第22話 ドラゴン娘、正体を明かす。

夜、アンナと俺はアリアの寝顔を眺めた後、リビングでココアを飲みつつ話をしていた。


「アリアのやつ、寝かしつけてやったらすぐ寝たな、よっぽど疲れたんだろうな。」


「私が甘かった…まさか妹にまで危害を加えてくるなんて思わなかったから…アリアには怖い思いをさせてしまったわ…」


「そう自分を責めるなよ。」


俺は慰めるようにそっと肩に手を置いた。


「リュウカ…」


「アンナはこれっぽっちも悪くない。悪いのはあのどうしようもない悪人だったアルド親子だ、きっとあいつら今頃、重い罪で牢屋に入ってるはず、もう君達、姉妹が怯えて暮らす必要なんかない。」


「ありがとう…あなたは私達を救ってくれた女神よ。」


「女神か、嬉しいけど。それは本当の女神にわるいかな。」


「本当の女神…?」


「あっいや!こっちの話さ…」


「どうしたのよ?急に黙り込んだりして…?」


「決めた!やっぱり君にも話そう!」


「何を…?」


「君は俺が何の半人か気になってたよな…?」


「えっええ、そうね…?」


「それに存在しないだろうけどドラゴンの半人だったら、容赦なく素材にしてやるとも言ってたよな…?」


「言ったわね…?」


「それが存在したんだ、俺はいわゆるドラゴンの半人なんだ。」


「そんな…本当に…?」


「うん…」


「その表情…嘘をついてるって感じじゃないわね…あなた、ドラゴンの半人だったんだ…?」


「隠しててごめん…」


「さっき君にもって言ったわよね…?もしかしてアリアは知ってるの…?」


「うん…初めて会った日、町の近くまで送る時に完全なドラゴンの姿になって、背中に乗せてあげたんだ…」


「そうだったのね…」


「ゴクッ、俺を素材にしたいと思った…?」


「そりゃ欲しいに決まってるじゃない、前にも言ったけどドラゴンはレア中のレアモンスターよ、血だけでも手に入ったら、最上級のポーションが作れるわ、ポーション職人なら誰もが見る夢よ?」


「血か…ちょっとならあげられるぞ…?どれくらい欲しいんだ…?」


「大樽1個分。」


「そっそんなに!?いくら何でもミイラになっちまうよ!?」


「ふっふ。冗談よ?恩人のあなたから素材をもらおうなんて思ってないから。」


「えっ…?いいのか…?確かSSランクのポーション職人にもなれる可能生も出てくるんじゃ…?」


「覚えてたのね。でもいいの。SSランクにならなくても店を守る事が出来た。だから焦って上がらなくてもよくなったもの。店を開きながら一歩ずつ着実にレベルアップしていくことにするわ。」


「そっか、それを聞いて一安心したぞ…」


「その代わり、一つだけお願い聞いてもらえるかしら?」


「何だ?」


−それから10分後、町の空−


「やっほー!爽快!空を飛ぶって最高だわ!」


「姉妹だけあって、テンションがそっくりだな?」


アンナのお願いとは完全なドラゴンの姿の俺の背中に乗って、夜の町の空を飛んで欲しいというものだった。


「見てよ!町があんなに小さく見えるわ、まるでおもちゃの町みたい!」


「それにしてもアンナのお願いがこれだとは少々驚いたぞ、普段クールだからな。」


「だって、アリアだけ乗せてもらってズルいと思ったから…」


「あはは。可愛い所あるじゃんか。」


「リュウカ、ドラゴンってこと他の人に軽々しく話しちゃ駄目よ?じゃないと悪いやつに目をつけられるんだから、わかった?」


「はいはい。アリアにも言われたよ。三人だけの秘密だ。」


「三人だけの秘密…」


「まだ飛んでるか?それともそろそろ地上に降りるか?」


「まだ飛んでて。」


「わかったよ。」


アンナは頬を寄せて思った。今のこんな近くに感じる夜空は2人だけが見てる景色だと。











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