第24話 ドラゴン娘、寝込みを襲われる。

元従業員で冒険者の少女ヨーコが二年前ぶりに帰ってきた事が嬉しかったのか、アンナは張り切りすぎたのか晩御飯を作りすぎた。だが関心したよ。それをほとんどヨーコが笑顔でペロリと食べて残さずに完食した。体が細いのに一体どこに入るんだろう?まるで大食いアイドルみたいだ?


「ご馳走様。各地を転々として、色んな店で食べてきたが、やっぱりアンナの料理が一番美味しいな。」


「私もあんたのその何でも幸せそうに食べる所、見れてほっとするわ。」


「本当だよね。懐かしいよ。」


「そうか。アハハハッ。」


「何だよ、アンナのやつ…俺だって…美味しいって食べてるじゃん…」


「リュウカお姉さん、何か言った?」


「別に何でもない…」


「そう?」


「そういえば、あんたが町に帰って来るなんて、何か理由があるんでしょう?」


「まだ話してなかったっけ?町の冒険者ギルドからお願いされてある依頼に来てるんだよ。」


「ある依頼って?」


「どうやら町の近くの洞窟に最近、新たなダンジョンが出来たみたいなんだ。それの攻略さ。」


「新たなダンジョンの攻略!」

(等々、その単語が出て来た!ワクワクするな!流石はファンタジーな異世界!)


「それは不安ね、ダンジョンはものによってはそこで誕生した魔物達が凶暴で強くて手に負えなくて、最悪な場合、近くの町や村を襲ったりするって聞いたことがある…」


「考えすぎだよ?そんなこと滅多に起こったりしないじゃない?」


「そっそうだけど…わざわざ攻略のためにギルマスが旅に出ていたあなたを呼び戻すなんて、そのダンジョンそんなに強い魔物が出るってこと…?」


「あっいやいや、ただ単に今、人手不足らしくて、ダンジョン攻略に行ってくれる冒険者が見つかないらしい、だからオラが呼ばれたまでさ。」


「そうなのね…?」


「安心するべ、このオラが来たんだぞ?ダンジョンをすぐ攻略してみせるから。」


「随分と自信あるんだな?」


「当たり前だよ!ヨーコちゃんは強いんだから!」


「そうなのか?」


「ふふん、冒険者ランクCランクだべ。」


「すごい!町を出た時はEランクだったのに!たった二年でCランクになるなんて!」


「ギルマスからも褒められたぞ。」


「憧れるなぁ。」


「だろ。」


「なっ…」

(アリアが尊敬の眼差しをしてる…)


「でも不安は不安だわ…」


「相変わらず心配性は治ってないみたいだな。」


「心配するなよ、いざとなったら俺が居るだろう?」


「そっか!リュウカお姉さんも居るもんね!」


「それもそうよね、すっかり忘れてたわ。」


「そうだろ。」


「おめえさん、アリアはともかく、普段他人を認めないアンナにまで信頼されてるんだな?」


「一言余計よ…?」


「まっまぁな。」


「それだけ強いってことか…楽しみだべ…」


「なっ何がだ…?」


「アハハハッ、何でもねぇ。くぅぅ、町に着くまでに3日も歩いて来たからな、少し疲れが出てきたべ。」


「服洗ってあげるから、お風呂に入りなさい?沸かしてあげるから。」


「それって泊まっていいってことか?」


「当たり前じゃない。」


「泊まって行って!」


「いいのか?泊まれる部屋はないはずだろ?」


「今日は私、アリアお姉さんと一緒に寝ることにしてるから!私の部屋で寝ていいよ!」


「そういうことなら遠慮なく泊まらせてもらうべ。宿代も馬鹿にならないからな。」


「やったぁ。」


「泊まるんだ…」


「アリア、久しぶりに一緒にお風呂入るか。」


「うん!入る!」


「あっちょ…アリア…」


でも仕方ないか、アリアとアンナにとっては俺と出会う前の大事な知人、今回は譲ってやるか…けど、なんかさっきからモヤモヤするな…


「それでな、潜ったそのダンジョンの最上階に居たボスは、なんと見たこともないくらいに大きな巨人の魔物だったんだ!」


「大きな巨人の魔物!それからどうしたの!」


「パーティーを組んだ奴らはビビって手も足も出なかったけど、オラは果敢に立ち向かったんだ!」


「それから!それから!」


「アリア、明日も学校よ?冒険譚が聞けて嬉しいのはわかるけど、今日はそのぐらいにしてもう寝なさい?」


「はーい。もっと聞きたかったな。」


「じゃあ、オラと一緒に寝るか?それなら寝るまで話を聞かせてやれるぞ?」


「なっ!」


「本当!聞きたい!」


「アリアと寝ていいべか?リュウカちゃん?」


「あっうん…?」


アリアとヨーコが一緒に寝ることに変更になり、俺は自分の部屋で一人で寝ることになった。


「なんだろうな、この寂しさ…まるで主役を取られた気分…もういい、寝よう…」


しばらくして店の仕込みを済ませたアンナも部屋に戻り眠りについた。


「二人は眠ってる、やっと動けるべ。」


ヨーコは眠るアリアを起こさないようにそっと布団を抜けると、忍び足で部屋から出て、リュウカの部屋に入った…そして眠るリュウカに近づきナイフを取り出した…


「さぁ、誰も助けてくれる奴は居ないぞ?」


そのままナイフで首を刺そうとした!しかし、それをリュウカは目を閉じながら片手で受け止めた!


「どんな理由があるか知らないが、寝込みを襲うとは卑怯じゃないか?」


「ほう、防衛本能がしっかりしてるみたいだべ?」


「ただ寝られなくて、起きてただけだよ。」


「アリアとアンナがオラに夢中で蚊帳の外で寂しかったからか?」


「なっなっわけあるか!」


「図星だな、わかりやすいやつだべ。」


「それより聞かせてもらうぞ、襲った理由を…?」


「聞きたいなら、戦ってもらえるべか?」


「女の子の君と…?」


「おめえさんだって女の子だろ?戦わないなら理由は教えないべ、どうする?」


「わかった…二人を巻き込みたくない、店の外でやろう?いいか?」


「最初からそのつもりだべ。」


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