二越神堂の片割れ、一度死んだので好きに生きる!!

@DAISHI0526

第1話

私立天神高等学校てんじんこうとうがっこうへ入学して、早くも半年が経った。俺は家庭の事情で小・中学校には通って居なかった為に同年代の友達が一人も居ない。


「友達ってどうやって作るんだよ・・・」


この半年間、幾度となく呟いた言葉を吐き出す。


俺は天馬峰仁夜てんまみねじんや、天神高等学校へ通う高校1年生である。俺が通う天神高等学校は都内でも有数の名門校であり、優秀な学生が多く通っている。そんな名門校に小・中学校に通って居ない俺が通えているのは、一重にこの学校の理事長と俺の両親が親しい間柄であるからだ。


小・中学校に通って居ない俺は友達の作り方がわからず、この半年間は友達を作る為に奔走したが、結局は何も出来ずにボッチ状態が続いていた。


午後7時、用事を済ませて自宅へと帰える道すがら、二人の少女が5人の男達に絡まれている所に出くわした。良く見ると少女二人は顔見知りというか、クラスメートだった。まぁ、一度も話したことは無いけど・・・


「二人とも可愛いね。これから俺達と遊ぼうよ。」

「お断りします!」

「えぇ、良いじゃんよ。絶対に楽しいからさぁ。」

「帰ります! 行こう、美佐ちゃん!」

「うん・・・」


ガシッ!


「痛ッ! 離して!」

「帰らせる訳無いしょ。痛い思いしたく無かったら大人しくついて来なよ。そうすれば、気持ちいいだけで済むからさ。」

「誰か助けて!」

「無理無理、このマークわかる? 俺達は爆煉隊だよ。俺達のバックには、あの天竜会がついているのは有名な話でね。この意味はわかるよね。だからさあ、今夜 フベッ!」


男の手が厭らしく、少女の胸に向かう前に俺は男の顔を殴り飛ばしていた。何が起こったかわからない男の仲間と少女二人は暫く呆然と佇んでいた。


一番最初に正気に戻ったのは殴られた本人だった。


「おい、餓鬼。誰に手をあげたかわかってんのか。」

「勿論わかってるぞ。クズ野郎だろ?」

「・・・良い度胸だな。おい、お前ら、コイツにわからせてやれ!」

「ククク、正義の坊っちゃん。相手が悪かったな。死なないように祈れよ。 オラッ!」


4人の取り巻きが俺を囲み、手に持った鉄パイプを一斉に振り下ろした。


何だよ、その大振りは? 当てる気が無いのか?


ゆっくり振り下ろされる鉄パイプを避けて、した攻撃を叩き込み意識を刈り取る。


ドサドサッ


「あっ・・何が!?」

「後はお前だけだがどうする?」

「俺は天竜会・」

「呼べよ。本当に天竜会がバックについているなら呼んでみろよ。」

「後悔しても知らねぇからな!」


男は携帯を取り出して、何処かへと連絡している。俺はソイツを無視して後ろで震えている少女に声をかける。


「雨宮さん、姫島さん大丈夫ですか?」

「・・・大丈夫です。その、、何で私達の名前を・・・」


もしかして、顔も覚えられていない何て・・・グス、、


「顔も覚えて貰って無いのは悲しいけど、え~と、同じクラスの天馬峰仁夜何だけど・・知らないよね。」

「えっ!? 天馬峰くん!? だって、雰囲気が全然・・」


そう言えば、学校では髪をおろして目立たないように気をつけていたな。今日は用事があって人と逢う為に整えていたのを忘れてた。


急いで髪をおろして学校の髪型に戻して話しを進める。


「二人とも怖い思いさせちゃってごめんね。もっと、早く助けに入れれば良かったんだけど。後の事は俺が引き受けるから二人は先に家に帰って良いよ。 」


ガタガタガタガタ


ペタン


二人は限界らしく、力無く地面に座り込んでしまった。どうやら相当怖かったらしく腰を抜かしてしまった。二人を家まで送ってあげたいけど、ここでしっかり解決しておかないと二人が危険な目に合う可能性が高い。どうしたものか・・・


バン!


バン!


暫くすると、複数の黒塗りの黒が道端に止まり、厳つい男が次々に降りて来た。その光景を見た雨宮さんと姫島さんは恐怖して、よりいっそう震え出した。


「雨宮さん、姫島さん、怖がらなくて良いよ。二人は絶対に守るから安心してくれ。」


さてと、


「兄貴! あいつが言っていた餓鬼だ。」

「おい、坊主。俺達が天竜会だと知って喧嘩を売っているのは本当か?」

「あぁ~本当だけど、あんたら本当に天竜会なのか?」

「あん! そんな嘘つくわけねぇだろうが! 正真正銘天竜会のもんだ。天竜会を舐めた事を後悔して死にやがれ。」

「どうやら本当みたいだね。本当にガッカリだよ。」


バン!


ドスを取り出し、脅すように近づいて来る男達を眺めていると1台の高級車が道端に止まり、良く見知った顔の男が車から降りて来た。


ザザッ!!


俺に脅しをかけていた面々が一斉に地面に膝をついた。


「わ・若頭!? どうしてここに??」

「なぁ、この状況を俺に説明してみろ」


さっきまで威勢良くドスを構えて俺を脅していた男が膝を地面につけて、震えながら言い訳けを始めた。


「あの餓鬼が天竜会に喧嘩を売ったようなので、落とし前をつけていた所でして・・」


バキッ!!


若頭は言い訳けしていた男を殴り飛ばして、俺の前に歩いて来て土下座した。


『若頭!??』


「仁夜様、数々の御無礼申し訳けありませんでした!」

「さっきぶりですね、まささん。正真言って天竜会にはガッカリしました。これからは付き合い方を考えさせて貰いますね。」

「それだけは御容赦お願い致します。頭とお嬢様に顔向けが出来無くなってしまいます! どうか、私の首一つで許して下さいませんか。」

「真さん、立って下さい。今回の件は父や兄には言いません。ただし、最近天竜会の名を借りて騒いでいる輩が目に余ります。名を騙っているだけだと思いましたがそうでは無かった。天竜会はそう言う組織では無い筈です。そうですよね?」

「その通りです。銀! 今直ぐ天竜会の名を騙った奴らを全員駆逐しろ! それと今回の件に関わったお前らは破門だ。コイツらを頭の所へ連れて行く。きっちり落とし前をつけさせる。」

「真さん、俺は彼女達を家まで送って行くので失礼しますね。」

「家まで御送りします。」

「それは流石に彼女達が可愛いそうだよ。」


やんわりと断りを入れて、その場を離れることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る