第2話


後の事は真さんに任せて二人の元へ戻る。


「全て片付いたからもう大丈夫だよ。怖い思いさせてごめんね。もし、問題無ければ家まで送るけどどうする?」

「あのぅ、お願い出来ますか?」

「勿論、問題無いよ。遅くなると御家族が心配するから早く帰ろう。」


まだ、上手く立てないようだったから、ゆっくり二人を立たせて肩を貸してゆっくり歩き始めた。


※※※※※※※※


学校とでは全然雰囲気が違うんだな。そう思いながら隣を歩く彼の横顔をにみいっていた。


学校では常に一人で本を読んでいる印象がある。気弱で物静かで大人しい人だと思っていたのだけど


思い返すのは先程目の当たりにした現実。思っていた印象とは真逆の彼から目が離せなかった。


「天馬峰くんは何者なの?」


つい気になっていた事を口にしてしまう。


「一応、普通の高校生のつもり何だけど、まぁさっきのを見られているから難しいか。詳しくは話せ無いけど、家がちょっと特殊なんだ。」


気になりますけど、これ以上は深く聞かない方が良さそうですね。


「あのぅ、何で学校では雰囲気を変えてるの?」


美佐が自分から男性に話かける何て初めての事です。ちょっと驚いています。


ボソボソ・・


天馬峰くんが何か呟いたようだけど聞こえませんでした。再度、聞き返すと恥ずかしそうに話してくれました。


「俺は家の事情で小・中学校に通って居ないんだ。だから高校から通い始めたんだけど、これだと知り合いが怖がられて友達が出来ませんから髪を降ろして目立たなくして下さいとアドバイスを貰ったんだけど・・結局、一人も友達が出来無くて・・情けないだろ?」


それってもしかして・・


「その知り合いの方は女性ですか?」

「そうだけど? まぁ、そう言う理由で学校ではあんな感じで目立たないようにしているだよ。」

「なら! 私とお友達になってくれませんか?」

「・・・えっ!?? 俺と友達になってくれるの!? マジで、本当に、嘘じゃない? これで嘘だったらマジで一週間寝込む自信があるよ。本当に友達になってくれるの?」

「是非! お願いします!」

「それなら私も友達になります。」


まさか美佐がこんなに積極的に動くとは思いませんでした。危うく美佐に出遅れる所でした。それにしても、また雰囲気が変わりましたね。私達と友達になるのが嬉しいのか、子供のように笑う姿は可愛いらしく思えてしまいます。


「それじゃ、宜しくお願いします。」



※※※※※※※※


「天馬峰くん、おはよう。昨日は助けてくれてありがとね。両親もお礼がしたいと言ってて、もし良ければ家に来てくれないかな?」

「ズルいよ、琴音ちゃん! え~と、天馬峰くん、おはよう。もし良ければ家にも来てくれると嬉しいかな?」


翌日、登校していつものように席で本を読んでいると、昨日友達になった二人が挨拶してくれた。


「雨宮さん、姫島さんおはよう。友達の家にお呼ばれされるのは凄く嬉しいんだけど、お礼は必要無いと伝えて欲しいかな? 結局は二人に怖い思いさせちゃっているわけで、逆に申し訳け無いから。」

「そんな事無いです。」

「助けてくれなかったら私達こうして今笑えて居ないはずだから・・」


ざわざわざわざわ


〈どういう事だ!? 何で雨宮さんと姫島さんがあんな根暗と楽しそうに話しているんだ??〉


〈ぐぬぬ、我が高校が誇る女神が何故だ!!!!〉


〈二人が男子と話すの凄く珍しいよね?〉


〈私は初めて見る!〉


〈ハハッ! これは学校が荒れるね。特に男子生徒が〉


何だ?? クラスメートから注目されているような? 気のせいだよな?


「それなら友達の家に行くの初めてだから緊張するけど、お邪魔するね。」


夢だったんだよな。友達の家に遊びに行くの。楽しみだな。


※※※※※※※※


「随分と天竜会の名を落としてくれたようだな」


天竜会本家の邸宅の庭には、50人にのぼる青年が土下座で地面に頭を擦りつけられていた。どの青年もかが大きく腫れ上がっており、服で隠れて居るが全身ぼこぼこであった。


「恐喝、暴行、強姦、盗み、器物破損、調べれば調べる程出てくる。終いには仁夜くんに喧嘩を売る始末。悪いことに家のもんが絡んでやがるから始末に終えねぇ。」

「仁夜様にドスで脅したとか馬鹿ですか! 貴方達を海に沈めるのは簡単ですが、仁夜様がそれを望んでいるとは思えませんしね。困ったものです。」


青年達は海に沈められる話を聞いて顔を青くして震えていた。まるでそれは死刑宣告を待つ囚人のようであった。


「ハァ~、お前ら9人は指をつめろ、それで許してやる。」


馬鹿の指示に従った9人は指をつめさせ許した。


「お前ら兄弟は流石に許す訳には行かねぇから消えて貰う。連れて行け!」

「ばってくだい・・いどちだけは・・」

「ずびばせんでした。ぼうしませんから・・」

「見苦しいですわね。さっさと死んで下さいませ。」


懇願虚しく連れていかれてしまう。それを目の当たりにした青年達は更に恐怖のどん底に落とされた。


「最後にお前らだな。そうだな、チャンスをやろう。警察に行き罪を認め自首しろ。そして、真っ当に生きろ。もし、繰り返すようなら分かるよな。」


コクコク


「ただし、強姦に関わった者は玉を潰してから解放してやる。連れて行け。」


この後、警察に爆煉隊の構成員が次々に自首してくるという騒ぎが起こり、全国ニュースで取り上げられるくらいに話題になった。

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