TS転生ドラゴン娘、初ダンジョンに行く。

第23話 ドラゴン娘、先輩に会う。

アリア達を苦しめたアルド親子を成敗した一件から気がつけば数日が過ぎた。もちろんその間、俺は店の従業員として真面目に働いたのはいうまでもない。なんせあの一件の後、俺が殺し屋を倒した事が町中で広まり、最強の半人美少女の俺が働く店としてホワイトのポーション屋は有名になり大繁盛、さらにクールな対応ばかりだったアンナが最近、笑顔になったことでファンが急増、それも大繁盛の理由になった。


「今日も在庫も合わせて全部のポーションが売れたね。」


「まだお客が大勢並んでてくれたのに、全員分のポーションを売ってあげられなくて、何だか申し訳なかったわ。」


「仕方ないって。俺らが出来る限り手伝ってるとはいえ、大体はポーション職人のアンナ一人で作ってるじゃんか。店に置ける数にも限度があるだろう?」


「まぁ、そうなんだけど…」


「俺以外に従業員雇う気はないのか?ポーション職人を雇えば、作れるポーションの数も増やせるし、仕事が楽になるんじゃないか?」


「まぁね。でもそもそもこの店の調合室小さいから、あまり大人数で作れないのよ。」


「だったら店舗を増やして店を拡大すればいいんじゃないか?」


「それも考えた。でもクオリティーが下がる可能生が出てくるかなって。」


「確かに大量生産に頼るとどうしてもクオリティーが落ちるっていうよね。」


「なるほど、プライド的に許せないのか。アンナは本当に職人気質だな。」


「悪い…?」


「アンナらしくていい、素敵だと思うぞ。」


「あっそ…私…今日の夕飯の買い出しに行ってくるわね…」


アンナは誤魔化すように買い物に出掛けた。


「アンナのやつ、最近、俺と話す時に顔を赤くする率高くなってるよな?」


「そっそう?」


「やっとデレ始めたみたいだ。可愛いな。」


「むぅぅっ、私は?私は可愛い?」


「なっ何で張り合うんだよ?」


「いいから答えて。」


「そりゃ可愛いぞ…?」


「どれくらい?」


「妹に欲しいくらい。」


「むぅぅ、それ、前にも聞いた。」


「おいおい、何でむくれてんだよ?」


「教えてあげない。」


「よくわかんないけど、機嫌直してくれよ。」


「じゃあ…今日も一緒に寝てくれる…?」


「機嫌直してくれるならな?」


「やったぁ。」


「可愛いやつめ。」


俺がアリアの頭を撫でていると、店の扉をノックされた。


「誰だろう?お客さんかな?」


「もう店は閉めてるんだけどな。はーい?」


扉を開けて居たのは冒険者風の服を着たオレンジ髪ポニーテールのそばかすの少女だった。


「あんた誰だべ?」


「あの、こっちのセリフです…?お客様、申し訳ありませんが、本日の営業は終わりましたので、またのご来店を?」


「何言ってんだよ、オラは客じゃないべ?アリア、アンナに会いに来たんだ。」


「アリアとアンナに?」


「ハァ、あんたじゃ埒が明かないべ。おーい!アリア、アンナ!居ないのか!」


「もしかしてこの声って!」


アリアが心当たりがあるのか慌ててやって来た!


「わぁ!やっぱりヨーコちゃんだ!」


「2年ぶりだな、アリア!大きくなったべ!」


「ヨーコちゃんも元気そうでよかったよ!」


「アリア、この子は一体…?」


「知らないのも無理ないよ。彼女は2年前までこの店で働いてくれてた冒険者のヨーコちゃん。」


「この子が前に話してた前の従業員の子か?」


「そうだよ。」


「アハハハッ、初めて見ると思ったらおめえさん、新しい従業員だよな?わるいわるい、オラは聞いたように2年前までここで働いてたヨーコ・ラズベリー。17歳。現在の職業は見てわかるように冒険者だべ。よろしくな。」


「よっよろしく…?」

(つまりはこの店の元先輩か。)


「おめえさんの名前は何て言うんだ?」


「俺はリュウカ・マジ…だよ…」


「へぇ?おめえさんがリュウカちゃんか。」


「なっ何だ?俺のこと知ってるのか?」


「町の人から聞いたべ。確かに噂通り、すげえ美人さんの半人だな?羨ましいべ。」


「そっそれほどでもある…」


「アハハハッ、自分で認めたべ。こうやって知り合えたのも何かの縁、まぁ仲良くしようや。」


「あっうん…そうだな…?」


この子、初めて会ったっていうのに肩に手を回して笑ってくるとは、相当馴れ馴れしい系の子だなぁ…?でも顔は普通に可愛いから、悪い気はしないけど…


「ただいま。」


「お姉ちゃんが買い物から帰ってきたみたい。」


「あなた!ヨーコじゃない!」


「ウッス、2年ぶりだな、アンナ。」


「来るなら前もって手紙でもいいから連絡しなさいよ?びっくりしたじゃない?」


「ホワイト姉妹にサプライズ大成功だな。」


「ふっふ、もう。ガキっぽい所は相変わらずね、あなたは。」


「楽しそうだな…?アンナ…?」


「何よ?そのジト目は…?」


「べつに。」


「懐かしい。ヨーコちゃんが働いてた頃の店を思い出すな。」


「その事で、アリア、アンナ、聞いたぞ…?1年前にマスターと奥さんが強盗に殺されちまったんだって…?」


「うん…」


「そうよ…」


「ヨーコさんは知らなかったのか…?」


「さんはやめてくれ。ヨーコでいい。オラは二年前に冒険者として立派になるためにこの店をやめてから、色んな依頼をこなしたくて定住所を決めないで各地を渡り歩いてきたんだ。だから知り合いとも全然、連絡を取ってなくてな、今の話を知ったのは今日、この町に帰ってきてからだったんだ。」


「そうだったのか。」


「悪かったべ、オラが店をやめなければ、マスターと奥さんを殺させたり絶対にしなかったのに…」


「ヨーコは何もわるくないわ、あの当時はまだアルドの薬屋から嫌がらせは受けてなかったもの…」


「んだども…」


「パパとママはヨーコちゃんはきっとすごい冒険者になるって応援してくれてたもん。旅に出たことは正解だったんだよ。」


「アリア…」


「だから気にしないで。」


「おまえら姉妹は、本当にいい奴だよなぁ…ズビッ…」


「あらあら、ハンカチ貸してあげるから、これで拭きなさい。」


「わるいな…」


あんなに他人のために泣けるなんて、ヨーコって子は馴れ馴れしいだけじゃなく、心が綺麗な子みたいだ。


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