世界観設定

国家・町・集落

◇国家・町・集落◇


◆東の国

 リーシャの母国。東方にある島国。魔法は自然の力を借りて行使する力であるとの考えが強く、自然信仰が根強く残っている。「東の花の乙女」という乙女小説のモチーフとなっており、一部の地域に伝わる「想いあう相手に揃いの翡翠の指輪を贈る」という風習が小説に取り入れられたことによって一気に有名になった。

 桜を使った桜酒が美味しい。


◆イオニア

 大陸中央よりも少し東にある騎士の国。古くから武力によって国を守って来たことを誇りとし、一切魔法を受け入れないという方針を掲げていた。現在は方針が緩和され、魔法を導入する方向に動いている。

 元々は遊牧民を祖先に持ち、大きな岩山を切り拓いて町を作り定住したのが始まりとされている。切り拓いた時に出た白い岩で作った住宅が多いため、首都は夕焼けが良く映えるとして観光地化している。

 遊牧民時代に良く食べられていた「羊と香辛料のスープ」が伝統料理として残っており、今でも食堂や酒場などで提供されている。乾燥した土地でも作れる果実酒作りが盛んで、特に林檎酒が有名。

 水不足に悩まされているため水魔法の導入に期待が寄せられている。


◆冠の国

 山に囲まれた小さな国。かつてはルビーやサファイアの輸出で栄えていたが、鉱山が枯れ始めており飛行船業のみで国を支えている状態である。その飛行船業も「偉大なる帝国」の公営会社、「ウィナー公船会社」に仕事をとられて傾きつつある。

 国の中枢は腐りきっており、かつての栄光を忘れられずに見栄をはるために「偉大なる帝国」から借金をして町の景観を保っている。

 最終的には偉大なる帝国の宣戦布告を受け、戦う前に降伏して併合された。


◆偉大なる帝国

 大陸中央部に位置する大帝国。工業が発達しており武器や兵器の開発が盛ん。「ウィナー公船会社」を冠の国へ送り込み造船技術を会得し、そこで生産した飛行船を偉大なる帝国へ輸出していた。

 先代皇帝は好色家で多くの側妃を娶ったため、国内に側妃の離宮が大量に存在する。皇帝に取り入ろうと娘を差し出す者も多く、腐敗政治の原因となっていた。

 先代皇帝が亡くなった後はヴィクトールによって離宮の整理が進められており、ほとんどの離宮が廃され、側妃や親族は国へ帰された。

 東方にも西方にも影響力のある、今一番勢いのある国である。


◆フロリア公国

 大陸中央よりも少し西側に位置する小さな国。花を愛でる習慣があり、観賞用の花や薬草、香辛料の輸出などを主産業に据えている。国の面積がとても小さいため貴族や王族に与えられる領地には限りがあり、王家を継げない子供達は「販路の繋ぎ」として養子や婿、嫁に出される。

 嫁いだ先で消息不明になる者も多く商売の為の道具として使われている面が大きいが、大公家の人間は「そういうものだ」と受け入れている。

 大公を据えているが実質的な権力や継承権を持つのは大公妃や大公女(長子)であり、母から娘へ花を模したかんざしを贈るという風習がある。


◆聖都ソレイユ

 魔法教会の本部がある「はじまりの聖女が生まれた村」に作ったとされる自治区。魔法教会の信者が多く訪れる為観光地化しており、大聖堂とその周辺の土産物屋や聖蹟で構成される。

 本物の「はじまりの聖女が生まれた村」は遠く離れた水晶鉱山の麓にあり、ソレイユはそれを模して造られた偽の聖地であるが、魔法教会の関係者ですらその真実を知る者は少ない。


◆星療協会のコミュニティ

 世界各地に作られた星療協会の支部を中心とした集落。隕石が良く落ちる場所の近くに作られることが多く、集落の中には必ず天文台が設置されている。星が良く見える場所を選ぶため町から離れた場所に作られることが多い。

 基本的には自給自足生活をしており、集落の周辺には住民が食べて行ける程度の食料を作る畑がある。地元の猟師と提携しており、周辺の山で採れた獣の肉を主食としている。

 男は出稼ぎに出ている為、集落の住民のほとんどが女性である。冬になると雪に閉ざされて町に出て行けなくなるため、星導刺繍などの手仕事が盛ん。


◆トスカヤ◆

 北方にある小さな町。年中気温が低く、冬になれば深い雪に包まれる。海に面しているため漁師町としても有名で、ここで採れる鮭は高値で取引されている。


◆賢者の学び舎◆

 王を持たず、他国の干渉を受け付けない学園国家。どの国の、どの人種の人間でも魔法を学ぶことが出来る研究者の楽園。事務棟や教育施設、図書館やギルドが集まる「首都」と研究者の集落である「村」、生活用品店や食料品店、飲食店などが集まる「町」で形成されている。

 基本的に「卒業」という概念がなく、死ぬまでいても咎められることは無い。それ故に、一生をここで過ごす研究者も多い。


◆石の村

 56研究棟を中心に形成された小さな「村」。

 主に鉱物や宝石に関する魔法を研究している者が居住している。研究棟には大きな収蔵庫があり、研究に使用する端材や素材から立派な鉱物標本まで膨大な種類の宝石や鉱物が保管されている。

 比較的首都に近く、歴史がある村でもある。


◆トリヤのレストラン

 トリヤが一人で営む小さなレストラン。自然干渉魔法で形成した森の中にある。魔法を使って作られた自家製野菜を使った料理が人気。知る人ぞ知る隠れ家的なレストランで、「石の村」の管理人であるフリッツのお気に入り。


◆養殖研究の村

 陸地における魚の養殖に関する研究をしている村。

 地熱を利用した温水養殖ではなく、浄化魔法を利用した陸地養殖を目指している。限られた水を再利用して養殖出出来るようにするのが目標で、「砂漠研究所」と提携してオパールを利用した浄化装置の開発を続けている。

 リーシャとオスカー曰く、とても美味しい魚が買えるらしい。


◆賢者の水瓶

 大きな湖の畔にある水魔法研究の村。基礎魔法である水魔法の村というだけあり、在籍している研究者の数がとても多い。

 湖とその周辺にある湿地帯は観光地にもなっており、湖で獲れた水産物を利用した料理を出す飲食店が多い。特に「蟹」や「海老」が有名。

 研究棟の周りには巨大な宿舎が何棟もあるほか、村の中に「家」という小さな研究施設を持ち、そこで共同研究している者もいる。


◆魔術国家エレーメ

 魔術大陸にある魔術師の国。近年まで霧で覆われ秘匿されていたが、徐々に魔法大陸との交流が開始された。魔術を使った道具「魔術道具」の輸出を行っており、魔法大陸で広く使われる「収納鞄」もその一つ。

 魔術は発明した家や個人の物であるという考えが強く、その多くが明らかにされていないため未だに謎が多い。輸出品も契約を結んだ問屋を通して流通している。

 賢者の学び舎との間に交換留学制度を設けており、エレーメに行くには学び舎を通して推薦してもらうしかない。


◆エレニム

 エレーメから離れた場所にある魔術師のたまり場。エレーメに居られないような変わった魔術師や、禁忌に触れるような研究をしている魔術師が住んでいる無法地帯。エレーメの魔術師はエレニムを嫌い、見ないふりをしている。

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