第2話初恋の人はエッチ

夏休みに、さおりちゃんちに遊びに行った。自転車を漕ぐこと15分。

さおりちゃんちは、ペンキ屋なのでお父さん、お母さんは居なかった。

さおりちゃんはお母さんに、僕が来ることを伝えていたので、さおりちゃんの部屋で少女コミックを読みながら、おやつを食べた。

僕んちのおやつは、蒸したサツマイモや母親が作った、フクレ菓子だった。

センスの良いさおりちゃんは、小洒落たおやつを準備していた。

多分、グミだった。コーラを飲みながら、僕はスーパーのレジ袋に入った、蒸したサツマイモをさおりちゃんにあげた。

さおりちゃんは、とっても喜んでサツマイモを食べていた。

さおりちゃんには、こう言うおやつが珍しいのだ。


しばらくすると、さおりちゃんは僕に、

「ねぇねぇ、これ読んで……」

と、言ったので読み始めた。今の恋愛モノのマンガだったが、キスシーンが描いてあった。

僕は顔を真っ赤にした。

「何これ?チューしてるじゃん」

「大人になったら、みんなキスするんだって!」

「き、キス?魚の?」

「違う、キス!唇と唇をくっつけ合うの」

「さ、さおりちゃん。エッチだね?」

「だって、お父さんがエッチな本を買って来るから、読む?」

僕はまだ、純粋な小学生だったので、それを固辞した。


『そうかぁ〜、さおりちゃんはエッチなんだな?世の中の女子はみんなエッチなのかな?』


夕方の5時前に、さおりちゃんにお礼を言って帰った。

あの、クラスで一番成績が良くて、かわいいのに、家ではエッチなんだと、何かカルチャーショックを受けたのを覚えている。

こっちは、ビックリマンのシールとか、キョンシーごっこをしているのに……。

大人びていた。

さおりちゃんからもらった、グミの残りを弟に食べさせた。

弟は、それから事あるごとに、母親にグミをせがんだ。

懐かしい、少年時代の話しである。

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