【一章完結!】クラスのギャルに『わたしのママになって!』と言われてVTuberのデザインを始めたら、いつの間にか俺も一緒にVTuberになって人気が爆発した件。
幕間1 Alter'd雑談リレー配信 暁原カガリ
幕間1 Alter'd雑談リレー配信 暁原カガリ
Alter’d、他メンバーが絶対聞かない雑談リレー。
それは四人組高校生創作VTuberユニット、Alter‘dが結成後少し経ってから行われた雑談配信企画である。
それまでの活動により人気を得た結果、視聴者から、
『Alter’dの結成秘話についてもっと知りたい!』
『メンバーの高校での様子とか内情をより詳しく教えて欲しい!』
との声が多く届いた結果それは企画された。
タイトル通り四人が毎日リレー形式で雑談を行い、各々の雑談中は『絶対に他メンバーが配信に現れず内容も聞かない』という縛りを設けることで、そのメンバーだけでなく他メンバーに対するより踏み込んだ印象や秘密なども聞くことができる。
またそれが今後の配信のネタにもなるという視聴者配信者双方に有益となった、その時点で初配信や顔合わせ配信に次ぐ同接を達成した人気企画である。
そんな配信のトップバッターは、暁原カガリ。
彼はトップバッターということでまずは企画概要を説明したのち、改めて──
「──ねぇ、ほんとに
そう、不安に満ちた声で視聴者へと問いかけた。
「大丈夫!? ほたるに言われてこうしたけどちゃんとみんな楽しんでくれる!? 愉快な俺でも小学生の俺でもママの俺でも超人カガリアスでもなくていいの!? 本当に素の普通な俺で受け入れてもらえる!?」
『ええんやで』『雑談の時くらいは俺らも普段のカガリを見たい』
『逆に普通のカガリの需要が今高騰しているまである』
『というかそこまで自分が複数種類出てくる時点で普通じゃないのよw』
『ねぇ超人カガリアスの字面だけで笑わせてくるのやめてwww』
大分恐る恐るの問いかけだったのだが、コメント欄の回答は優しい。本当Alter’d視聴者層の民度は良いのだ、これがほたるの人徳というやつか。
そんなことを考えつつ感謝を述べ、早速質問回答に移っていく。
「そんじゃ話題に出たし、配信時の性格方面の質問から答えていこっか。『どうやって配信七重人格を作ったんですか?』ね。これは人格ごとに違ってて……まず普段滅多に使わない人格に関しては、ぶっちゃけノリとパッションです」
『おいおい天才っぽい回答じゃないか』『いやカガリはそういう奴じゃない』
「解像度の高いリスナー助かる! 正直これは才能というか心構えの問題で……本職の役者とかでもない限り、『役になりきる』クオリティはこれもぶっちゃけるとどんだけ羞恥心を捨てられるかだと思ってて。『これをやったら変じゃないかな』って思考を初手でゴミ箱に捨てれば結構なんとかなるかなと」
『なんとなく分かるかも』『それこそ高校の文化祭の劇とかそんな感じよね』
『一定レベルまではとにかく心の中でもなり切ることが重要ってことね』
『この辺り聞くと、本当カガリは常人の感覚で共感できる』
『だとしても本当に、しかも複数やっちゃうのは只者ではないんだけど』
「そんで普段使いしてるやつ……みんなが『愉快なカガリ』って呼んでくれるやつは実はもっと単純。基本的な人格のベースは俺のままで、諸々の基準とかテンション感とかだけを別の人に合わせてる感じ。誰にかっていうと──まぁ予想つくと思うけどほたるね」
『納得』『あの常時愉快テンション女に合わせてたらそりゃああなるか』
『まさにこの娘にしてこの母あり、だったんだ』
『てぇてぇ』『娘の真似して頑張って配信に馴染もうとしてるママてぇてぇ』
「君ら最近ほたる関連の話題ならなんでもてぇてぇに繋げようとしてない!?」
そんなやり取りでメンバーの性格に回答し終えたところで、次の質問。
「『Alter’dの結成秘話について詳しく教えて欲しいです! 誰がどんなふうに出会って、どんな出来事があって今みたいな関係になってるんですか!?』。正直これはマジで全部語ろうとしたら長くなるからその点で困るんだけど……!」
『草』『あの個性的すぎるメンバーだからな、そりゃ集まるまで色々ありそう』
「というか、この手のはリーダーのほたるの方が語るのは適任じゃないの……?」
『そのほたるが最初語るならカガリだって言ったんだぜ、昨日の配信で』
「マジで!? ……あー、でもそっか」
コメントの指摘で知った情報から、燎はすぐに思い至る。
「確かに……なんだかんだで他の全メンバーと一番早く会ってるのって俺だしな」
『そうなんだ!』『マジか』『てっきりそれは発起人のほたるかと』
『その辺りすごい紆余曲折ありそうな気配が普段の配信からもしてるのよ』
「紆余曲折はねぇ……うん、そりゃありまくりましたとも。まずほたるとは普通に初対面で大喧嘩したし」
『!?』『なんで!?』『あのてぇてぇ二人が!?』
『あ、それはちょろっと聞いてるかも』『ほたるが前話してたね』
「いや、ほたるだけじゃないな。三人と一番最初に会ったのも俺だし……あの、言いにくいけど……三人からの最初の好感度が一番低かったのも俺だと思う。師匠とユキヤに関しては最初だけなら明確にマイナスだったと思うよ。……自分で言ってて傷ついてきた」
『今あんな仲良しなのに!?!?!?』『それ、そこが聞きたいの!』
『それは絶対初耳! 逃すな!』『詳しく聞かせろミランダ警告は無い!!』
『絶対に聞きたい! 高校生VTuberのエモいエピソードを求む!』
『そこからどうやって仲良くなったんですか!?』
『ここから良質な青春が摂れる気配がしてるんだよォ……!!』
「コメ欄の速度がすごいことになってる! そこ聞きたいのね分かった分かった教えてくれてありがとう! だからそのもうちょっと静まって!」
需要を理解しつつ、コメント欄に慌てつつ。
「ん、了解。……まぁ話せないこともあるし、正直自分の未熟だった部分も話すかもだからあの……できれば嫌わないで欲しいんですが」
『気にするな』『今のお前がすごい奴ってのは知ってる』
『そこからの成長も込みでAlter’dを推してるんだから』
「あったけぇ……!」
そしてコメント欄に感動しつつ──燎は口を開く。
「そんじゃあ、話そっか。まずは……知らない視聴者さんも居るみたいだから一旦はほたると出会った時の話をダイジェストで。そんでその後は……」
思い返す、Alter’dの残り二人との出会いを。
「師匠、あおい先輩とユキヤがそれぞれ即落ち二コマをかましたところからかな」
『どゆこと!?』『詳しく聞かせろ!』
『真面目な馴れ初めで出ちゃいけない単語が出てきたぞw』
『これだからAlter’d推しはやめられねぇ!』
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