第7話 米兵さん
怖かった金縛り、の一つです。
金縛りはしょっちゅうの不眠症女ですが、これは流石におかしいんじゃないか?という金縛り。
例えば、金縛りに遭って足元に着物の女が二人居た〜みたいな事もありましたが、私はそれはお化けじゃ無いと思っています。
金縛りは脳のエラーですから、場合によっては脳がそういうものを「見せるエラーを起こす」事も良くあることなのです。
何か医学的な論文も読んだ気がするんですがすいませんよく覚えてません。
その中で、脳のエラーかも知れないけど兎に角嫌だったものを書いてみます。
高校生の時です。
私はその時昼寝をしていました。
夢の中で、バイト先の焼肉屋で働いておりました。
(夢の中でも働きたくないですが、仕事をする夢ってほんと良く見ます……)
んで。
そんな夢が突然端からザアッと砂嵐のように、別の夢に変わりました。
私は車を運転して、家に向かう道路を走っておりました。
暗い夜道、街頭だけが光り、人っ子一人居ない坂道を車で登ります。
当時免許はまだ持っていませんでした。
私は疑問を浮かべていました。
「今まで働いてたのに、何で運転してるの?」
そのくらい、変な変わり方をした夢でした。
坂を登ると直ぐ家なのに、車は私の家の前を通り過ぎてしまいました。
更に暗い、街頭が光る道を走ります。
私はそこでふと、怖くなりました。
私は当時引っ越したばかりで、その道の先に何があるのか知りませんでした。
このまま進んだら、死んでしまうかもしれない。
何故か強くそう思いました。
車の免許など無く、アクセルもブレーキも分かりません。ただ、ハンドルを握って運転席に座っているだけです。
私は恐怖に支配されるまま、思い切りハンドルを回しました。
右に大きく逸れる車。
視界がぐわんと歪みます。
そこで、目が覚めました。
当時はハイタイプのベッドで寝ていて、ハシゴを使って下に降りなくてはなりませんでした。
歪む視界の中、ギシギシ軋むハシゴを降りて、部屋を出ようと這いずります。
そこでまた目が覚めます。
またベッドの上。
同じ様に何とか身を起こし、ギシギシハシゴをおり、這いずりドアを開けようとして、そこで、また目覚めます。
嫌だなあ、何だろうなあ……
また降りて、同じ様にまた目覚めました。
そこで金縛りに遭いました。
縫い止められた様に身体が動きません。
見ると、真横に人が居ました。
カーキ色の上下、薄い色の金髪、青い目、それは米兵さんでした。
米兵さんは片言の日本語で怒鳴っていました。内容は良く覚えて居ないのですが、主に日本軍と、日本を侮辱する内容だったと思います。
いや、でも、私に言われても困るんですけど……
そう言いたいんですが声も出ず、暫く罵られていました。
どのタイミグかわかりませんが、やっと金縛りが解けて、米兵さんも居なくなり、私はほとほと疲れ果てて、またギシギシとハシゴを降りました。
ぐったりしたまま部屋を出ます。今度はちゃんと出れました。
時刻は夕方。
私はこの一件でなんだかハイタイプのベッドが嫌になってしまって、弟と部屋を交換してもらいました。
ちなみにこの時は三日連続で金縛りに遭っていて、その他二日の金縛りの内容は良く覚えていません。
しかし何でこんな目に遭ったかはほんの少し心当たりがあって、正にその前の日、地元のある神社の「入ってはいけない場所」を、道路を広げるために削る工事が行われていたのです。
たまたま通りすがりにそれを見た時に「うわっ……」と思いました。気持ち悪くて、見なければよかったなと思いました。
米兵さんも他の金縛りも、それに触発されて起こった様な気がしてなりません。
触らぬ神に祟りなしです。
ちなみにその「入ってはいけない場所」に関わる話はまだあるのですが、ごく最近の話なので、昔のことを書ききってネタが尽きたらまた書こうかなと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます