第4話
フゥ~
「それにしても、仁夜くんは随分と仲が良いだね。」
信吾さんが不思議そうに聞いて来る。
「小さい時からの付き合いですからね。家は色々特殊何ですよ。俺は兄貴に家督を譲って家を出た身ですがそれでも家の名はついて回るもの何です。天竜会は裏の世界の自浄作用の為に造ったシステムの一部に過ぎません。辛い役割を担って頂いているんです。ただ今回の問題が家に入ると確実に潰されるので大きくしたく無いんです。それがわかっているから迅速に行動してるんじゃ無いですか?」
「私も政界には詳しいつもりだが、天馬峰家は余り聞かないけど、話を聞く限りでは凄い家何だろうね。」
「えっ!? あぁ~天馬峰は母方の姓何です。姓を変える前は
「剣能神家だと・・・まさか、神童・・」
「神童何て止めて下さいよ。俺は既に家を出ている身何ですよ。高校に通って、友達を作って、自分のやりたい事を見つけるんです!」
「わかったよ。それと理解もした。これからも娘達を頼むよ。」
「ニシシシ、任せて下さい。3人は俺の大切な友達何ですから!」
信吾さんとの話に区切りがつくと、待っていましたとばかりに説教が始まった。
「天馬峰くん、良いですか! 例え友達でも異性の方と部屋で二人っきりで逢うのは駄目です!」
「そうなの?」
「間違いが起こったらどうするつもりですか!」
「間違い?」
「そうだよ、仁夜お兄ちゃん。私だったら問題無いけど、もしお姉ちゃんの部屋でお姉ちゃんと二人っきりになったら食べられちゃうんだからね。」
「えっ!? 俺・雨宮さんに食べられちゃうの!?」
「そうそう食べられてって、静音! 変な事言わないの!」
「そう言えば仁夜くんは好きな娘とか恋人は居ないの?」
ピリッ
晴香さんの言葉に場が凍る。
「良くわからないんですが、棗ちゃんからは恋人は作らないように約束されていて、もしどうしても恋人が欲しいなら私がなってあげるから言いなさいって子供の頃から言われています。正直、好きとか恋とか難しくて良くわかんないですけどね。」
「あらあらあの娘もやるわねぇ。クスクス、貴女達も負けていられないわね。」
良くわかんないけど、夕飯をご馳走して頂いてから姫島さんを家まで送ってから家に帰った。
翌日の日曜日は姫島さんの家にお邪魔した。向かう途中で多目にケーキを購入して持っていった。
雨宮家と姫島家は家族ぐるみの仲良くしており、頻繁に食事や旅行に行く仲などだと言う。
「今度は娘も喜ぶだろうし仁夜くんも一緒にどう?」
「流石に家族の団欒にお邪魔するのは申し訳け無いですよ。」
「私は一緒に行ってみたいです。」
「私も来て欲しいですね。」
「仁夜お兄ちゃんが来てくれたら嬉しいな。」
「それじゃ、機会がありましたら宜しくお願いします。」
父の
「そうだ! 仁夜お兄ちゃん。再来週の土曜日に文化祭があるんだけど来て欲しいな。」
「それは楽しそうだね。是非見に行かせて貰うね。」
「そう言えば、仁夜くん文化祭の時居なかったよね?」
「お恥ずかしい話何ですが、文化祭期間中は一人で図書室に居ました。」
「打ち上げにも居なかったです。」
「バイトもあったし、流石にあの乗りは俺には厳しかったよ。でも、来年は二人が居るから参加するのも良いかもね。」
琴音さんと静音ちゃんを家まで送って、初めての友達の家の訪問は無事に終わった。
「仁夜くん、おはよう。」
「美佐さん、おはよう。昨日遅くまでお邪魔してしまってごめんね。」
「全然気にしなくて良いよ。お父さんとお母さんもまた遊びに来て欲しいって言ってたよ。」
「それならまたお邪魔しますと伝えて貰って良い。」
「うん。伝えておくね。」
土日を経て、美佐とは名前で呼び合う位には仲良くなっていた。
「仁夜くん、美佐、おはよう。二人とも朝から楽しそうね。」
「おはよう。琴音ちゃん。」
「琴音さん、おはよう。昨日遅くまでお邪魔しちゃったから迷惑かけちゃったかな? って話してたんだけど、美佐さんのご両親からまた来て欲しいって言ってくれて、つい嬉しくなっちゃった。」
「そうだ! お母さんがまた一緒にご飯食べましょうって言ってたわよ。」
「晴香さんの料理凄く美味しかったから嬉しいね。迷惑で無ければ是非お願いしますと伝えておいて貰って良い?」
「うん、伝えておくわね。」
琴音とも同様に名前呼びになっていた。昼休みになり、弁当を持っていつもの場所へ向かう為に教室を出ようとすると二人に声をかけられた。
「仁夜くん、一緒に食べよう。」
「美佐、抜け駆けはズルいわよ。」
「え~、琴音ちゃんも美佐ちゃんも今まで通り一緒に食べようよ。」
「ごめんね、真樹ちゃん。私は仁夜くんと一緒に食べたいんだ。」
「悪いけど私も同じね。」
二人はクラスと言うより、学校内で男女問わず人気が高い。なので、常に彼女達の周りには多くの生徒が集まる。
「二人とも、気持ちは嬉しいけど、俺の事は気にしなくて良いぞ? 一人で食べるのには慣れてるから」
「気にしてませんよ? ただ私が一緒に食べたいだけですから?」
「そうそう。私達にも選ぶ権利はあるわよ。」
「なら良いけど。」
移動するのを止めて、机をくっつけて食べることにした。
「仁夜くんの弁当、もしかして自分で作ってるの?」
「そうだよ。」
「美味しそうね。」
「晴香さんや京香さんには遠く及ばないけどね。はい、お裾分け。」
俺の弁当からおかずを二人にお裾分けする。
「それなら私もお裾分け。」
「フフフ、それなら私も」
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
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