第9話 初攻略を終えて
波「僕の予想だけど、『バリア』を上げるのは魔力量だと思うんだよね」
蓮「じゃあ、ハルは魔力量を上げるのか?」
波「いいや、魔力量と知力の二つを上げることにするよ」
香、蓮「「二つ?」」
蓮「そんなことできるのか?」
レンとカオリは二つのステータスを上げるという事を考えすらなかったからか、二つのステータスを上げれるという事に気づいてなかった
波「大丈夫だよ。ほら、スキルポイントを振り分ける場所で二つ同時に選べるよ」
香「ほんとだ。選べる」
波「まぁけど、二人は1つに絞っといてもよかったから気にすることはないんじゃないかな」
蓮「それもそうか、もし二つ目を考えるとしても候補が無いし」
香「私も」
レンもカオリもそれぞれが目指すべき方向というのは見えているからこそ、それぞれ「俊敏性」や「魔力量」という方向に舵を切ることが出来た
だが、ハルについてはどうだろうか、彼には元から持つものとしての”知力”があった。そして彼のスキル「鼓舞」と「バリア」はどちらもサポート能力が特に強く出ている。つまり、彼一人が何か局所的に強くなったところでPT全体への貢献度は低い
それよりも、バリアを少し使い勝手を良くしたり、自身がかねてから持っている”知力”を向上させる方がPT全体への貢献度としては高いものになるとハルは考えた
波「けど、これをやったところで焼石に水だとおもうんだよね。やっぱり二人に頼る割合が大きいと思うんだよね」
香「そんなこと気にしなくていいわよ」
蓮「そうだぜ、攻略は3人でやるんだから、3人で強くなれることを考えていけばいいだろ」
何回も言うが、彼らの目的は個人で強くなることではない。彼ら3人でダンジョンを攻略することだ
蓮「けど、ハルは俺達に頼るって言ってるけど、俺たちが頼る方が多そうだよな」
香「そうね。まだハルのスキルが無いと私たちも存分に戦えなさそうだし、成長したとしてもハルの発想は必要だと思うんだよね」
波「そうかな。それならうれしいけどね」
それから、各自でレベルアップによって変えたステータスの確認をしながらリトルボアを何匹か倒して初日の攻略はおしまいにした
といっても、低レベルでの変化なんて、それほど大げさなものがないのでPTの連携を確かめる役割の方が大きかった
◇ ◇ ◇
ダンジョンを出た俺達はそれぞれの家に帰るんじゃなく、香織の家に直行した
理由は明白、これからの「すき焼き祭り」があるからだ
香「早く帰るわよ。すき焼きが私たちを待ってるんだから」
波「ほんとに香織はすき焼きが好きだね」
蓮「それな、しかも男の俺達よりも肉食べるし」
「すき焼き祭り」は香織の身に何か良いことがあったり、元気づけるときに行われる祭りで、香織、蓮、波留の家族を巻き込んだ大規模イベントだったりする
まぁ、大規模イベントとはいってるものの、それぞれ3家庭で回しながら行われてるので、ほぼ月1でなにかしらを行っている。例えば、蓮の家が主体で行うときは「BBQ大会」、波留の家が主体で行うときは「3家庭合同キャンプ大会」などだ
ちなみに大会といってるのは、最後にどこの家庭が一番楽しめたかを競うためだったりする。香織の家の「すき焼き祭り」だけは香織を喜ばせるためのイベントなので、周りとの競争部分は無い
ダンジョンからしばらく移動すると、香織の家が見えてきた
ちなみに、香織の家を向いて左隣が蓮の家で右隣が波留の家だ
香「ただいまー!」
香織が今日一番の笑顔で家に入ると、奥のほうから「おかえりー」という声とともに香織の母である雫さんが出てきた
雫「配信見てたわよー。とりあえず無事に終わってよかったわ」
香「ほんとにね。何回も話をしていたとは言え、本番になると流石に怖かったわ」
波「だねー。少しでも失敗したら終わりだから僕も怖かったよ」
雫「その割にはかなりギリギリの戦いをしていたみたいだけど?」
多分雫さんが言っているのは、波留のバリアだったり、香織の魔法攻撃のタイミングだったりは正直少しタイミングがずれていたら怪我をしてもおかしくなかったことだろう
波「大丈夫だよ、ちゃんと考えてるし、もし危ないときは蓮が助けに入る予定だったから」
蓮「だな、一応俺も『身体強化』を発動していたから危ないときは間に合っていたと思うぞ」
雫「あなた達の事だから大丈夫だとは思っていたけど、それでも見てる側としては不安で仕方なかったわ」
今日の俺達のダンジョン攻略を監視する役割だったのは雫さんだったのだが、どうやら文字通り一部始終すべて見ていたようだ
香「もう!小言はいいから早くすき焼きを始めましょうよ!私もうお腹すいて仕方がないのよ!」
雫「あらあら、そうね~早く初めて上げたいのは山々なんだけど、まだ食材調達組が帰ってないからね~」
蓮「あれ、母さんたちもう帰ってきてるの?」
雫「あなた達がダンジョンから無事帰ってこれるか不安だったから早めに帰らしてもらったそうよ」
波「そこまで心配しなくてもいいのに・・・」
雫「それだけあなた達の事が大事なのよ。親の愛情は素直に受け取っておきなさい」
それから、蓮と波留の親が来るまで雫さんとダンジョンの話をしていた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
更新が遅くなって申し訳ないです
地の文の中で登場人物たちをカタカナ表記でしていたり、漢字表記にしていたりすると思うのですが、ダンジョン内では配信時のアカウント名であるカタカナ表記で、ダンジョン外では、それぞれ幼馴染としての漢字表記にしています
まぁ、気づいてないところで間違えている可能性もありますが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます