第21話 ドラゴン娘、姉妹を救う。

「おい、今月もこの町でのポーションの売上が悪いぞ?」


「もっ申し訳ありません!やはりホワイトのポーション屋には勝てず!お客が取られている状況でして!」


「言い訳などいらん、来月も売上が負けるようだったら、部長であるきさまをクビにしてやるぞ、いいな?」


「わっわかりました!」


部下が部屋から出ると、アルドの薬屋の社長であるベルズ・アルドは怒り顔をして葉巻を吸っていた。


「たとえポーション部門だけとはいえど、あんな小さな店に売り上げが負け続けるなど許せん、ルズ奴は何をしてるんだ?アンナという娘と結婚したいというから、こんな回りくどい手段で店を潰そうとしてるんだぞ?ふぅ、仕方ない、また強盗にでも襲わせて、今度こそ店を続けられなくさせるか。」


するとノックして慌てて別の部下が入ってきた。


「どうしたんだ?」


「たっ大変です!社長!店内で半人の少女が社長を出せと叫んでるんです!」


「どうせくだらんクレームをつける客だろう、追い出せばいいだろう?」


「そっそれがお坊ちゃまを持ち上げながら叫んでいて!」


「なっ何だ、それは!?」


ベルズは店内に向かうと、客が集まっていて、中心にルズを持ち上げたリュウカが居た。


「どうなってるんだ…?」


«社長!»


「おまえか、この店の社長のベルズ・アルドって?」


「俺の息子をどうしようと言うのだ!この店に強盗に来たのか!」


「そっくりそのままお返ししてやる、1年前にアンナの店に強盗を差し向けたのはおまえの方だろう?」


「なっ!?」


「嘘でしょ…?この店、そんな悪いことしてたの…?」

「でもありえるかもな、ポーションはアンナちゃんの店の方が売れてたんだろ…?」

「ライバル店を潰すためにってこと…?」

「あの店の悪評流したって噂もあるくらいだからな…?」

「なにそれ、ひどくない…?」


「みっ皆さん、こんな半人の小娘の話など信じないでください!きさま、ホワイトのポーション屋の関係者だろう!この店に悪評をつけて客を横取りするつもりだな!」


「そっか、あの子、アンナちゃんの店で働いてる半人の女の子だ!」

「どうりでどっかで見たことがあると思った!」

「じゃあ、社長さんが言ったことが合ってるの?」

「そうかもしれないな?」


「そうですとも、そうですとも、終わったものだな!ホワイトのポーション屋も!」


「そうくることは想定済みだ、でもこいつの証言を聞いても同じ事が言えるかな?ルズ、1年前にアンナの店を強盗に襲わせたのは誰だ?」


「はい。ボクのお父様のベルズ・アルドです。」


「ルズ!何を言って!」


「何で怒るんです?お父様、ボクは本当のことを言ったまでですよ?強盗に襲わせて、借金を負わせれば店がなりたたなくなって目障りだったライバル店は消えるし、アンナをボクのモノに出来るって言ってくれたじゃないですか。」


「だっ黙れ!」


「本当のことだって!」

「社長の息子が認めたぞ!」


「信じないでください!きっと脅されて言われされてるんです!」


「違いますよ。ボクは正直者になったんです。」


「だから黙らんか!」


「一応言っておくが、脅して今の事を言わさせたわけじゃないぞ、俺はアンナに作ってもらった正直者になるポーションをこいつに飲ませただけだからな。」


「そうですよ。ボクがアンナの妹を誘拐して人質にしてこのリュウカさんを呼び出して、殺し屋のゾルーザにボコボコにしてもらおうとしたら返り討ちにあって、ポーションを飲まされたんです。」


「ルズ!俺に許可もなくゾルーザを呼んでそんなことをしてたのか!」


「へぇ、知らなかったんだ、こいつの独断か。でもそのおかげでこの店の悪事を暴けたんだ。感謝しなくちゃな?」


「殺し屋まで雇ってたなんて…?」

「この店、マジでやばい店だったんだな…?」


「チッチクショッ!!」


「アンナに謝ってもらうからな?」


それから事は大きく動いた、事態を聞きつけた町の警官がアリアを誘拐した罪でルズと殺し屋のゾルーザと逃げていた大男二人を、そんなルズが認めた1年前にアリア達両親がやっていた店を強盗に襲わせ、両親を殺し金品を奪った罪でルズの親父ベルズ・アルドを罪人として捕らえて連行して行った。もちろん、アリアとアンナにしたあくどい所業を謝罪させて、借金の誓約書も破らせた。これでアリア達、姉妹は平和にポーション屋をやれる、よかった、よかった。


「リュウカお姉さん〜!」


「アリア。」


「ありがとう…私達を救ってくれて…」


「いいって。」


「リュウカ、本当にありがとう…アリアを助けてくれたばかりじゃなくて、ルズ達の悪事まで暴いてくれて…」


「アンナもか。俺は君達、姉妹を悲しませたあいつらが許せなかっただけだけだよ。」


「それがここまでしてくれた理由…?」


「そうだ。」


「そっか…」


「全くカッコつけちゃって…?」


「似合わないかな?」


「そんな可愛い顔して、かっこいいとか。ずるいわよ。」


「アンナ…」


「リュウカお姉さん、顔近づけて。」


「ん?こうか?」


「助けてくれたお礼だよ。チュッ。」


アリアが俺の頬にキスをした。


「なっなっ…?」


「えへへ、ときめいた?」


「ちょちょっとな…」


「本当!」


「リュウカったら、ロリコンだったのね?」


「ちっ違う!」


「冗談よ。」


「冗談きついぜ…?」


「ふふっ。」


「帰ろう!」


「だな。」


「ええ。」


三人は手を繋いで家に帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る