第14話
「高嶺さん、ここの廃工場を丸ッと買おう。売り地だったハズだから買えると思う。この周辺の土地単価がコレだから色を付けて此くらいで交渉お願いします。それと好きな車レンタルして使って下さい。車を購入したんだけど、来るまで時間かかりそうなんです。」
陸弥さんに車屋を紹介して貰ったんだけど、カスタム増し増ししたら納車まで結構時間がかかると言われてしまった。
「工事関連は雨宮さんの所で引き受けてくれるんだよね?」
「はい。そのように聞いております。」
「土地が購入出来たら、早めに廃工場を取り壊したいから見積りの提出をお願いしておいて。施工計画書、施工図、設計図はある程度は作り終えているから、後は皆の意見を聞きながらまとめておくね。」
「流石に仕事が速すぎでは無いですか? ちゃんと寝てます。」
「勿論、睡眠時間は削って無いから大丈夫だよ。」
「それなら良いのですが」
夕飯時に美里ちゃんに週末の予定を聞かれた。今日は既に木曜日なので、週末と言っても3日しかない。
「明日は割かし時間は空いてるかな? 土曜日は前々から言っていたように静音ちゃんの学校の文化祭を見に行く予定だから時間が無い感じかな? 日曜日は雨宮さんと姫島さんの御家族がマンションを見学しに来るんだけど、美里ちゃん、何かあったの?」
「うんとね。これ」
美里ちゃんが一枚の紙を手渡して来た。それは満点のテスト用紙だった。
「美里ちゃん! 凄いねぇ、満点だよ!」
「ニシシ、お兄ちゃんのお陰だよ。それでね、深仍ちゃんと茜ちゃんも満点だったの。」
「それは凄いね。3人とも良く頑張っていたもんね。」
「それでね、二人とも定期的にここで勉強とか色々教わりたいって親に相談したんだけど、流石にそれは迷惑になるし悪いんじゃないかって言われたんだって。」
「ふ~ん、そうか。俺は全然気にしないんだけどね。」
「うん。それでね、二人も頑張ってお願いして、二人のお母さんがお兄ちゃんに会って相談しに来たいから空いてる日教えて欲しいって言われたんだけど・・・」
「それなら日曜日にしようか。他の人も来るけど、大体が同じような理由だからね。折角だし陸弥さんにも声をかけようかな? 棗ちゃんのここでの暮らしも見ておきたいしね。」
「クスクス、それなら私の方からお父様に連絡入れておきますね。」
「宜しくね。」
※※※※※※※※
「仁夜様。廃工場の土地ですが、問題無さそうです。買い手も中々見つからなくて困っていたそうです。それと、相談されたのですが、廃工場の隣の建物ですが老朽化で取り壊しが決定しているようで、取り壊し前なら格安でお譲りすると相談されたのですが如何致しましょうか?」
「随分と安いね。まぁ、先方も取り壊しの費用がかからなくなるから双方に利があると言うことだね。折角だし購入しよう。廃工場と老朽化した建物の解体を進めるから来週の初めから本格的に始めよう。日曜日に信吾さんと会うからそれと無く話しておくね」
「そのように準備を進めておきますね。」
「宜しくお願いします。」
高嶺さんがリビングから出ていった。
う~ん、二つ合わせると結構広い土地になるな。これは構成を見直した方が良さそうだな。
「この後、皆時間あるかな? 少し相談に乗って欲しいんだけど良いかな?」
夕飯時、皆が集まっている席でお願いしてみた。皆は心良く了承してくれた。なので、夕飯後に集まって貰う事にした。リビングにある大型液晶にパソコンの画面をリンクさせる。
「集まって貰ってごめんね。この前に話した店を出す件について何だけど、高嶺さんにはある程度の構成とか設計図とか渡して良い感じに進んでいたんだけど、一度全部白紙に戻すことにした。」
ガタッ!
「高嶺さん、安心して。工場を取り止める訳じゃ無いんだ。見て貰いたんだけど、元々はこんな感じに使用と思ってたんだ。」
パソコンを操作して、今日作ったプログラムをはしらせた。画面には敷地に幾つかの建物が建っている精巧な映像が流れた。
「仁夜様!? これは??」
「今日時間があったから、皆に説明出来るようにソフトを作って、設計図を元にCG映像化したんだ。」
「見た所、問題点が見当たら無いのですが?」
「それがね」
カチカチ
「相談されて、購入する土地が広がってこんな感じになってしまった。縦が275m、横が300mだね。元々、ちょっとした店とアパートだけのつもりで考えて設計していたから一度白紙に戻して、コンセプトから見直そうかなって。廃工場と老朽化した建物を解体するから時間もあるしね。だから、皆でコンセプトにあった構成を一緒に考えたいなってね。」
「それでコンセプトは決まっているのですか?」
「コンセプトは《友達》かな?」
「友達ですか??」
「うん。ようするに学校以外でのコミュニティーの場を造りたい。この場所って近くに小学校や中学校もあるんだ。だから、集まって試験勉強したり、ゆっくり話しあったり、運動出来る場があれば楽しいかなって。」
「そう言うことね。」
琴音さんが納得したように頷く。
「先ずはどういったものがあれば良いかだけど。」
「確認ですが、客層は学生だけをお考えですか?」
「あっ! そうだよね。う~ん、でもそうすると危険な場合もあるか。こんなのはどう? お客は完全会員制にする。その上で時間帯で客層を変える。例えば、朝6時~7時は学生とシニアを対象、7時~15時はシニアと大人を対象、15時~19時は学生、19時以降は大人がって感じ。」
「良さそうですが、問題は多そうですね。」
「今はそれで案を出し合って、細かい事は後で詰めましょう。」
葵さんがもっともな意見を良い、棗ちゃんが話しを進めてくれる。徐々に意見を出し合える場になってきた。
意見を聞いて、パソコン状で次々に建物が出来て行く。1時間経過した所で解散する事にした。皆はまだまだ続けたいと言っていたけど、各自やることもあるので解散した。
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