チャプター3 スリージェの想いとカムオリの意志

 あれから、スリージェ・クープとカムオリノミコトは、この街で起こる些細なトラブルから大きな面倒事までをそれぞれのチカラを用いて解決していった。


 二人は普段はごく普通の女子小学生。いつもは学校で勉強やスポーツなどを頑張っている。


「この問題分かる人」

「はい、答えはこれです」

「神衣さんすごーい!」


「ドッジボールの時間です!」

「そこだっ!!!」

「今日も神衣さんのチームが圧勝!」


 わたし、会垣十色のクラスにいる神衣さんって人、色々な事を何でも出来るからクラスのみんなの人気者なんだよね。今日も一緒に遊びに行こうと誘っても……


「この後駅前のデパートでお買い物したいけど、一緒に行く?」

「この後は家で稽古だ、すまんな」


 って言ってすぐ帰って行っちゃった。わたし、もっとあの子と仲良くなりたいな。なんて考えながらも今日の授業の時間は終わった。


「うーん……そういえばあのデパートに、最新のペンが入荷するみたい!」


 わたしは帰宅前に、デパートでお買い物をしようと思ったんだけど……!


・・・


 わたしがデパートの前に来ると……!


「な、なにあれ……!」


 デパートの8階から火の手が上がっていた……!窓からは炎と煙が噴き出ていた……!


「ど、どうしよう……」


 逃げ遅れた人は助けを求めているに違いない……!


『十色さん……今こそチカラを使う時です!』

「う、うん……!」


 わたしはすぐに人のいない所に行くと、虹色のペンを構えてこう言った……!


「フルール・ドゥ・スリージェ・カラーズ!!!」


 するとわたしは光に包まれて、スリージェ・クープに変身した。


「世界を彩る一撃!スリージェ・クープ!!!」


 変身したのはいいけど、この火事はどうやって止めればいいのかな……すると、ペンの中から声がした。


『アクアセットにパレットチェンジするのです!』

「パレットチェンジって?」

『あなたにとって、水を連想させる色を想像しながらペンを握って下さい』

「分かったわ……こうね!」


 わたしは言われた通りにした。すると!


シュピーン!キラキラッ!


 わたしの衣装は、いつものピンク、水色、黄色から、紺色、青、水色の三色に変わっていた。


『その姿で水や魚を描いてあのデパートの中に行くのです!』

「わ、分かった!やってみるよ!」


 わたしはすぐさまペンで水と魚などを描くと、あのデパートの火事を消してとお願いして、一緒にデパートの中に入っていった!


しゅばああああああ……


「すごい……通っただけで火が消えていく……!」


 わたしは火を消しながら、逃げ遅れた人達の所に急いだ!


「皆さん!大丈夫ですか!」

「あ、あなたは!」

「助けが来てくれたのか!」


 逃げ遅れた人達に怪我人はいなかった。あと少しでも救出が遅れていたら大変だった……!


バラバラバラバラバラバラバラバラ……


 すると、窓の方に救助隊のヘリコプターが近付いて来た。けど、何かおかしい……!


「あのヘリコプター、エンジントラブルを起こしてる……しかも、こっちに近付いて来ている!?」


 ヘリコプターは後部から黒煙を上げながらこっちめがけて突っ込んで来た……!


「わあっ!もうダメだあっ!!!」


ズオッ!!!


 ヘリコプターの動きが止まった。よく見ると、ヘリコプターの至る所に、折り鶴らしきものがくっついている!


「折り鶴……!?」


 すると、赤と青と緑の服を着たわたしと同じぐらいの人が窓から現れて言った。


「俺の折り鶴がヘリコプターを支えている!さあ、早くこれに乗りな!」

「あっありがとうございます!!!」


 デパートの火災はわたしの描いた水と魚によって鎮火して、逃げ遅れた人達は小さな折り鶴が支えるヘリコプターに乗ってそのまま地上へと降りていった。


「これで、今日の勤めは終わりだ」

「あっ!待ってよ!」


 わたしはすぐに三色の服の人の後を追った。


   * * * * * * *


 神織神社。


「今回も、勤めを果たせたな」

「やっと追い付いた!」

「お前は誰なんだ?」

「わたしはスリージェ・クープ!さっきのデパートの火事を消したのはわたしなの!あの折り鶴でヘリコプターを支えたのって、キミなの?」

「ああそうだ……どうやらお前も俺と同じ存在のようだな、俺はカムオリノミコト。お前になら本当の姿を見せられるかな」


 カムオリノミコトさんは、変身を解くと、その姿はあの神衣志織ちゃんだった。


「やっぱり、志織ちゃんだったんだ!」


 わたしも変身を解いて会垣十色の姿を見せてあげた。


「会垣……そのチカラをどこで……!」


 わたしは志織ちゃんにこのペンの事とか、スリージェ・クープさんの話とかをした。


「つまりこのカムオリノミコトも、マジックカラーズとやらのチカラなのか」

『はい、色の魔法使い、マジックカラーズは世界中にあらゆる形で存在しています』

「これからは一緒に困っているみんなを助けてあげようよ!」


 すると、志織ちゃんは言った。


「条件は、稽古の邪魔にならない範囲で仲良くする事だ」

「分かった!ありがとう志織ちゃん!これからもよろしくね!!!」

「志を同じくするのなら、普段から交友関係を深めていかなければな!」


 これが、わたしと志織ちゃんが初めて友達になれた日。そして、マジックカラーズとして一緒に頑張ると決めた日。


   * * * * * * *


 別の日、また大きな事件が起きた。


「行くよ!志織ちゃん!」

「ああ行こう!十色!」


 わたしと志織ちゃんはそれぞれのアイテムを持って!


「フルール・ドゥ・スリージェ・カラーズ!!!」

「神衣顕現!!!」


 色の魔法使いに変身した!


「世界を彩る一撃!スリージェ・クープ!!!」

「折り綴る色彩の調べ、カムオリノミコト!!!」


 そして、新たな困難に果敢に立ち向かっていくのであった。


「「わたし達、マジックカラーズ!!」」


・・・


 その様子を見つめる黄緑の服の少年。以前スリージェのちょうちょに紙飛行機を取ってもらった子だ。


「ペンのお姉さんと折り紙の人……」


 その少年の手には、不思議なクレヨンの箱が握られていた。


「もう、今までのボクじゃない!!!」


 少年がクレヨンの箱を開けると、まばゆい光に包まれて……。


 新たなる色の魔法使いが姿を現した。


「溶かして固める色の魔法、クレドゥシール!!!」


 to be continued.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【パイロット作品】マジックカラーズ 早苗月 令舞 @SANAEZUKI_RAVE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ