第50話 ドラゴン娘、犯人の変装を見破る。(後編)

リュウカは前に会ったおかしな占い師の占いを思い出した。


"ほっぺにキス、ホンモノは、しっとする"


(これだ!!)

「アリア!!」


「まだ何かあるの…?」


「あんたね…?」


「リュウカ、いい加減…」


「これを見ろ!!」


「えっ…?」


「メグ、今ここで君の願い叶えるぞ。チュッ。」


「ひゃぁ♡」


«なっ!?»


リュウカはメグを引き寄せると頬にキスをした。


「あっあっあんた、何をやって…?」


「なっなっリュウカがメグの頬にキスした…?」


「リュウカ様ぁぁ♡」


メグはメロメロになり、放心状態だった。


「アリア!今のを見てどう思った!」


「どうって…?ただ頬にキスしただけじゃ…?」


«えっ!!!?»


「なっ何…?さっきより大きいその反応…?」


「間違いないべ!!おめえさんは偽物だ!!」


「何で!?」


「あなたは100%アリアじゃないわ!!」


「どうして!?」


「あなたは偽物のアリアさんだったんですね!!」


「だから何で!?」


「教えてやろうか?本物のアリアはな、俺がほかの誰かとイチャイチャしてる所を見たらすごく嫉妬するんだよ!だから今の頬にキスを見て何も無反応ってことはおまえが偽物だって何よりの証拠ってわけだ!」


「ウフフッ、フハハハッ!まさかそんな馬鹿みたいな理由で偽物だって見破るなんてね?私のリサーチ不足だったみたい、失敗。見事だと褒めてあげるわ。」


「声が変わりましたわ!」


「流石は変装の名人だな…?」


「本当の顔を見せやがれ!」


「へん、誰が見せるもんですか、べぇーだ。」


「知り合いの顔とはいえムカつくなぁ…?」


「アリアは、私の妹は無事なんでしょうね!」


「そうだ!無事なんだべな!」


「無事よ。」


「君!我が屋敷の家宝をどこにやった!」


「お父様!」


「ちゃんと持ってるわよ。大事に懐にしまってね。」


「返してくれ!」


「嫌だ。」


「きさまを逮捕する!皆、かかれ!」


«わぁ!»


警部の掛け声で、部下達が偽アリアを捕まえようと向かった。


「そう簡単に捕まる私じゃないわ。」


「ここはウチに任せて。」


「まっまさかメイドさん!あなたも泥棒三姉妹の一人だったの!」


「スター・ライト!」


«うわぁぁ!»


偽メイドが唱えた術で眩しい光に包まれた!


「まっ眩しいですわ!」


「これは目眩ましの術だべか!」


「クラウン家の家宝、美人の涙、もらったわ。じゃあね。」


「まっ待て!」


領主の言葉も虚しく、家宝を持って姿を消した!


「チクショ、まだ目がチカチカするべ…」


「逃げられたか…」


「お父様、しっかりして…」


「安心してください!領主様!こんなこともあろうかと広間以外のフロア、外にも警官を配置しておりましたから!」


「おぉ!そうか!」


「警部…」


«えっ!?»


「おまえは庭を警備させてた者じゃないか!」


「外にいた警官は皆、何者かの不可思議な術を受けて全員、眠らされました…あっ…」


「おい!しっかりしろ!駄目だ、眠らされている!」


「このままじゃ家宝と、アンナ君の妹の行方が…」


「どうしたら…」


「リュウカ!アンナ!屋敷の家宝も、アリアもオラ達で取り戻す…ぞ…って!あれっ!二人が居ない!?」


そして当のリュウカ達はというと、逃げた二人を屋敷の庭の隅で追い込んだ。


「もう逃げられないぞ!大人しく捕まるんだ!」


「そしてアリアの居場所を教えなさい!さもないとただじゃおかないわ!」


「ウフフッ、フハハハッ!それで私達を追い込んだつもり、爪が甘いわね?それっ。」


「茂みに逃げたぞ…?」


「ただの悪あがきだわ!」


「それはどうかしらね。」


«なっ!?»


茂みから現れたのは気球に乗った二人だった!


「悪あがきじゃなくて残念だったわね。」


「まさかあんなものまで用意してたなんて!」


「このままじゃ逃げられるぞ!」


「お姉ちゃん!リュウカお姉さん!」


«アリア!!»


気球の中に縛られたアリアも居た!


「私達が無事に逃げられるまで、この子は人質として預かっておくわ。」


「ふざけるな!」


「アリアを返してぇ!」


「それで返す馬鹿な泥棒がどこの世界にいるのよ?」


「姉様の言う通りだわ。」


「じゃあね。」


「助けて!!」


«アリア!!»


気球は空高く上昇して行った!


「このままじゃ逃げられるぞ!」


「リュウカ、お願いしてもいい!」


「お願い…?」


「完全なドラゴンになって、私をあの気球まで連れて行って!」


「完全なドラゴンになってか…?」


「誰かにあの姿を見られたらあなたの身が危なくなるかもしれない…でもアリアを助けたいの!お願い!力を貸してぇ!」


アンナは手を握って涙目で頼んできた。


「わかった。今はそれしか追いかける方法ないよな。」


「リュウカ…」


「まぁ。てか俺もそう考えてたんだ。」


「えっ…?そうなの…?」


「だから君が思い悩む必要ない。一緒にアリアとお屋敷の家宝を取り戻しに行こう。」


「ありがとう…」


「待ってろよ!アリア!」


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