第13話 体育の授業が早く終わった話

 小学校一年生の時の話です。

 私は体育の授業で、仲良しのリエちゃんと一緒に体操座りをしていました。

 先生のお話を聞いていた様な気がします。

 体育館の高い所に時計がかかっていて、算数で時計の読み方を習ったばかりの私達は、

「今十時二分だね」

 と時計を読んで、小さな声でお話をしていました。

 二人でじっと時計を見ていると、その時計の針が十五分程、シュッと進みました。

「今うごいたねー」

 リエちゃんが言います。私も特に疑問を持たず、

「うごくところ見えたねー」

 と言いました。

 そして時計の時間の通り、体育の授業は終わりました。


 電池が切れそうな電波時計が、たまにそういう動きをしますよね。

 昔は電波時計なんてものは無かったのです。

 電波時計が開発された時期を調べても、やはり当時の学校の時計は、ただの何の変哲もない、良くある白い時計でした。

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