お墓守様
とある市の周辺にて墓地が次々に荒らされるという事件が起きた。
警察は犯人の見た目も何もかもがわからず捜索は頓挫していた。
だが、霊的なものの関係者いわくそういったいわく憑きの話ではないらしい。
人為的な者による犯罪とされ捜索が出されていた。
最もそのニュース聞いたほとんどの人物が霊的な存在など信じることはなかった。
そのニュースが流れた夜の日のことだった。
不自然にトラックが墓地の周りに止まったのだ。
いや、これだけ不自然というのはいささかどうかと思うもが実際にトラックに乗っていた約三名の人物は全身黒ずくめでマスクをし、全員がスコップかシャベルを保持していた。
なぜ、墓を荒らすかはこの人物たちにしかわからないものの三人の動きに迷いはなかった。
それどころか慣れさえも感じることができたのだ。
だが、夜の墓地というのはさすがに犯罪者三人も怖いのか特殊なお守りのような物を常備していた。
三人は一つの墓に近づくとともに墓の下を掘り出す。
その時だった。
チリンと鈴のような音がした。
その音に気づいたのか。
一人の人物が反応する。
「おい。今、何か音がしなかったか?」
「まさか。人払いは済んでるだろ?霊とかそういう類もこのお守りのおかげで何もよってこないっぽいしな。」
「・・・気のせいか。」
もう一人の言葉を聞き安堵するように活動を再開する。
そして三人のうち一人が地中に何かを見つけたのだ。
「あたりだ。」
三人はその墓の周りに集まり地中に埋まっているものを探そうとする。
「・・・これは、なんだ?骨でもなさそうだけど。」
三人が掘り出したものは箱でありその箱を開けるとそこには鈴があった。
特別すごい装飾のついた鈴ではない。
強いて言うのなら昔ながらの鈴であろうか。
三人は目的のものではないと判断したのか鈴を箱に戻すとそれを袋にいれる。
どうやらこういう物を売り払える場所を知っているようで目的の物でなくとも売ることを決めたようだった。
しかし、三人は気づかなかった。
初めにチリンと鈴の音が鳴った時から墓の周りの景観が変わりそしてお守りが黒く染まっていることに。
三人はそのまま何度も墓をほっていく。
だが、目的だったものは見つからなかったようで三人はすぐさま何事もなかったようにトラックへと戻って行った。
三人がトラックに戻った時一人が違和感に気が付いた。
「なんか暗くないか?」
墓の周りに街灯は少ないものの来たときにはあったはずである。
「壊れたんだろ。このくらいなんともねぇよ。」
そういいながら車のライトを付ける。
そうしてトラックは動きだしていく。
トラックが墓地の敷地を出た時また音が鳴った。
鈴の音である。
一人の人物はそれに恐怖を感じたのかお守りを見る。
だが、お守りはいつもと"同じ"見た目であり、特に効果は発動してないようだった。
その人物は安堵し前を見た時だった。
そこは墓地であった。
「へ?」
「なにしてんだ?掘るぞ。」
一人がそういう。
「ああ、そうだったな。」
それにつられ動き出す。
だが、いつの間にか一人がいない。
二人なのだ。
「あれ?あいつは?」
「あいつ?俺たちは元々二人で来ただろ?」
「は?」
「なにいってんだ。ほらさっさと掘れよ。」
そういって墓を掘り出す一人の人物。
だが、もう一人は違和感をもったのかそこから動くことはなかった。
お守りをもう一度みる。お守りに変化はない。
本当に二人で来たのだろうか。
だんだんと自分が信じられなくなっていく。
しかし、いつまで突っ立ていてもなにも起こらないので墓を掘り始める。
「お?何か見つかったぞ。」
一人の人物が掘り当てたのは一つの箱であった。
その中には鈴が入っておりなにかしらの呪物だと判断した二人はそれを売るために袋に入れる。
しかし、どんだけ掘っても目的の物が見つかることはなく二人はトラックへと戻って行った。
「なあ、ここに寺みたいな建物ってあったか?」
そこには昼間に偵察に来た時にはなかったであろう何かしらの建物があった。
お守りはまだある。
二人はなにか売れるものがあるだろうとその建物へと向かっていく。
向かっていくことがまるで必然であったかのように。
体が吸いこまれるもしくは体が操られているみたいに足が動いていく。
そして建物の扉を開けた時だった。
景色が一遍しする。気が付けばそこは日本庭園だった。
二人は混乱と同時に若干の興奮があった。
それはお守りという絶対的な安寧があったから。
自分たちは大丈夫であろうという驕りがあったから。
チリンとまたもや鈴の音がなる。
気が付けば、一人であった。
そして手には鈴の入った箱があった。
何かがおかしいことは理解している。
だが、それが何かは理解できない。
もしかしたら脳が理解すること拒んでいるのかもしれない。
『ここでなにをしている?』
一人の男は驚いた。
人払いはしたはずだったのに。なぜここに人がいるのか。
そう思いながらも誤魔化すために声の方に向く。
すると、そこにはまさに鬼の形相・・・いや、鬼そのものがいたと言えるだろう。
お守りはまだ効果がでていない。
おそらく、危害を加えられなければ発動しないのだろう。
男は逃げた。
それはもう全力で。
トラックに乗りすぐさまエンジンを起動する。
走っている途中に何か話かけられた気もするがそれを無視してトラックを動かした。
ドンドンドン
ふと、気が付くとトラックの窓に何かがぶつかっている音がした。
恐怖を感じながら窓を見る男だったがそこにはなにもいない。
そして前を向く。その時だった。
目の前には先ほど墓所にいたはずである鬼がいた。
「ひっ。」
『なにもいらない。・・・いらない。』
鬼が何を言っているのかはどうでもよかった。
すぐさまトラックを止め外に出る。
すると、そこは壊れた墓石が大量にある平原であった。
日本にこんなところがあるなんて聞いていない。
あるのならもう少し有名になっていただろう。
後ろからは鬼が迫って来ていた。
それに逃げるように走る。
それはもう全力で。
だが、距離は一向に変わらない。
ふと男は気が付く。
常に一定の距離が空いていることに。
トラックの時は確かに目のまえにいたものの外に出てからは男が止まろうが走ろうが常にほぼ同じ距離がおかれていたからだ。
男はお守りを強く握って鬼の方へと歩いていく。
男の予想通りに鬼は足を動かすことなく、後ろに戻っていく。
その光景は傍から見れば実におもしろいであろう。
かたや、お守りを強く握って小さな足取りで動く男。そして見た目こそ怖いものの等速直線運動のような動きをする者。
しかし、男はいたって冷静であった。
そしてトラックがあったところまで戻ってきた時だった。
道路であったその場所は崖となっていた。
もちろん、そこにトラックはない。
男はお守りを強く握る。
そして走り出した。
崖に向かって。
そして崖へと落ちて言った。
次の日三人の死体が墓地で見つかった。
警察は物から墓荒らしの犯人の断定するもこの三人を殺した人物をまた捜索することなった。
だが、三人の死因には謎が多かった。
一人目は落下死のような状態で骨や内臓が傷ついておりそれはまるで数十メートルの崖から飛び降りたような状態だったという。
二人目は脳みそが空っぽだったのだ。これは言葉通りであり、死体を解剖した際に本来脳みそがあるはずの場所になにもなかったのだ。
それ以外に傷ついているところなんぞ見当たらない。
三人目に関しては外傷は一つもなかった。
原因不明の死として扱われた。
もちろん、この事件に関わった警察やその他人物を含め全員がお祓いをしたという。
その三人の原因不明の死のニュースを見て一人の私立探偵は言った。
「自業自得だね。」
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