第13話
タクシーを呼んで送って行こうとしたけど、棗ちゃんが車を用意してくれた。
「高嶺さんが車運転出来るなら車買おうかな?」
「お兄ちゃん、車買うの!?」
「高嶺さんが運転出来るなら買っても良いかなって。色々と便利出し、運転免許取れば俺も運転出来るしね。それにお金をドンドン使わないと増える一方で困るからね。」
「大丈夫なの? お店とアパートとか造るんでしょ?」
「うん、全然大丈夫だよ。そうだ、興味があるなら店とアパートの内装一緒に考えてみる。部屋大きさとか壁の色とか、浴室はどうするかとかね。住む人が快適に住めるように考えるんだ。そして、自分達で考えた事が形になるんだからワクワクするよね。」
「面白そう! でも邪魔にならない?」
「邪魔にならないよ。そんなに急いでいる訳でも無いし、皆でわいわいやって意見を出し合うのも楽しそうだろ。」
「やってみたい!」
「後は美里ちゃんのお母さんが元気になって手伝ってくれれば良いんだけどね。」
「私も一緒にお願いしてあげるね。」
「おお、それは心強い仲間が出来たよ。」
二人にも話しをふっておこう。
「深仍ちゃんは勉強に苦手意識を持っている感じだね。」
「はい・・上手く出来なくて・・」
「でも、今日見た感じで言うと気にする必要は無いと思えたよ。明日の試験で結果が出ると思うから、もし勉強を頑張りたいと思ったらいつでも勉強を教えるから気楽に遊びにおいでね。」
「ご迷惑では無いですか?」
「全然そんな事無いよ。深仍ちゃんならいつでも歓迎するからね。」
「わかりました!」
「問題は茜ちゃんかな? 茜ちゃんは多分だけど習い事が多いんじゃない。勉強も人一倍頑張って偉いと思うよ。ただね、詰め込み過ぎで何事も楽しめていない。そうじゃない?」
「楽しくは無いわね・・・」
「うん。何事も時間をかければ良いってわけじゃ無いんだ。常に気を張った状態では良い結果は出ない。」
「でわ、どうすれば!」
「茜ちゃんはまだ子供何だから、ゆっくり楽しいと思える事を探して行けば良いんだよ。でも、習い事を止めると言うのも難しいだろうから、手始めに習い事の中で楽しい事を探してみるのも面白そうだね。それでね、辛くなってどうしようも無くなったら、一人で抱え込まないで必ず相談すること。良いね。」
「わかりましたの!」
「丁度、深仍ちゃんの家に着いたね。茜ちゃんは少し待っててね。」
※※※※※※※※※
不思議な人だな。
「今日は遅くまで、うちの美里と遊んで頂いてありがとうございます。つまらない物ですがどうぞ。」
「こちらこそ、遊んで貰ってありがとう。また遊んでちょうだいね。」
「うん。こちらこそ宜しくお願いします。」
落ち着いていて、格好いいし、美里ちゃん良いなぁ。
「お母さん、今日お兄さんに勉強教えて貰ったんだ。それでね、凄く楽しかったの。また、勉強教えて欲しいな。」
「あら、そうなの? うちの娘がご迷惑かけちゃってごめんなさいね。」
「迷惑何てとんでもないですよ。勉強ならいつでも教えるから、深仍ちゃんも遠慮しないでね。今日は本当にありがとうございました。深仍ちゃん、また遊びに来てね。」
「深仍ちゃん、バイバイ。」
「美里ちゃん、また明日。」
お兄ちゃんと美里ちゃんは帰っていった。
「本当にしっかりしたお兄さんね。」
「凄く優しいお兄ちゃんだったの。それでね、また勉強教えて貰いに行って良い?」
「そうねぇ。ご迷惑にならないかしら? 一度こちらからご挨拶に行こうかしら」
「私も一緒にお願いするね」
※※※※※※※
この人、何者なのかしら? だって、あの棗様が仁夜様って、それに凄く仲が良さそうでしたの。
「わざわざ送って頂いてありがとうございます。」
「こちらこそ、こんな遅い時間まですいません。それでつまらない物ですがどうぞ。」
「送って頂いた上に頂いてしまってごめんなさいね。」
「茜ちゃん、またいつでも遊びに来て下さいね。」
「茜ちゃん、また明日。」
「美里もまた明日学校で逢いましょう」
二人は帰っていった。
「美里ちゃん、良い子ね。」
「うん。」
「あのお兄さんもしっかりした子だったわね。」
「あの人、天童棗様と一緒に住んでいたの? 今日お邪魔したら、普通に棗様が居て凄く驚いたわ。それにね、凄く仲が良く見えたわ。」
「えっ!? それは本当なの!?」
「車運転してたのも、棗様の家の人だったわ。きっと、凄い人だと思うわ。」
「どうしましょう! 失礼だったかしら?」
多分あの人はそんな事気にする人じゃないわ。
「お母様、習い事の数を減らしたいの。今のままだと何もかも中途半端で良く無いと思うわ。今日ね、あの人に勉強を教えてもらったの。今まで一度も楽しく感じなかった勉強が初めて楽しく感じたわ。お母様、私はあの人に色々と教わりたいわ! だからお願いします! 習い事が無い日に美里の家に行かせて下さい!」
「茜、それは私達だけで決められる事で無いのは茜もわかりますね。」
「はい・・・」
「今度一緒に挨拶に行きましょう。そして、お母さんも一緒にお願いしてみましょう。」
「お母様、ありがとう。」
※※※※※※※
「良いなぁ。美里ちゃん、ずっとお兄さんと一緒何でしょ。」
「ずっとでは無いけど、一緒にいるかな?」
「良いなぁ!」
「羨ましいのはわかるわね。」
「そうだ! 今日テスト返って来るよね。私今回は自信あるんだよね。」
「奇遇ね。私も自信あるわよ。」
「同じく。だってさぁ、あのテストお兄ちゃんが教えてくれたまんまだったよね。経った1時間しか勉強していなかったのにスラスラ解けたもん。」
『せえの!』
「ヤッター! 初めて満点とれた!」
「今回の試験、難しくしたとか言っていたけどそうでも無かったね?」
「他の子の点数を見てみなさい! 全体的に点数が低いでしょ。多分だけど、美里のお兄さんが可笑しいのよ。」
「えっ!? お兄ちゃん可笑しいの?」
「そうじゃ無くて、教え方が上手過ぎるの。私達それぞれに合わせて教え方を変えていたでしょ。それでいて、私達3人の理解度はテストの点数でわかるように完璧なのよ。家庭教師でもやったら引っ張りだこよ。」
「駄目だよ。そうしたら一緒に居られる時間が少なくなっちゃうもん。」
美里ちゃんは一緒に居られ無いのは耐えられ無いようだ。ここで話しをかえて
「今週末お兄さん家に居るかな?」
「確か土曜日は用事があるとか言っていたような? それでお兄ちゃんに何かようなの?」
「定期的に勉強教えて欲しいんだけど、そうなるとお母さんがお兄さんにきちんとお願いしたいから都合の良い日知りたいって言ってた。」
「深仍も同じ事考えていたのね。うちのお母さんも一度美里の家に挨拶に伺いたいって言ってるのよ。」
「お兄ちゃんなら気にしないと思うけど?」
「大人ってそう言うものよ。」
「今日の夕食の時にでも聞いてみるよ。わかったらLIMEするね。」
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