三章 或る少年の遭遇
オレは、ストラエフト牧師のへやにはいったことがない。
オレだけじゃない、ほかのやつらも、マグナ牧師もはいったことがないんだ。
そこになにがあるかは、ストラエフト牧師しかしらないんだ。
オレはいま、ストラエフト牧師のへやにはいろうとしている。
ストラエフト牧師はにわではかまいりをしている、チャンスはいましかないんだ。
ドアノブにてをかけて……
ほそいおとをたててドアがひらく。
くらいへや。
ゆかにはなにかのもようがびっしりとかきこんであり、まんなかにはどうぶつのあたまがおかれている。
おそるおそるあしをふみだす。
いますぐにでもにげたい。
こわい。
これがストラエフト牧師にばれたら、きっとあのあたまみたいに……
そんなかんがえとはぎゃくに、オレのからだはへやのおくへとすすんでいく。
へやのおくのつくえに手を伸ばし、ひかれるようにてにとったそれは……ほん?
オレはいよいよこわくなって、ほんをもったままへやからとびだし、ドアをゆっくりとしめた。
ほんはよめないけれど、いつかよめるようになったときのためにとっておこう。
……とりあえず、きょうはねよう。
あさ。
マグナ牧師のおおごえでめがさめる。
いそいでほんをかくし、おきあがってしょくどうへとむかう。
……こわい。
たべるのにしゅうちゅうできない。
ぼーっとしているうちに、じかんはすぎていく。
「みんな、私はストラエフト牧師を探してくるから、少し待っていなさい」
マグナ牧師のひとことで、オレははっとする。
マグナ牧師があのへやをみたら……どうなるだろうか?
こわい。
オレはストラエフト牧師のへやにはしる。
とびらのまえで、マグナ牧師がとまっている。
とまったまま、うごかない。
おそるおそるちかづくと、そこには……
ゆれるひと。
つりさがったなわ。
ストラエフト牧師が、しんでいた。
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