第7話 カオリの技術
香「私とハルのスキルの試し打ちっていっても、攻撃スキルは私しかないじゃない」
波「そうなんだよね、僕は『鼓舞』しか出来なそうだ」
蓮「ちなみに、カオリのスキルってすぐに発動できるのか?」
香「ん~っと、少し時間がかかるのよね。大体1秒くらいかしら」
波「なら、その間は僕がバリアで攻撃を防ぐって方向の方がいいかな」
ある程度作戦が決まったことで、さっきレンが倒したリトルボアとは別の個体に近づいた
ある程度近づくと向こうもこちらに気づき、攻撃態勢に入った
波「それじゃ、いまからくる攻撃は僕が防ぐから、防いだ後の隙に攻撃を打ち込んでね」
香「わかったわ」
リトルボアが前右足を何回か地面にこすると、カオリに向かって突進してくる
(バリア!)
ハルが突進してくるリトルボアの目の前にバリアを設置することで、リトルボアはバリアに衝突しバランスを崩す
(ここね!氷魔法発動!)
カオリが手をかざすと空気中に氷の塊(球体)が生み出され、その塊がリトルボアに向かって発射された
ゴン!
氷の塊がリトルボアに当たり、体がよろける
ただ、攻撃の威力が足りなく、倒すまではいかなかった
香「倒せなかった!どうしよう!」
波「もう一回攻撃の準備をして!次は僕がカオリに『鼓舞』をかける!」
香「わかったわ!それじゃあ、もう1回だけ、あいつの攻撃を止めてもらってもいい?」
波「任せて!」
二人で話し合っていると、体制と整えたリトルボアがもう一度こちらに向かって突進攻撃をしてくる
(バリア!)
さっきと同じように、リトルボアの目の前にハルがバリアを張ると先程とは違った効果が見られた
バリアに当たったリトルボアが突如として体が凍ったのだ、といってもそれは一瞬で直ぐにその氷は解けたが、バリアに当たった反動と、一瞬氷漬けされた影響でリトルボアの動きが鈍った
香「準備できたわよ!」
波「!『鼓舞』発動!」
さっきまでと違う状況に戸惑っていたハルだが、カオリの発言で我に返り『鼓舞』を使用する
(これが『鼓舞』を受けてる状態なのね、さっきまでよりも相手の事を冷静に見れるわ)
やはり、レンの時と同じように”知力”の上昇が特に色濃く出ている状態のおかげで、さっきまでよりも冷静にカオリは『氷魔法』を発動することが出来た
カオリの魔法で作られた氷はさっきまでとは違い、鋭くとがり、氷のつぶてとなり相手への殺意がありふれた形状に変化していた
香「次こそは仕留めるわ!アイスショット!」
カオリによって作られた氷のつぶては相手に向かって一直線に進み、リトルボアの眉間を通り、体を貫通した
攻撃を当てられたリトルボアはその場で横にコテンと倒れ、動かなくなった
香「やった!倒せたわ!」
波「凄い威力だね!リトルボアを貫通したよ!」
蓮「お前らすげえな!というか、ハル!さっきリトルボアがバリアに当たった瞬間に凍ったけど、お前何したんだよ!」
波「それは僕にもわからないんだ。突然凍ったから僕も驚いちゃったよ」
そういって驚いていると
香「あれは、私がバリアに氷魔法を付与したのよ」
と何ともないかのようにカオリが言った
波「え?確かカオリの付与って今は1秒くらいしか効果ないよね?」
香「そうね、けど1秒もあったら大丈夫でしょ。ハルのバリアを張るタイミングも大体わかるし」
簡単そうに言っているがカオリのやっている事は少し以上だった
というのも、ハルのバリアは敵が最大限の速度でぶつかるように敵の目の前に反応できないほどの位置に設置する
となると、バリアが実際に出ているのは0.5秒もない
つまり、カオリはそのわずかな時間に氷魔法を付与したことになる。だが、さっきの戦闘中に二人はバリアを張るタイミングについては相談していなかった。それなのにしっかりとタイミングを合わせてバリアに対して氷魔法を付与するのは、高レベルの人間なら難しくはないが、低レベル、それも今日初めてダンジョンに入ったような新人が出来るような技術ではない
それもこれも、彼ら3人が幼馴染で過ごしてきた時間の長さと、カオリ自身の性格のおせっかいが合わさった結果である
勿論、基本的に自由な正確なレンや冷静沈着なハルにもここまでの連携は難しい
蓮「なんか、あいつだけ実はもう一つスキルもってるんじゃないか?」
波「それを疑いたくはなるくらいにきれいにタイミングを合わせてきたよね」
二人がカオリの技術に驚いていると3人の頭の中に声が聞こえてきた
《レベルが上がりました》
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