Side Story 冒険者少女ヨーコ・ラズベリー
冒険者少女ヨーコの冒険譚!①
この話はリュウカ達の親友で訛りが特徴的な冒険者少女ヨーコ・ラズベリー17歳がトーチ町から旅立った後の後日談である。
「どっこいしょ、依頼のスピア・ベアーを討伐してきたべ!」
ヨーコは持ち上げて運んできた自分の身長の2倍近くあるであろう頭に鋭い角がある熊を依頼主である村の村長の家の前に置いた。
«ガヤガヤッ…»
「ほっ本当に一人で討伐してくるなんて…?」
「村の男達を総動員しても敵わなかった相手だぞ…?」
「それをあんな華奢な女の子一人で…?」
「とても信じられん、夢でも見てるんじゃないか…?」
「依頼達成だよな。」
「そっそうじゃな?ありがとう、これで村は平和になる。」
「なーにお礼なんかいらねぇべ。」
村長から達成のハンコを押してもらった依頼書を受け取ると村を出て、その足で依頼達成を報告するために依頼を紹介したヒーダという町の冒険者ギルドに行った。
「確かに達成を確認しました。こちらが報酬になります。」
「待ってたべ!飯に金使いすぎて宿代も足りなかったから助かった!」
「それにしても本当に一人で討伐なさるとは、スピア・ベアーは通常、Dランク冒険者が二人がかりでも苦戦する相手なんですよ?」
「へー、そうなんだべか?その割には歯ごたえ全くなかったけどな?」
「さっ流石はBランクですね…?」
「フフンッ。まあなぁ。」
自信たっぷりのヨーコは腰に手を当てて鼻息を立てた。
「あはは…オッホン、ヨーコさんはもう旅に出る予定なのですか?」
「そのつもりだべ?」
「ヨーコさんにぜひもう一つ引き受けて頂きたい依頼があるんですけど?」
「何だべ?」
「この依頼書なんですが。」
さっそく受付嬢は依頼書を見せた。
「畑泥棒を捕まえてくれ…?」
「はい。この町の近くにあるヒーダ村という村に夜な夜な畑泥棒が現れて、畑の野菜や果物を盗んでいくらしく、甚大な被害が出ており、捕まえて欲しいという依頼です。」
「おいおい、それってBランクのオラに頼むような依頼なんだべか…?」
「通常はEランク程度の冒険者を数名集めて行える依頼です。」
「だっだよな…?」
「ですが、ただの畑泥棒ではないようなのです。」
「ただの畑泥棒ではない…?」
「その畑泥棒は半人の集団らしく、以前、Dランク冒険者をリーダーとしたパーティーがこの依頼に挑戦した所、全く太刀打ち出来ず、怪我人まで出たのです。」
「そりゃそうだ、半人の集団が相手じゃCランクが相手でもきついべ?」
「はい。ですので、この依頼を再度募集をかけても誰もやりたがらないのです、なのでBランク冒険者であるヨーコさんにお願い出来ないかと。Bランクのヨーコさんがパーティーを募集すれば人が集まると思いますから。多分…」
「なるほどな。」
(リュウカも半人だったべ、あいつみたいな強い奴がいるかもしれないんだよな?)
「引き受けて頂けますか?」
「いいぞ。やってやる。」
(修行にぴったしだ。)
「ありがとうございます!助かります!」
「まずはパーティーを集めなきゃだな。」
ヨーコは依頼の内容を書いたパーティー募集の紙を掲示板に貼って、3日後に再び冒険者ギルドに来た。しかし、参加を希望したのはたった1名で…
「はっ初めまして!私、Fランク冒険者で職業はヒーラーのムーン・シャーベットです!先月に冒険者ギルドに登録したばかりの新人ですが!足を引っ張らないように精一杯頑張りますので!よっよろしくお願いします!」
何とも頼りなさそうな丸眼鏡をかけた少女だった。
「受付さん…?一人だけ…?」
「はっはい、その方だけです…」
「あはは、マジだべか…」
ヨーコは波乱な幕開けを感じていた。
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