2-2

『まずは、我々についてお話ししましょう』


「ここはどこなんだ」


『はるか昔、というべきでしょうか。あなたたち人間が、この地上に産み落とされる前の話です』


「あ、隙間から風が吹き込んでいる」


『惑星《ほし》の力を借りて天地を創造した神々は、豊かなではないですが、穏やかな暮らしをしていました』


「おーい、だれか。だれかいないか」


『そんな折り、現状に不満を持つひとつの神がありました。かれは惑星ほしの内部に際限のないエネルギー、魔力が埋蔵されていることを知り、それを用いて地上の神々を支配することを考えつきました』


「おい、手を貸してくれ。岩盤を、こう、てこの要領で削っていけばここからでられるんじゃないかと」


『その魔力によって造られた軍勢、魔族との長い戦いが武器を発展させ、我々のような物質を超越した剣が生まれたわけですが』


『お、おい、お前ら。好き勝手に喋るなよ。順番に話を』


「やあ、臭いやつ。それよりもなんで剣が喋ってるんだ?」


◇ ◆ ◇


『というわけだが』


 魔剣テネブラエは自身が陥っている状況と、男がここに転移させられた経緯を、簡潔に、そして自らの危険性などを包み隠しつつ説明した。


『騙されてはなりませんよ。その剣は人間にも災厄をもたらすでしょう。わたしを手に取りなさい』


『いいや、我をとれ。聖剣なんぞは忌々しい神の創造物だ。その末路はタチが悪いぞ』


「聖剣と魔剣…………」


 男は胡座をかき、その二つの剣を交互に見る。


「…………決めた」


 男が立ち上がる。


「俺は自力でここを出るよ。どちらも気に食わないし。

 そもそも、こんなところに埋まっている時点で、お前たちが地上に出るべきじゃないという神の御意思だろう」




 

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