第2話 適性検査の結果
「それではあなた達3名の適性検査を始めましょうか」
その言葉とともに女性に案内された場所にはダンジョン内の雰囲気には合わない、折り畳み式の長机とその上には水晶の乗ったガスコンロのようなものがあった
「これは『鑑定』機能のついた水晶でここに手をかざすことであなた達のステータスを確認することが出来ます。確認できた情報は下の台から印刷もできますので必要ならおっしゃってください」
「あ、ちなみに皆さんはこの後パーティーは組みますか?」
その質問には自信をもって答える、
「もちろ―「もちろん組みます!」
あのー、俺のセリフを取らないでくれますか?香織さん?
「僕たちは3人で活動するつもりで冒険者試験を受けたので」
俺一人でショックを受けてると波留が俺たちの志望動機も答えてくれた
というか、俺のセリフ、前回から少なすぎませんかね?(メタ)
「でしたらパーティー診断もこちらで受けますか?」
「「「パーティー診断?」」」
「はい。講習でも言いましたが、ダンジョンにはパーティーでの参加が必須です。そして、パーティーメンバーにも相性がありまして、その相性が悪いですと例えパーティーの中にA級冒険者がいても、パーティーランクはC級になることもあります」
A級冒険者というのは、冒険者の中で上から2番目の立場になる
冒険者の立場(以降冒険者ランク)は上からS,A,B,C,Dと4段階に分かれていて、S級は最強格、噂ではソロでダンジョンの下層に潜れるレベルらしい。ちなみにD級は初心者も初心者なので最弱ランクと呼ばれている
「ちなみに、パーティーを編成した時には必ず測定してもらうことになってますので遅いか早いかの違いです」
なら俺たちの答えは決まってる
「パーティー診断もお願いします」
「ちょ、香織。俺が言いたいセリフ全部とらないで」
「言うのが遅いのよ、蓮」
...グスン
「それでは蓮様から順に測定していきますね」
「...はい」
俺が水晶の上に手をかざすと水晶が淡く光りだした
それからしばらくして、水晶の光がなくなると、水晶に文字が浮かび上がっていた
「えーっと、何々、『身体強化』と『クリティカル』?」
「『身体強化』は分かるけど、『クリティカル』って何?」
香織も気になったのか聞いてきた
俺も気になったので案内してくれた女性に聞いてみると
「『クリティカル』というのは、ある特定の攻撃に対してクリティカルという現象が発生します。効果としましては、通常の攻撃力を10倍に上げることが出来ます」
「す、すごいじゃないか!蓮!」
波留が驚いていると、そのテンションを止めるように
「ですが、その発生条件が極めて難しく、対象の敵の弱点部位を防御がない状態で攻撃をしなければならず、少しでも位置がずれると発生しなくなるので発生頻度はものすごく低いんです」
「えっ。ということはいわゆる外れスキル?」
「まぁ、周りの冒険者の間ではそういわれてますね」
「まじかよ」
俺がショックを受けていると
「ま、まあまあ『クリティカル』はおまけでも、『身体強化』を極めればいいんじゃない?」
「そ、そうだよ。それに『身体強化』については僕ちょっと試したいことがあるから今度一緒に試そうよ」
二人に慰められた俺はなんとか持ち直した
「と、とりあえず俺のスキルは分かったし、二人も見てもらおうぜ」
「そうだね、次は僕でも良いかな」
お、珍しい。波留が自分から立候補するなんて
波留は俺たちの中で一番頭はいいが、積極性がない
だから基本的に自分から何かをやりたいということはない
...趣味は除くが
まぁ、この話は今度でいいだろう
「わかりました。それでは波留様お手を」
「わかりました」
そうして、波留が手をかざすと俺の時と同じように水晶が光り、水晶に文字が浮かび上がる
「出ましたね。波留様のスキルは『バリア(弱)』と『鼓舞』になります」
「なんか、またわからないスキルが出てきたんだけど」
香織が頭を押さえながらつぶやいた
「『鼓舞』はいわゆるバフスキルですね。効果はパーティーメンバーに対して全ステータスを15%上乗せするという能力らしいです」
「15%『上乗せ』ですか、その上乗せというのはバフ対象基準ですか、術師基準ですか?」
「え、えっと術師基準らしいです」
「ということは、僕が蓮にバフをかけるときの15%は僕のステータスの15%だから僕のステータスが低いと蓮にかかるバフが少なくなるってことか」
「えっ、それってかなりのハズレじゃない?」
香織が歯に衣着せずにいうと
「いや、僕的にはかなりアリだね」
「は?どこがだよ!使いずらくね?」
「まあまあ、詳しくは後で説明するから香織のステータスを見てもらおう」
そういって次は香織の番になった
「いざ自分の番になると緊張するわね」
「だろ?けど、まぁ気楽にいこうぜ俺達二人もそんなに強いスキルじゃなかったんだから大丈夫だ」
「そうね、少なくとも蓮みたいな死にスキルを手に入れなかったらいいわ」
「てめぇこのやろう!」
「こほんっ、それでは準備はいいですか?」
「はい!」
そうして、俺と波留がやっていたのと同じように水晶に手をかざすと、水晶に文字が浮かび上がった
「えっと、波留様のスキルは『氷魔法(弱)』と『付与』ですね。『付与』というのは名前の通りで武器や人に魔法を付与することが出来ます。例えば、剣に氷魔法を付与しますと、攻撃に氷属性が付き、物理ダメージのほかに属性ダメージが上乗せされます。ほかにも、回復魔法を付与すれば対象を継続的に回復することが出来るスキルですね」
案内の女性も俺たちが質問する内容が予想できるようになったのか、あらかじめスキルの説明をしてくれた
「って回復魔法を付与できるのかよ!」
回復魔法というとゲームやアニメのように他人を回復するように感じるが、現実には回復魔法で回復できるのは自分自身のみである。だから、自衛用でしか回復魔法は使えないのだ
「けど、確かに『付与』はすごいスキルだね」
「ただ、」と案内の女性が付け加えるかのようにまた話始めた
「『付与』の継続時間はレベルに依存します。レベル1だと1秒も持たないです」
「「「お、おう」」」
最後に聞かされた内容は知りたくなかったかもしれない
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