第10話
暗い夜道を3人で歩く。琴音さんと美佐さんと友達になって何度目かになる。彼女達の家が俺のマンションとそう離れていないので苦にはならない。俺的には二人と話せるから嬉しい方が強い。
「仁夜くん。話したい事があるから家に寄って行ってくれないかしら?」
「流石に遅い時間だし迷惑だよ。」
「大丈夫、問題無いわ。」
「それなら先に美佐さんを送っていった方が良いよね?」
「私も琴音ちゃんの家にお邪魔するから大丈夫ですよ。」
「それなら少しお邪魔しようかな?」
程なくして雨宮さんの家に着いた。
「ただいま」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
「あらあら美佐ちゃん、仁夜くんいらっしゃい。皆待ってるからあがってあがって。」
皆??
「あれ? 幸喜さんと京香さんもいらしていたんですね。信吾さん俺はお邪魔では無かったですか?」
「娘達から何も聞いていないのかね?」
「特には何も?」
「仁夜くんを含めて大事な話しがあるからと集まっていたんだけどね。」
「琴音さん、美佐さん、どういうこと?」
全く寝耳に水何だけど?
「全員一緒に聞いて貰った方が話しが早いから良いと思ったの。仁夜くん、騙すような事してごめん。」
「俺は全然良いんだけど、今から説明してくれるんだよね?」
「うん。お父さん、お母さん、今ね仁夜くんのマンションにこの前来た棗ちゃんと同級生の葵ちゃんと言う娘が今日から一緒に住む事になったの。それで、私も彼女達と一緒に仁夜くんのマンションに住みたいの。お願いします。」
「ちょっと待て、流石に一緒のマンションは不味いだろ!」
「ここに呼ばれたと言う事は美佐も同じ用件と言うことか?」
「はい。私も仁夜くんのマンションに住みたい!」
真剣な表情の二人だからか、俺からは否は言わない。暫く家族での対話を見守る事にする。
「お父さん、お母さんが心配する気持ち良くわかるの。でもね、お父さんやお母さんが考えているような事には成らないと思うの! それで、仁夜くんにお願いだけど、一度お父さんとお母さんをマンションに連れていきたいのだけど駄目かしら?」
「それは問題無いけど、俺は信吾さんや幸喜さんの意見が正しいと思っているよ。だから、何故そうしたいのか明確に話した方が良い。ただ、棗ちゃん達と遊びたいからとかだったらご両親は納得しないと思うんだ。」
二人の真剣な姿を見るに大きな理由があると思うんだ。
「仁夜くんともっと仲良くなりたいのもある。今日友達になった棗や葵と一緒に住みたいのもある。でも一番は色々と新しい事に挑戦したいと言うのが大きいと思う。夕飯の時に棗ちゃんと色々話していたでしょ。私達ではただ二人の話しを聞く事しか出来なかった。仁夜くんは店を出すんだよね。私は仁夜くんのその話しを聞いて私も一緒に携わりたいと思ったの。店が出来たらバイトもしてみたいとも思ったし・・だから、近くで色々教えて欲しいなと思ったのよ。」
「お父さんとお母さんのお陰で苦労無く学校に通えている。当たり前と思っていたけど、葵ちゃんと友達になってそれが当たり前じゃ無い事を知ってしまったの。このまま、のほほんと学校に通っているだけで本当に良いのかと、今日だけで一杯考えさせられたの。このままで良いのかって。」
「学生何だからそれで良いんだよ。だけど、俺は二人の気持ちを尊重するよ。二人が知りたい事なら教えるし、うちの店でバイトしたいなら歓迎もする。新しい事に挑戦したいなら全力で応援もしよう。信吾さん、幸喜さん、一度うちのマンションに来て頂け無いでしょうか? 詳しい話しはその時に決めたいのですが如何ですか?」
「そうだな。そうしよう。それで一つ気になったのだが仁夜くんは店を出すのかね?」
俺は夕飯時に話した説明を信吾さんに話した。
「ハハハ、それは大掛かりだね。それなら仁夜くんが設計した物をうちで引き受けても良いよ。うち建築会社も運営しているからね。それだけの潤沢な資金があって、店舗とアパートを併設させるんだろ。仁夜くんの設計にも興味があるし、琴音達が興味があるならある程度融通も出来るだろう。」
「それなら設計図が出来ましたら相談に乗って頂けますか?」
「勿論だよ。それなら優秀な部下を一人つけるから好きに使ってくれ。」
「わかりました。土曜日は静音ちゃんの文化祭に呼ばれていますので、都合が良ければ日曜日に見学で如何ですか?」
「仕事は調整すれば問題ないな。私の方はその日で大丈夫だ。」
「こちらも問題ないよ。」
「それでは日曜日にお待ちしております。」
疲れた・・・
翌日の早朝、朝食を作る前にジムで身体を動かす。
「二人とも朝早いけど大丈夫?」
「少し眠いですが、仁夜様がどのような事をしているか気になりまして」
「私は身体動かしたいと思いまして」
「それじゃ、美里ちゃんに教えた体操から教えて行くね。」
ゆっくり丁寧に指導していく。
「結構辛いですね。」
「理に叶っていますね。」
「これを毎日続けると身体の機能が向上するよ。」
ドタドタ バタン!
「あぁ、ズルいよお姉ちゃん! 私も一緒にやりたかったのに!」
「ごめんね。とても気持ち良さそうに寝てたから。」
「二人は軽めにランニングマシーンで走ると良いよ。美里ちゃんは着替えたら昨日教えた通り体操をしっかりやろうか。」
皆で1時間ほど身体を動かして、それぞれ準備を始めた。
「美味しい♪」
簡単に野菜スープと焼いたベーコンにスクランブルエッグ、トーストはセルフで食べ放題。朝にしっかり運動しているから皆、食が進むよね。
「美里ちゃん、着替えたら髪を整えるから来てね。準備が出来たら小学校まで一緒に行こう。」
「急いで着替えて戻ってくるね。」
「まだ時間があるからゆっくりで良いよ。」
美里ちゃんの髪を綺麗に編んでいき、可愛く整える。
「本当に仁夜くんは器用ですね。そうだ、私も一緒に小学校まで行きますね。」
「それじゃ、3人で行こうか。」
美里ちゃんと手を握って小学校への道を3人で会話を楽しみながら進んだ。
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