20131106

 主人公は私ではなく、小学生か中学生くらいの女の子だった。けれど私の視点はその子と同じで、思考も感覚も繋がってる。それでも私じゃないという自覚があり、意識が二重になっていた。

 同い年の男子も三人いた。気が強くやんちゃそうな彼らは、なんだか必死なようだった。リーダー格の華奢で黒髪の少年は口が悪く、彼の叔母は、通りにある建物の二階左奥の部屋にいる。家屋というより白い箱のような建物で、彼の叔母は化け物だった。彼は気づいていない。彼の叔母は姉と二人暮らしをしていて、叔母の姉は肌が黒く顔が皺くちゃで、恐ろしかった。

 私が重なっている少女は、その叔母の本性にも気がついていて、どうにか殺さなければと思って色々調べていた。けれどリーダーを中心にして、少年たちが邪魔をする。何をやってるんだと罵る。口の悪い彼の身内は、叔母とその姉しかいないらしかった。自分の環境を守ることに必死だったのだ。

 それでもついにボロが出て、叔母が化け物だと少年たちも気づく。しかし気づいたときにはもう大分遅かった。狭いガレージのような場所で、少女と少年たちは、化け物に追い詰められる。叔母の外見は酷くて、髪は抜け落ち、肉も削げ、皮は薄く毛細血管が浮いている。

 リーダーである彼は手にマヨネーズを持っている。化け物が苦手なのだと、少女が彼に教えたのだ。けれど暴れまわる叔母には近づけなくて、逃げ惑うしかない。私は少女が奥に梯子が立てかけてあることに気づいたことに、気づく。梯子に登る。梯子のてっぺんあたりで体勢を整え、下にいる化け物を見定める。手にはいつの間にか黒い実の入った袋が握りしめられていた。黒い実は、化け物の動きを少しだけ止められると知っていた。化け物に向かって、袋を開く。実が勢いよく飛び出して、もはや叔母の面影をなくした気味の悪い化け物に降り注ぐ。絶叫と怒りの咆哮が響いて、その隙に、男の子たちがマヨネーズをバットのように振りかざし、殴る。化け物がよろめく。目がこちらをみている。

 化け物は少年たちには目もくれず、梯子の上の少女に向かってくる。それほど高さのない梯子だから、すぐ足元に化け物の頭がある。私は、少女がポケットからドライバーを取り出すのがわかった。逆向きに持ち、硬いグリップの方で、化け物の頭を殴っていく。円を描くように何度も殴る。頭の感触は人間と変わらない気がした。もちろん人間の頭を殴ったことはない。想像だ。硬いグリップが皮膚に当たり、骨に当たり、振動が内部に伝わっていくのを手のひらに感じた。柔らかく硬い感覚が続く。何回殴っても化け物は怯まず、こちらを狙ってくる。少女はドライバーを正しく持ち替え、躊躇ったあと、尖った先端を、化け物の頭に刺す。ざくっと皮膚を破って突き刺さった。浅いけれど確実に、生き物を刺した感触があった。恐ろしい。でも殺さないと。何回も突き刺す。頭に黒く濁った穴が空いていく。一際強く、額近くを突き刺して、ずずっと奥まで進んでいくドライバーにぞっとした。ドライバーを足で踏み押すと、先端が目から突き出た。


***


目が覚めた。

再び眠りにつく。


***


 続きをみた。叔母の姉が、次々とみんなを殺していく。少年たちも死んでしまった。爆弾で両手足を吹っ飛ばされ、血みどろになって死んだ男の子を、覚えている。

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