第8話 レベルアップ
さて、これまでのリトルボアとの戦闘において共通していることが一つある
それは、ハルのかけた『鼓舞』によってINT、つまり”知力”が色濃く上昇したということだ
『鼓舞』は対象の全ステータスを発動者のステータスを基準に15%上昇させる。その中で二人とも”知力”の上昇を自覚できたということは、3人の中でハルが最も知力が高いということだ
ちなみに、ハルの知力が高いからといって、レンとカオリの知力が低いかというとそうでもない
ダンジョン攻略を進めるうえで、もしダンジョン内で大けがをして攻略を続行できないことになっても大丈夫なように大学進学で困ることがないレベルは知力が高い
ただ、ハルは他二人に比べると断トツで知力が高く、わかりやすい例を挙げるなら日本最難関といわれている大学の合格判定を現時点でA判定出すレベルでは高い
まぁ、”知力”というのは単に学力と紐づけることはできず、状況判断能力、戦略を組む力なども含められているので、その”知力”が高いハルの使用する『鼓舞』だからこそ、他2人の戦闘に大きな影響を与えた
方や発動確率の低いスキルを相手の攻撃を見切ることで発動確率を上昇させ、方やただの氷塊を作り出すことが出来なかった人間の氷の生成能力を大幅に上昇させた
これは、他の『鼓舞』を持っている人達とは全く違う効果なのだ
普通、『鼓舞』というのは、序盤は死にスキルになっていることが多い。というのも、ステータスを発動者を基準に15%上昇させても、序盤の上昇値はたかが知れている
だから、ほとんどの人は優先的にステータスを上げてもらうことで、パーティーへの貢献を高めることを主としている
しかし、ハルの『鼓舞』は最初期の試し打ちの段階から他のメンバーへ大きな貢献をしていた。これはある種の異常である
まぁ、『バリア』と『鼓舞』しか持たず、攻撃手段を持っていないという欠点を持っていて、基本的に守られる立場になるというのは、ダンジョン攻略においてかなりの足かせとはなるのだが、この3人にとってはあまり関係がない
なにせ、3人で攻略するというのを目的としていて、3人とも活用しにくいスキルを持っているのだからお互い様なのだ
テレレン―
レン達3人、いや、ハルとカオリの戦闘が終わってしばらく3人で連携を取るためにリトルボアを狩り続けていると、3人の頭の中に音が響いた
蓮「なんだ?今の音は」
波「多分レベルアップじゃないかな?」
香「レベルアップってステータスが上がるやつだっけ?」
これまでの中でも少し出てきているが、ダンジョン内ではステータスを上げることが出来る。それが「レベルアップ」だ
冒険者は全員レベルというものを持っていて、それを上げることでステータスを上げることが出来る。ただ、上げることが出来るといっても、ダンジョン外でも影響が残るのはその冒険者の直接的なステータスに限る
例えば、魔力量を上げたとしても、ダンジョン外ではスキルを使うことはできないので、ダンジョンから1歩外に出ればただの人と変わらない
ただし、”知力”や”筋力”、”俊敏性”といったものはダンジョンの外でも上昇した状態となる。だからこそ、冒険者には冒険者になるための試験というのが存在する
もし、冒険者がダンジョンの外で問題を起こしたときに特別な対処が出来るように、車を運転するときに運転免許証が必要なのと同じように、冒険者にもそれなりの責任を負わなければならない
特に冒険者になってからの責任として大きいのが、公式なスポーツへの参加禁止だ
これは、ステータスの上昇している冒険者がスポーツに参加することで一般のプレイヤーに対しての怪我のリスクを無くすためである
といっても、公式でなければいいので、冒険者のみを集めたスポーツサークルもあり、そのサークル間で試合を行ったりもしているし、その試合を一般人が観戦することもできる
冒険者によるスポーツは、子供の頃に見ていた超次元スポーツアニメのような動きが見れるということで特に男性に人気なコンテンツになっている
そんなレベルアップにおける冒険者への恩恵だが、意外と簡単に管理をすることが出来る
というのも、ダンジョン端末からステータスの上昇をいじれるからだ
レベルアップをすると、スキルポイント、通称SPというのがダンジョン端末内にて確認することが出来る。それを自身の振り分けたいように、ステータスに割り当てることで簡単に調整できる
そもそもダンジョン端末は配布されたときにも説明されているが、所有者の魔力によって作動している
つまり、簡単に言うと、端末と所有者はリンクしている状態になる
だからこそ、所有者は端末を使用することが出来るし、端末から所有者の情報を操作することもできるのだ
香「これ、SPってどれに振り分けた方がいいとかあるのかしら?」
蓮「カオリは魔法を使うことが多いんだし、とりあえず魔力量を増やせばいいんじゃないか?」
波「そうだね、カオリが魔法を使えなくなると中遠距離の攻撃を出来る人がいなくなるから、まずは魔力量でいいと思うよ」
香「そっか」
蓮「俺は、俊敏性かなぁ、『身体強化』を使って思ったけど、正直俺はパワーでゴリ押しするのは苦手だわ。それなら早く動いて『クリティカル』を当てれる回数を増やす方がいいと思う」
波「僕もそれでいいと思うよ。それじゃあ僕はどうしようかな、今日の限りを見てると”知力”を上げて『鼓舞』の効果を上げるのがいいような気もするけど、『バリア』ももう少し使い勝手を上げたいんだよね」
蓮「けどさ、『バリア』ってどれで上がるんだ?」
香「確かに・・・」
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