第20話 ドラゴン娘、真実を聞く。
俺は縄でルズを縛り壁に寄りかからせると、核心に迫った。
「1年前、アリア達の店に強盗が入ったことは知っているはずだ。」
「そりゃあ、知ってるさ?」
「単刀直入に聞く、その強盗はおまえが送り込んだんじゃないのか?」
「えっ…?」
「はっはっ、何を証拠にそんなことを?」
「確かに証拠はない、だが、店が強盗に襲われた後で、悪評を流したはずのおまえが店の修理費を貸した金融の元締めって所が怪しんだよ?最初からアンナを自分のものにするための策略だったんじゃないのか?」
「確かに辻褄が合うね…」
「ばっ馬鹿らしい、ひどい推理だ、的はずれだね。」
「あくまでも自分じゃないって言い張るんだな?」
「そっそうだよ…ボクはただ…」
「ただ何だ?」
「なっ何でもない!いいからこの縄をほどけ!さもないとお父様に言いつけてやるぞ!」
「やっぱり自分から話す気はないか、だったら奥の手だ。」
俺は懐から小さな瓶を取り出して蓋を開けると、ルズの口に近づけた。
「何を飲ませるつもりだ!」
「これはアリアから貰った嘘がつけなくなるポーションだ。」
「嘘がつけなくなるポーションだと!?」
「さぁ、これを飲んで本当のことを聞かせてもらうぞ?」
「そんなの誰が飲むか!ゴクッゴクッ。プハッ、飲んじゃった…」
「じゃあ、今一度聞くぞ?アリア達の店を強盗に襲わせたのはおまえか?」
「違います。」
ルズは別人のように目を輝かせて正直に答えた。
「本当にこの人じゃなかったんだね…?」
「じゃあ、襲わせた奴が誰かは知ってるか?」
「ボクのお父様、ベルズ・アルドです。」
「あのアルドの薬屋の社長が…?」
「俺の思った通りだ、なぜおまえの父親が強盗を使い、アンナ達の店を襲わせたんだ?理由は?」
「お父様の店より評判がいいポーションを作るアンナの両親が邪魔で殺したかったのと、ボクがどうしてもアンナと結婚したいというお願いを叶えるためです。」
「ひっひどい…パパやママをそんな理不尽な理由で殺したなんて…」
「許せねぇ…」
「おわっ!」
ルズを片手で軽々と持ち上げた。
「降ろしてください!」
「アリア、済まないが、ここから一人で帰れるか?」
「うん、帰れると思う…?リュウカお姉さんは一緒に帰らないの…?」
「俺は今からこいつの親父に会って、罪を認めてアリアに謝罪するように要求してくる。」
「むっ無茶だよ!罪を認めるはずかない!リュウカお姉さんの方が捕まっちゃうよ!」
「安心してくれ。この正直者になったバカ息子が一緒なら、認めないわけにいかないさ。」
「はい。ボクは悪いやつですが、今は正直者です。」
「でっでも…」
「理不尽な理由で殺されたアリア達の両親の無念を俺が晴らしてやりたいんだ。」
「リュウカお姉さん…」
「心配してくれてありがとうな、行ってくる。」
「必ず無事に帰って来てね…?」
「約束する。」
俺はアリアの頭を撫でるとルズを持ち上げながら、悪の元締め、ルズの親がいるアルドの薬屋の本店に向かった。
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