第11話 聞きたいことがありますがその前に
『蒼天の魔法使い』
伝説の魔法使いであり、始まりの転生者と呼ばれる存在である。かつてあった超大国のゾルド帝国をたった一人で滅ぼした英雄。そして、ウィルはかの魔法使いの血を引く一族。
色々と聞きたいことはあるのだが…
「ゴギャアアアアアア!!!」
「グギャアアアアアア!!!」
「ゴギャオオオオオオ!!!」
ゴブリン達の咆哮が響き渡る。うるさい。邪魔だ。今ウィルと話しているんだ。横槍を入れてくるな。自分勝手なのは重々承知しているが、そんなことを思った。
「…ごめん。ウィル」
「…ううん。行こうシーくん」
今はまだ戦場である。魔獣の迎撃が最優先。話をするなら後でだ。
「うん。行こうウィル。頼りにしてる」
「任せて。シーくんのために頑張る!」
ウィルは気合いを入れるように両手の拳を胸の前で作る。頼もしいな。僕も頑張らないとね。
「「「ギャアア!!」」」
ゴブリン達が一斉に襲いかかる。
水魔法 《凍路》
水魔法 《氷槍》
「ギャギャ!?」
「ゴギャ!?」
「ギャゴォ!?」
ゴブリン達の足元と前方の道を凍らせ、滑ったところで上空から氷の槍を降らせる。ゴブリン達は、串刺しになり、核を残して消滅。
「(まずは三匹)」
「ギャアァァァ!!ゴア!?」
水魔法 《氷槍壁》
後ろから迫ってきたゴブリンが透明な氷の壁に激突し、そのまま串刺しになる。
氷の槍を生成し、敵を貫く 《氷槍》
氷の壁を生成し、身を守る 《氷壁》
2つ合わせたら強いんじゃない?そんな感じで作ってみたが結構良さそうだ。今後改良するとしよう。
ふとウィルに目を向ける。ウィルの周りにいたゴブリンが消し炭になっているのが分かる。
「燃えて《火球》」
ウィルは短く呟くと即座に魔法を放つ。
火魔法 《火球》は手のひら大の火球を作る魔法…のはずなんだけどウィルの《火球》は人の背丈以上の大きさだ。
はぇ~すっごい大きい。ウィルほどの魔法使いならこんな大きくなるのか。
ドゴォォォォォォン!!!
ウィルの放った《火球》は数十匹のゴブリンに命中すると、耳をつんざく爆音とともに、ゴブリンを消し飛ばしていた。核すら残っていない。
「…凄いねウィル」
「ふへへ。私周りの人より魔力がかなり多いみたいなんだ。それに火魔法の魔力効率が凄くいいみたい」
ウィルが照れたようにはにかむ。これは本当に凄い。…もうウィルだけでいいんじゃないかな。そんな考えがよぎるが、そういう訳にもいかない。ウィル一人戦うのでは、一緒に戦っている意味がない。なんとか僕に出来ることを探していこう。これもまた、僕の意地だ。
「ウィル、こっちの魔獣は僕が倒す。ウィルはそっちをお願い」
「分かった!任せてシーくん!」
二手に別れて魔獣達を討伐する。ウィルの魔法のお陰で大分楽になった。
それから先は、効率よく、ゴブリンを処理していった。戦いの中でウィルとの連携も深めていく。
剣で斬り殺す。水魔法で俄雨のように水を降らせて凍らせる。あるいは土魔法で落とし穴を作り、穴の先に槍を設置し、串刺しにする。氷の鎖で縛ったところを、ウィルが焼く。
使えるものはなんでも使え。最大限活用しろ。アルトの口癖である。
「あとちょっとだねシーくん」
「そうだね。早く終わらせよう」
「ギャガググググ…」
後少しで終わる。そんな時だった。ゴブリン達が突然怯えるようになった。最初は仲間達が殺されて、自分の番になったからか、と考えていたが、どうも様子がおかしい。空に何かがあるのかしきりに上を仰いでいる。こちらには目もくれず、逃走する個体も出てきた。逃がして、町に被害が出ては困るため、トドメを刺したが。
ゴブリンの数が順調に減っていき、残り5体になった時、それは落ちてきた。
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