第7話

「棗ちゃん! こっちこっち」

「お待たせしてすいません。」

「全然待って無いよ。銀さんも病院の方ありがとうございました。今から全員登録を済ませるので来て下さい。荷物はここに全部置いていってね。」


専用の端末を取り出して登録を済ませる。指紋、眼球、映像を取り込み個人を設定していく。


「棗ちゃん、銀さん、葵さん、美里ちゃんはいつでも自由に入れるけど、荷運びの人は1時間だけの許可になるからそこだけ注意してね。間違って1時間越えると怖い警備員がかけつけてどうなるかわからないから。」

「確認ですが、その警備員は・・・」

「親父の教え子」

「お前達! 30分で終わらせなさい!」

「面倒だけど、初めての友人を連れて来る時は友人登録だけお願いします。アプリを入れればスマホで簡単に登録出来るからね。」

「早速引っ越しを開始しますか。このエレベーターは専用で50階の部屋直通だから間違う事は無いから心配しないでね。」


エレベーターに次々に荷物を乗せて50階へと向かう。


「仁夜様・・まさかこの階全てが部屋ですか?」

「正確には50階と51階が俺の所有になっている。そーだな、50階は普段俺は使わないから、棗ちゃんと葵さん、美里ちゃんで自由に使ってくれて構わないよ。部屋も余り過ぎて、使って貰った方が管理しやすいから助かるしね。まぁ、時間も無いし、引っ越し終わらせようか。」


棗ちゃんが人手を集めてくれたからあっという間に引っ越しが終わり解散した。


「51階は共有スペースで基本俺はジムかリビングに居るかな? 他にも温泉、サウナ、プール、遊戯室とかあるから好きに使って良いよ。ただし、美里ちゃんは一人だと危ないから必ず負担以上で遊ぶこと良いね。」

「わかった!」

「うん。良い子だね。そうだ! これから皆で買い物に行こう。棗ちゃんと葵さんにも俺の友達を紹介しておきたいしね。それと食事は基本皆で取ろう。俺最近料理にはまってるんだ。」


ピコーン!


「おっ! 二人も買い物に付き合ってくれるって。」



・・・・・・


「琴音さん、美佐さん、紹介しますね。今日から俺マンションで一緒に住むすことになった橘葵さんと橘美里ちゃん。それと一度会ってる棗ちゃん。棗ちゃんも今日から一緒住む事になったんだ。それと、二人が俺の友達の雨宮琴音さんと姫島美佐さんだよ。」

「あの、状況が全くわからないのですが、一緒に住んでるってどういう事ですか!?」

「前にも話したけど、同年代の異性が一緒に住むのは色々と問題があるのよ。」

「二人とも落ち着きなさい。買い物の後に説明してあげるから今は我慢なさい。心配しなくても、貴女達が思っているほど危なくないわよ。それで何を買いに行くのかしら?」

「葵さんと美里ちゃんの服とか色々。後は晩飯の食材。」

「私は」

「駄目だよ、葵さん。俺を頼ったのが運のつきってね。諦めて服を買うこと。美里ちゃんもね。」


高校生に人気がある店を見て回って、二人に似合う服をドンドン買っていく。流石に下着売り場には入る勇気が無かったので外で待機した。


「こんなに買って頂いてお金は大丈夫ですか?」

「全然大丈夫だよ。それに二人の可愛い姿が見れたから断然プラスだね。」

「フフ、何ですかそれ。」

「ニシシ、やっぱり笑った方が可愛いな。」


買い物を終えた俺達はマンションに帰ることにした。


「琴音さん、美佐さん、二人の写真撮って良い? うちのマンション、セキュリティー厳しくて入るのに必要何だよね。」

「問題無いわよ?」

「私も良いですよ?」

「オーケー、これで登録したから問題無いよ。後、一応晴香さんと京香さんには連絡入れておくね。心配すると困るしね。」


大量に買った買い物袋を持ってマンションに向かう。離れて後ろで護衛していた銀さんも手伝い、何とかたどり着く。


「え~と、マンション??」

「うん。50階は使って無かったから、今日から棗ちゃん達が使ってくれてる。俺は基本51階しか使って無いんだよね。」

「言ったでしょ。貴女達が思っている感じじゃ無いって。」

「俺は晩飯の準備するから、皆は好きに遊んでてよ。」

「聞きたい事もあるようだし、女子会でもしましょうか?」

「それ良いですね。」

「面白ろそう!」

「それなら遊戯室にドリンクバーとか色々あるからオススメだよ。美里ちゃんも俺が見ておくから楽しんで来ると良いよ。」


※※※※※※※※※


遊戯室には、喫茶店のようなスペースがあった。全部セルフだけど多種多様の飲み物とお菓子が並べられていた。見渡すと漫画や小説が並べられた本棚、卓球台、ダーツ、ビリヤードが多くおかれていた。


「自己紹介から初めましょう。私は常磐中学校3年の天堂棗です。来年から天神高等学校に通う予定です。私のことは棗で良いですよ。」

「棗は中学生だったの!? 年上だと思ってたよ。私は天神高等学校1年の雨宮琴音です。私も琴音で良いわよ。」

「私も年上だと思っていました。私も琴音ちゃんと一緒で天神高等学校1年の姫島美佐です。私のことも美佐で良いよ。」

「そのぅ・・天神高等学校1年の橘葵です。私も葵で良いです。宜しくお願いします。」

「話しを初める前に確認したいのですが、琴音と美佐は仁夜様の事どう思われていますか?」

「仁夜くん、え~と・・友達かな?」

「友達だと思うわ」

「本当にそれで良いのですね? 私は仁夜様を好き・・違いますね、愛しています。心のそこから。例え仁夜様がどなたかとそう言う関係になっても愛人、妾でも一緒に居るくらいには愛しています。勿論、一番は諦めるつもりはありませんが。この気持ちは葵ならわかるんじゃない?」

「うぅ・・わかります・・・どんな関係でもずっと隣に居たいなとは思います。」

「うん。凄く良くわかるわ。私は葵の気持ちを尊重しますよ。私が仁夜様とそう言う関係になっても葵も遠慮無く関係を持って良いですからね。」

「私何かが良いの?」

「だって葵は諦める諦めないの段階に居ないでしょ? 仮に諦めてって言って諦められるの?」

「・・・無理です」

「そう言う事よ。それで琴音と美佐は友達で良いのね? 葵のお陰で一緒に住めるようになったから友達の二人には遠慮しないわよ。」

『待って!』


ーー綺麗に二人の声が重なった。

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