『ジョン・ドゥ』

お題『ジョン・ドゥ』

制作時間:20分


 俺はさながらジョン・ドゥ。

主人公を見守る群衆の一人でしかない。

一般的で目立たない、これといって特徴がない男さ。


 そんな男に反政府勢力に入る度胸があったのかって?

あぁ、簡単に言うと俺は指導者やってるアーキマンって奴に救われたのさ。


 飢饉と重税で食料が尽きて、このままだと野垂れ死ぬしかねぇってところで拾ってくれてよ、あったけぇ飯をいただいちまったんだ。


 そりゃあ味方しないわけにはいかないだろう?


 さてと…今日も、反抗の時間がやってきた。


 いつもと同じように軍隊がバリケードを突き破ろうとしてくる。

俺はそれを矢で牽制するだけ。

訓練を積んだからな、俺にでもできる仕事だ。


 暫く経って、ある程度高い場所から弓を引く俺は気づく。

恩人のもとへ数名の人が向かっている。


 あれは……敵軍のシンボル?


 俺は気がつけば走り出していた。

早く伝えなければ恩人が危ない。


 息を切らしながらも障害物を跳び越え、梯子を登り、そして恩人の立つ場所へと俺は辿り着く。


 その時、剣を持った4人組の敵兵がやって来た。

さっき見た奴らだ。


 4人組は剣を恩人に向かって突く。


 刹那。

俺は跳び、恩人を庇っていた。


 嗚呼、痛え。

止める俺を剥がそうと4人組は滅多刺しにしてくる。


 痛い、痛い、痛い。


 俺はさながらジョン・ドウ。

主人公を守って死ぬ、英雄でもなんでもないただの争いの犠牲者さ。

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