並べ!!」
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