第21話 学園を見に来ました。

「これがノヴァ学園…」


受験の下見として、訪れた学園は何と言うかデカかった。何これ城?僕は城に来たの?


白塗りの校舎は、威風堂々としており、ブランの片隅にあるとは思えないような迫力がある。規模は小さめの街ぐらいあるのでは?と思うぐらいに広い。校舎の反対側には、森が広がっており、自然と文明が隣で共存しているような感覚に陥る。


校舎に圧倒されていると、校庭で爆発音が響き渡る。


「え?ちょ、何!?」


「焦るなシオン。あれは…どうやら決闘のようだな」


「決闘…?そんなのがあるの?」


「この学園独自のルールみたいなものだ。血の気が多い奴が多い学園だからな。こうして、適度に発散しているのさ」


アルトに説明されて、校庭をよく見てみる。確かに教師らしき人物が立ち合いを務めているようだ。決闘していた2人の生徒は握手している。その表情には、晴れ晴れとしており、蟠りといったものは無さそうだ。


「この学園に受験するのか…」


「そうだ。何だ、今更怖気づいたのか?」


「こんな学園があるんだって驚いただけだよ」


アルトのからかう様な口調に少しムッとして反論する。アルトはニヤニヤと僕を見ていた。クソッ!腹立つ!


「そうか、そうか。まぁシオンなら大丈夫さ。手続きは、ふむ。あちらのようだな」


『受験生受付』と書かれたパイプテント(だっけ?)がある。そこに受付の教師が暇そうに座っていた。


受付に声をかけてみる。


「あの、すみません。受験受付ってここですか?」


「あ、受験生の方ですね。受験票はお持ちでしょうか?」


「はい、これです」


僕とウィルは受験票を教師に渡す。教師はそれを確かめるように、謎の物体に受験票をかざす。


「確認致しました。シオン=アサギリ様とウィルローナ=ユーグベルト様ですね。受験のご説明を致しますが、お時間はよろしいでしょうか?」


「はい。大丈夫です」


それから僕達は試験の説明を受けた。大体は、貰った資料通りである。


初日に筆記試験。1科目50分で5科目。時間は8時に2階の試験会場に集合。8時30分から試験開始。


二日目に実技試験。魔法、武術、あるいは両方。時間は9時に校庭に集合。内容は、学園が用意したゴーレムを倒すこと。治癒魔法が使える者は、事前に連絡すれば、試験内容は変更出来る。ウィルは、治癒魔法は使えるが、僕と同じ、ゴーレムを倒す試験にしたようだ。


三日目は面談となる。学園の教師と個人面談だ。これは、特に合否に直接関係するものではないようだが、教員等の心証に関わるものだから真面目に受け答えするとしよう。


◆◇◆

「ふへへ。頑張ろうねシーくん」


「そうだね。頑張って行こう」


「そうだな。2人とも頑張れよ。応援している。さて、宿に向かうか。オーラが手続きしてくれている。そろそろだろう。行くぞ」


「うん。あ、スカーレットドラゴンの核の装備はいつ作るの?」


「そうだな。宿に荷物を置いてから行くか。今日素材を渡せば、2日後には出来ているだろう」


「やった。それじゃ行こうよ」


「分かった、分かった。そう急いでいると、コケるぞ」


受験まで残り4日。

















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