第16話


「いつ好きになったの?」

「多分、家に来た初日には好きになってたんじゃないかな?」

「えっ!? 一目惚れ??」

「一目惚れとはちょっと違うかな?」

「どういうこと?」

「だって、最初は年の変わらない男の人が家に来たから凄く警戒したし距離を取ってたもん。」

「うん。静音ちゃんはそんな感じだよね。だけど、好きになるきっかけがあったんだよね? 凄く気になる!」


女子ばかりでは無く、男子も興味深々で話しに耳を傾けていた。


「凄く不思議な人だったんだよね。」

「不思議な人?」

「うん。最初は警戒してたんだけど、いつの間にか私の方からベッタリくっついてた。何かねぇ、凄く安心したんだよ。決定的だったのは私の家族と10時間以上リビングで一緒に過ごして、その時間が凄く楽しかった事かな?」

「それって、静音ちゃんのお父さんとお母さんが居る状態で10時間以上ってこと?」

「そうだよ。だからうちのお母さんとお父さんと目茶苦茶仲良し何だよ。お姉ちゃん、お母さんから毎日のように家に連れて来なさいって言われているしね。」

「それは凄いな。俺だったら居たたまれなくなってしまうよ。マジで尊敬するわ。」


男子目線でも凄いようだ。


それから後夜祭が始まった。壇上で色々な出し物が行われ盛り上がった。


「静音さん! 好きです! 俺と付き合って下さい!」

「ごめんなさい。」


好きな人へ告白するという出し物。対象が私で無ければ楽しいと思うんだけどな。


「綾瀬さん! 好きです! 俺と付き合って下さい!」

「ご・ごめんなさい・・・」


何故か私と綾瀬ちゃんの比率が高い。本当にやめて欲しい。そう思っていると


「静音ちゃん、ちょっと良いかな?」

「どうしたの? 綾瀬ちゃん?」

「あのね、今日助けて頂いた方にお礼が言いたいの!」

「仁夜さん、気にしないと思うよ?」

「そうかもしれないんだけど、どうしても直接お礼が言いたいんだ。」

「う~ん、綾瀬ちゃん明日時間ある?」

「予定は無いから大丈夫だよ?」

「それなら明日、一緒に仁夜さんのマンションに行く?」

「えっ!? 流石に男性のマンションにお邪魔するのは不味いんじゃ・・・」

「綾瀬ちゃん、今イヤらしい事考えたでしょ。ククク、その変は大丈夫だよ。明日ね、うちの家族と他にも沢山人が来るから、綾瀬ちゃんが思っているような事にはならないよ。」


みるみる内に綾瀬ちゃんの顔が赤くなる。


「静音ちゃん、わざとでしょ!」

「うん。それでどうするの?」

「行く・・けど、結衣ちゃんも誘って良い?」

「別に良いんじゃない? 結構人が集まるみたいだし、一人や二人増えても問題無いんじゃないかな?」



翌日の日曜日、約束の時間に静音ちゃんの家にお邪魔した。


「すいません。無理を言って着いて来てしまって・・」

「心配いらないわよ。そんな事で仁夜くんは怒らないから、そうでしょ琴音?」

「そもそも仁夜くんが怒ったとこ見たこと無いわよ。それに話しを聞いて昨日確認とっておいたわ。わざわざ来てくれるなんて申し訳け無いって言っていたわ。」

「昨日の夜、凄く楽しそうに電話していたもんね。私も今日、連絡先交換してもらお。」

「え~と、私も良いのかな?」

「結衣ちゃんはクラス代表でケーキのお礼という事にしたら? 綾瀬ちゃんの付き添いでも良いけど。」

「そうだよね。ケーキのお礼をしよう。」

「話しが纏まったなら出発するぞ。そろそろ時間だからね。」


雨宮さんの車に乗り込み出発した。


話していたらあっという間に到着した。


「車は此処に停めて良いんだよな?」

「何かね、ここ全部仁夜くん専用の駐車場みたい。だから、空いてる所に好きに停めて良いって言ってたわ。」

「仁夜くん、車持って無いよね?」

「ほら、高嶺さんが車運転出来るから車買ったみたいよ。まだ届いていないからレンタルの車を使っているみたいだけど」

「それでも多すぎじゃ無いかね」

「この駐車場セキュリティーが万全でお高いから借りる人がいないとかで、それなら全部借りる事にしたって言ってたわ。これから必要になるだろうからって」

「ハハハ、流石は仁夜くんだねスケールが違い過ぎる。」

「お父さん、これで驚いていたら持たないわよ。」


車を下り、琴音さんの案内で集合場所へと向かう。集合場所には既に人が集まっており賑わっていた。


「信吾さん、おはようございます。今日はわざわざすいません。」

「こちらこそ招いて貰ってありがとう。」

「詳しい話しは上でゆっくりしましょう。でも、その前に登録を済ませましょう。」


一人一人に説明して登録を済ませる。


「安全を考慮して登録した者で無いとエレベーターが動か無いので不審者が上まで来ることは出来ません。それは非常階段も同様です。」


30人が優に乗れるエレベーターで50階へと向かう。


「関係しているのは、陸弥さんと雨宮さん、姫島さんかな。一応、この階全て俺の持ちもので、今まで一切使っていなかった場所何です。今は棗ちゃん、葵さん、美里ちゃん、来週から高嶺さんが使う予定です。琴音さんと美佐さんが俺のマンションで棗ちゃん達と住むとなったら、空いてる部屋を好きに使って貰う予定ですね。基本俺は51階で生活していますので、ここにはあまり来ません。」

「琴音、美佐、もし、ここに住むのであれば一緒の部屋で生活しましょ。正直言って、一部屋が広いのよね。後で見せるけど、あの中に別で5部屋もあるのよ。流石に一人では使いきれないし、掃除が大変だわ。」

「一度上で話した後、自由に見学して良いので先ずは上に行きましょう。」


どうしよう、全然話しについて行けないよう。

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