第5話:カメレオンみたいな女。

「呪ったりしないよ、でも、もししたくなったら言ってね、どうぜ私の

ハズバンドになってもらうんだから・・・」


「は?・・・ハズ?・・・ハズバンドってなに?」


「天界だと、それが普通だよ」

「好きになった相手と結ばれることになってるからね」


「まあ、そうだろうけど、でも俺たちこれからどうなるか分かんないだろ?」

「俺の彼女が人間じゃないってのは、今んところちょっと抵抗あるんだけど」


「堕天使じゃいけないの?」


「あ、ごめんね・・・差別するつもりじゃないからね」


「だめなんだね、私じゃ」


「いや、そうじゃないって・・・堕天使なんてはじめてだし会ったことないし」

「そりゃ考えちゃうだろ?」


「ハズバンドがダメなら、じゃ〜ダーリンは?」


「同じじゃないかよ」


「どっちにしたって、これから同棲するんだからいいじゃん」


なんか無理くりな気がするけど・・・だけどまじで否定したらスネそう

だし泣かれても困るし・・・呪い殺されても困るし・・・。


「どっちにしても夜中までしゃべってるわけにもいかないから続きは明日

・・・もう寝るよ」


俺と来羅はその夜、フスマを隔てて隣同士の部屋で寝た。

いきなり同じ布団じゃちょっとね・・・それに魔が差して手を出しちゃい

そうだし・・・。


だけどテンション上がってたから、寝ようと思っても眠つけやしない・・・

そしたら来羅も同じだったらしく眠れないって俺の部屋にやって来て俺の

布団に潜り込んだ。


「横で寝ていい?」


「もう寝てんじゃん」


「あのね・・・」


「もう、しゃべるな・・・朝までしゃべってるつもり?・・・もう寝な」

「おやすみ」


「おやすみなさい」


「あのさ、そんな様子を探るような上目遣いで俺の顔を見ない・・・」


「こんなにくっついてるのに、したくならないの?」


「あのね・・・これは拷問か?」


「なにそれ?」


「たとえば、目の前にめちゃ美味そうな料理があるのに食えないのと同じ」

「それって拷問に等しいだろ?」


「遠慮しないで食べちゃえばいいじゃん」


「いいから・・・もう寝ろよ」


やっぱり眠れるわけなかった・・・俺は悶々としたまま朝を迎えた。


で、次の朝、俺はまた驚かされた。

俺の横でスヤスヤ寝てた来羅・・・いつの間にか髪の毛が金髪になっていた。


うそ、いつのまに金髪に?カメレオンみたいな女だな・・・。

どこまでも飽きさせない女だよ。

結局、それが来羅の本当の髪の色・・・顔は可愛いままだったから一安心した。

別人になっててしかもブスだったら追い出してたかも。


今日も会社は休みだから、昼前までうとうとして俺は来羅を起こした。


顔を洗わせて予備に買っておいた歯ブラシで歯をみがかせて・・・


「そう言うの天界でやってなかったのか?」


「やってたよ、どこも同じだよ」


「そうか・・・案外、人間の世界と生活感は変んないんだな」

「顔、洗ったら朝ご飯だから・・・俺はパン食・・・いいだろそれで?」


「うん」


で、俺と来羅はキッチンテーブルに向かい合わせに座って、トーストと

ハムエッグを仲良く食べた。

俺はコーヒーだけど、来羅にはミルクを出してやった。


さてと俺一人なら、なんでもできるし自由に動けるんだけど・・・連れが

いると連れのことも考えなくちゃいけない。

来羅は今のところ俺におんぶに抱っこだからな・・・どうするべ〜か?


って俺は肝心なことを忘れていた。

それは来羅の生活必需品一式・・・ここで俺と暮らすなら必要だろ?

ほんとに俺と一緒に暮らすつもりかな?


「来羅・・・ほんとに俺とこのマンションで暮らすつもりか?」


「なんでそんなこと聞くの?・・・不安になっちゃうじゃん」

「言ったでしょ?私、イッシーしかいないって・・・」


「いや、そのへんもう一度確かめたかっただけ・・・」


(そのうち、慣れてきたら、まじでエッチしちゃうかもしれないし・・・)


「いま、やらしいこと考えてる?」


「考えてない」


「そのうち私とエッチしようかなってイッシーの顔に書いてある・・・」


「な訳ないし、そんなことも思わないし・・・って言うかもうエッチ、エッチ

言うな・・・ウザいから・・・」

「え?・・・なにしてんの?・・・こら、え?」

「待て待て・・・なに、パンツ脱ごうとしてんだよ」


「エッチって朝の方が気持ちいいんだって?試してみる?」


「試さない・・・油断も隙もないんだな・・・したくてもそんなに積極的に

攻めてこられたら冷めるだろ」

「パンツ履けよ・・・あんまりイケイケだと嫌われるぞ」


「イッシーからかうと真に受けるから面白いんだもん」


「そう言うからかい方はやめろよな、そのままソファに押し倒すぞ!!」


「無理くりはダメだよ、優しくしてくれないとやらせない・・・」


「思わせぶりな女だな」


なんか、ヒマだし・・・このぶんだと夜までに来羅とやっちゃいそう。


つづく。




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