ビーチ
ラウンジの大窓越しに海辺を眺める。
エメラルドの波が音もなく寄せて、サーファーたちはとりどりのボードに腹ばいになって立ち向かっていく。波に乗って、岸辺に。そしてふたたび「いい波」とやらが来れば同じことの繰り返しだ。
ガラス越しの風景は、全てがどこか作り物じみていた。海は果てることのないフィルム映像で、海辺に集う人々は安っぽいプラスチック人形だ。陽の光があまりに強くて、全てをフラットに照らすから、余計にそんな風に感じるのかもしれない。
対面の紳士が私の名を呼ぶ。
私は、真っ白なクロスを敷いたテーブル越しに、彼へ上等な笑顔を返す。
極上や最上ではなく、上等に留める。もっと先が、上があるのだと彼に信じさせるためだ。
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