第3話 パーティー診断
あれから、俺たちは自分の適性検査の結果とそれぞれで向き合って難しいことは実際にダンジョンに入ってから考えるということで結論を出した
「それでは続いてパーティー診断をしましょうか」
「それなんですけど、その診断ってスキルで相性が決まるんですか?」
波留はずっと気になっていたのか、診断前に確認していた
「いえ、パーティー診断はスキルの相性ももちろんありますが、重要視されるのはそれぞれの性格の相性になりますね」
(けど、性格の相性なんてどうやってわかるんだ?)
「けど、性格の相性なんてどうやってわかるのよ」
香織も不思議に思っていたらしい
「実は、パーティー診断で使われる水晶は適性検査で使われているものよりも性能がいいんです。この水晶には『上級鑑定』が付与されてまして、ここまで行くとほとんどの個人の特徴を知ることが出来ます。ただ、そのまま使うと個人情報を全て漏洩してしまいかねないので、さっきの水晶と違い他の人が知ることが出来ません」
「そういう仕組みなのか、なら俺らなら大丈夫だろ」
「また、この診断に関してはレベルも関係しないので、初心者の段階からそれなりのランクから始まることがあります。ちなみに、ダンジョンの攻略可能階層についてはパーティー診断が重視されます」
「えっ、それって大丈夫なんですか?」
俺は驚いて思わず聞き返してしまった
ダンジョンの攻略可能層がパーティー診断が重視されるということは、初心者がパーティーを組んでA級判定出たときは突入可能層がA級判定になるということだろう
「大丈夫です。基本的に実力が伴ってないパーティー編成ではC級までしか出ませんし、もしB級以上が出たときでも政府からの支給端末との情報を釣り合わせて段階的に攻略可能層を増やしていくという仕組みになっています」
「はぇ~、すごいですね」
香織も驚いたのか感心の声を上げる
「とりあえず、パーティー診断を僕たちもやってみてもらおう」
さっきの説明を聞きながらなにやら考え込んでいた波留だったが、一旦思考を放棄したのかパーティー診断をしてもらうように頼んできた
「そうですね、それではやり方は先ほどと変わらないのですが、3名で同時に水晶の上に手をかざしてください」
「「「わかりました!」」」
案内通りに俺達は手を合わせて水晶の上に手をかざすと水晶が光始めた
ただ、さっきまでと違うのは水晶の光の色だ。さっきの適性診断では俺達は全員緑色に光っていたのだが、今俺たちの手元にある水晶は金色に光りだしている
「あれ?さっきと色が違うわね」
「だな、性能が違うって言ってたし、水晶の違いのせいじゃないか?」
「「...」」
俺と香織は特に気に留めることなく水晶を見ていたが、波留と案内の女性が固まって動かなくなっていることに俺はきづいた
「あれ?二人ともどうしたの?」
「...先ほど、この水晶では水晶の内容を他の人が知る手段はないと私は言いましたよね」
「?はい」
「それで、私たちがパーティー診断の結果を判断しているかというと光の色になるんです。これは、適性診断の光も共通しています」
「僕も調べたことがあるんだよね、たしか緑色はD級、紫はC級、青色はB級、赤色がA級だったはず」
「あれ?けど今はなんというか金色っぽいけど」
少なくとも波留の言って言る色ではない、まぁ波留が調べたっていっても冒険者試験を受ける前のはずだからネットの誤情報をつかまされたんだろう
「波留様の言う通りで、普段はよくて紫色までしか出ないんです。というか私は金色なんて見たことがないんです」
「ということは、これはランクがわからないということですか?」
「いや、ネットで調べていた時に一度だけ金色の情報を見たことがあるんだ。その人は2人も知ってる人だよ。名前は、ヒカル」
「「ヒカル!?」」
ヒカルというのは今を時めくダンジョン攻略者だ
そのランクは
「S級です。お三方のパーティーランクはS級になります」
「「はい!?」」
「やっぱり」
S級ってあのS級!?
「ちなみに、最初の診断でS級判定って出たことあるんですか?」
波留だけはある程度予想が出来ていたらしく、冷静に質問をしていく
「い、いえ。ある程度の実力者がそろって初めてS級が出たというパーティーがほとんどで、最初の診断ではよくてもB級までしか出たことはありません」
「ね、ねぇ。これって大丈夫なの?これが表にでたら―」
香織がつぶやいた言葉に俺もハッとなる
「そうだよ!これが表に出たら俺達注目を浴びてしまうんじゃないか!?」
俺達3人の目的はあくまでダンジョン攻略で知名度を上げることではない
それに、下手に注目されてしまうと、親との『大怪我をしたら冒険者を辞める』というのをしずらくなるんじゃないだろうか
「う~ん。それは大丈夫じゃないかな」
俺と香織が焦っていると波留だけは冷静だった
「なんでだよ?」
「だって、確かパーティーランクって公表されないはずだよ?今公になってる人たちって自分から発表してたりするから、僕たちが公言しない限りは周りにばれることはないと思いますよ」
「そうですね。私たちも情報を秘匿する義務がありますので、ここにいる皆さんだけの話に収めることはできると思います」
「そうなんだ。じゃあ安心かもね」
二人の説明を聞いて、香織もホッと一息をつく。それと同時に俺の中でも不安要素がなくなった
「さて、驚きはありましたがパーティー診断も終わりましたので、次は端末の支給と簡単なダンジョン攻略に関する注意事項をお話ししますね」
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