第4話 ダンジョン端末

 女「こちらが、皆さんがダンジョンに入る際に必ず持って入ってもらうことになっている『ダンジョン端末』です」

 蓮「へぇ~形はスマホのまんまなんだな」

 香「けど、アプリは4つしかないわね」

 波「これは配信アプリ、これはメッセージアプリ、これは利用規約?あとひとつはなんだろう?」

 女「それはダンジョン図鑑になります」

 蓮「ダンジョン図鑑?」

 女「ダンジョン図鑑にはあなた達が遭遇し、そのモンスターが既知の存在だったときはモンスターの情報、アイテムの換金価値、攻略ポイントを表示してくれます。また、もし未知のモンスターに遭遇した場合は配信アプリの映像からわかる情報を自動で更新してくれるものになってます」

 香「すごっ、あれだねポケ〇ン図鑑みたい」


 説明を聞いた香織が例えを出すが、実際にそれに近いと感じてしまった


 女「また、こちらの端末はダンジョンからの素材を納品時に必ず提出してもらうことになっています」

 香「なんでですか?」

 女「納品される素材が本当にその人が討伐したものかどうかを判断するためです。もし誰かから盗んだり、ドロップしたものを納品していることがわかれば罪に問われますし、実力が伴ってないのに冒険者ランクを上げてしまうと無くさなくていい命を無くすことになりかねませんから」

 波「けど、どうやってその判断をするんですか?場合によっては長時間ダンジョン内にいるのに人が確認するわけにはいきませんし」

 女「そこはAIを利用しています。AIに配信データと納品された素材データを渡し、そこから実際にそのモンスターが討伐されているかどうかというのを判断してもらっています。ただ、ご指摘の通り長時間ダンジョンに入っていた場合はAIを利用しても時間がかかる場合がございますので、その時は近くのブースで時間を潰してもらうことになります」

 蓮「はえー、AIってすごいな」


 俺達3人はダンジョン端末の簡単な取り扱い説明を受けながら実際に端末を少し動かし、最後にダンジョン端末で配信するときのチャンネルを設立した


 女「このチャンネルは3名の端末からならどれからでもログインすることが出来ますし、配信中に3名の端末間でカメラを切り替えることもできます」

 波「そういえば、電源はどうなってるんですか?充電器を挿す場所が見つからないんだけど」

 女「この端末は普段は皆さんの魔力を使用しています。ただ、その魔力で日常生活に支障が出てはいけませんので、端末で利用される魔力量が自然魔力回復量よりも低い状態にはなっています。また、ダンジョン内ではダンジョンの魔力を利用することで稼働しているので充電切れは発生しません。また、配信時はその情報はダンジョン内の魔力を通して伝達していますので、下層に進むことでの電波切れというのも発生しないようになっています」

 蓮「すげー技術だな」

 女「ダンジョンが発生してから我が国の技術は急激に成長しましたからね」


 そう、実際にダンジョンが発生してからというもの、日本の技術はものすごい速度で成長した

 ダンジョンの発生に伴い、魔力という新しい資源を発見し、それを利用した電化製品というものも少なからず出てきた

 最近聞いた話だと自動車の動力を運転手の魔力を消費することで賄うという技術が生まれてきているようだ。ただ、これについては魔力保持量の個人差があるので、航続距離が課題になっている

 こういったダンジョンの発生後に急激に成長を続け、日本の景気が良くなっていく現象を今では<ダンジョンバブル>と呼ばれ、その利益は国民に反映されている


 女「まぁ、こういった事情がありますので、ダンジョンに入る際には必ずダンジョン端末の所持をお願いします。また、ダンジョン内での配信については公序良俗を守り、秩序を守った配信をお願いしております。近頃、ダンジョン内での配信で軽装備でのダンジョン攻略やゲーム感覚で攻略をしようとする人が増えていますが、それらは罰則対象になりますので気を付けてください」

 波「僕たちのステータスでそんなふざけたことできませんし、親との約束もあるので、安全マージンはしっかりとりますよ」


 こうして一通りの説明を受けた俺達はダンジョン端末を持ち帰り、波留の家に3家族全員そろっている状態で今日説明を受けたこと、改めての約束の確認、初めてのダンジョン攻略の日にちについて話し合いをした


 ちなみに、俺達3人のパーティー診断がS級だったことは親にも内緒にすることを俺達は決めていた

 理由としては、俺達3人個人のランクはD級なのに、S級なんて分不相応だと感じたことと、井戸端会議でご近所さんに言いふらされるのを回避するためだった


 だって、母親の口って意外と軽いじゃん?


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